長男のチームに、練習のときも試合のときも仲間のプレーに対して文句ばかりいう子がいる。
パスを出せば「おまえちげーよ!戻せよ!」
縦に走れば「はぁ?なんで開いてねーんだよ!」
「なにやってんだよ!」「おせーよ!」「ちゃんとやれよ!」「呼べよ!」
ずっとそんな調子だ。コーチは時々彼に対して「もっとポジティブな声かけにしようよ」とアドバイスしているけれど、それに対して「◯◯のプレーが下手すぎるから一緒にやっててイライラする」「◯◯はサッカーわかってなさすぎ」と文句を重ねるだけで、いっこうに変化はみられない。
それをいわれる側の子供たちはどうかというと、あからさまにムッとする子もいれば、知らんぷりする子もいる、という感じ。長男は「おれはあんまり言われないけど、言われても考えが違うときは無視してる」という。つまり、彼の叱咤激励(?)はあまりチームメイトに届いていないということになる。
これがチームの中心選手で、自他共にその実力を認めている子供なら、もしかしたらチームメイトたちも彼の言葉をちゃんと受け止めようと思えるかもしれない。でも、彼はそういう選手ではない。
それに、たとえ実力があり、サッカーをよくわかっている子だったとしても、チームメイトのプレーを批評したりけなしたりするような声かけをすることで確実に得られるのは、残念ながらギスギスした雰囲気だけだと思う。
わたしはただの保護者だけれど、以前一度だけミーティングに参加した際に、文句ばかり言っている彼と数名の子供たちの言い分を聞いたうえで、「ねえ、みんなは試合をしていてチームメイトにどんな声をかけてもらったら役立つ?どんな風に声をかけてほしい?」とチーム全員に問いかけてみたことがある。
すると、
「失敗したときにはドンマイっていってもらえると気持ちがきりかえられる」
「気づいてないときにうしろから来てるぞって教えてもらえると助かる」
「ナイス!っていわれると気持ちがあがる」
と、いろんな答えが返ってきた。
「今みんなが話してくれたようなことを、チームメイトに声かけていったら、もっといいチームになるんじゃない?」伝わったのかどうかはわからないけれど、その後の試合では少し意識が変わったかなという印象だった。(残念ながら長くは続かなかった)
文句を言うのはとても簡単で、言いっ放しで終わるのはもっと簡単なことだ。そして文句をいうことを注意するのも実はとても簡単なことだと思う。
真剣にプレーしていれば気持ちが昂ぶることはある。言葉がすぎてしまうこともある。そんなときに「文句をいっただけじゃ伝わらないかもよ?」とそっと耳打ちするのが大人の役目なのかなと思う。
仲間のプレーに文句をいう行為自体をやめさせるというより、他にもいい方法ない?って問い続けること。そして、本人の気づきを気長に待つこと。
多くの大人が育成に関わる年代だからこそできる関わりを、わたしも親として大事にしていきたいと思う。
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