ノーベル賞の大隅さん「人と違うことをおそれずに」

ノーベル賞の大隅さん「人と違うことをおそれずに」
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ことしのノーベル医学・生理学賞の受賞者に選ばれた東京工業大学栄誉教授の大隅良典さんが受賞決定後初めて講演を行い、「人と違うことをおそれずに、自分の道を見極めて突き進んで欲しい」と、研究者を目指す若者にエールを贈りました。
ことしのノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった東京工業大学栄誉教授の大隅良典さんは、7日午後、横浜市の東京工業大学すずかけ台キャンパスで、受賞決定後初となる講演を行い、会場には学生ら400人近くが詰めかけました。

大きな拍手が送られる中、壇上に立った大隅さんは、受賞理由となった不要なたんぱく質などを分解する仕組み「オートファジー」を世界で初めて顕微鏡で見た時の様子について、「液胞の中できれいな丸い球形のものが動いていました。これはとてもおもしろい現象に違いないと思った」と当時の興奮を語りました。

そして、研究者を志す学生たちに向けて、「最近の学生たちは口をそろえたように『役に立ちたい』と言うけれど、例えば、3年後に自分の研究していた物質が薬になるとか、そういうことだけが役に立つことではない。長い人類の歴史の中で、どんな意味があるのかということをもっと意識して、息の長い研究をしてほしい」と訴えました。

そして、「日本の若者は、みんなと同じことをやるのが心の平穏を保つみたいな感覚があるけれども、人と違うことをおそれずに自分の道を見極めて突き進んでもらいたい。とは言っても、自分の研究を理解してくれる誰かがいることは、どこかで自分の支えになる。私自身も海外の研究者で『おもしろい』と言ってくれる人がいたことが大きな支えとなった。そういう自分のファンを増やしてほしい」と、研究者を目指す若者たちにエールを贈っていました。

大隅さんは、12月10日にスウェーデンで行われる授賞式でノーベル医学・生理学賞を授与されることになっています。