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都、会議録捏造を認める…作成者を調査へ

東京都議会経済・港湾委員会の集中審議で答弁し、厳しい表情で自席に戻る岸本良一中央卸売市場長=東京都新宿区で2016年10月7日午後4時1分、森田剛史撮影

 東京都の豊洲市場(江東区)の主要建物下に盛り土がされなかった問題で、岸本良一・中央卸売市場長は7日、盛り土の工法を検討した外部有識者の「技術会議」の会議録資料を都側が捏造(ねつぞう)したことを都議会経済・港湾委員会の集中審議で認めた。建物下に空間を作ることを都が提案したにもかかわらず、技術会議から提言を受けたとする虚偽の内容。都は資料作成に関わった人物の特定を進める。

     捏造は第9回技術会議(08年12月25日)の会議録に添えられた資料「技術会議が独自に提案した事項」。実際は都側が建物下の空洞を提案したが、この資料には、技術会議が「地下水から基準値を超える汚染物質が検出された場合、浄化できるように建物下に作業空間を確保する必要がある」と提言したと明記されている。

     この資料は盛り土問題発覚後の9月16日に都のホームページ(HP)に掲載され、同30日に公表された都の自己検証報告書は盛り土案変更の決定につながったと指摘した。

     集中審議では公明党の大松成議員が「本当に技術会議の提言だったのか」と質問。担当者は「議事録を見ると、提言を受けた事実はない」と答えた。「なぜ技術会議の提言としたのか」との追及に、岸本市場長は「技術会議でやり取りされた経緯について書いたつもりで、(都の独断ではないという)変な議論に持っていくつもりはなかった。結果として間違いがあり、おわびしたい」と謝罪した。

     また、問題発覚後に資料をHPに掲載した理由を問われると、担当者は「小池百合子知事が進める情報公開の方針に従った」と述べた。集中審議後、都は「技術会議の提言」としたHPの表現を修正することを明らかにした。

     小池知事は7日の定例記者会見で「しっかり検証する」と述べ、2次報告書をまとめる考えを示した。一方、歴代市場長に対する処分を巡っては「これから検討する」と説明、「退職者も含めて処分する」とした都議会本会議での答弁を修正した。【柳澤一男、川畑さおり、円谷美晶】

    設計協議録、公表阻む

     集中審議では、建物の基本設計を受注した大手設計会社「日建設計」(千代田区)と都の協議記録の存在が指摘されたが、都は公表を拒否した。建物下に空洞を設けることを協議した内容とみられ、担当者は「(職員の処分検討のためなどに)行政監察室に証拠書類として提出してしまった」と述べた。

     都は2011年3月に日建設計と設計契約を結び、建物下に空洞を設けるよう要請したとされる。日建設計は11年6月、建物下が空洞になっている基本設計書を都に提出した。協議記録は数十ページあり、要請のやり取りが含まれているとみられる。

     自己検証報告書によると都は10年11月、基本設計を発注する際に添付する「特記仕様書」に空間を設けることを明記している。協議記録は中央卸売市場の内部決定が、初めて外部に伝えられた際の資料と言え、集中審議では盛り土案変更の経緯の解明につながると指摘された。

     集中審議後、担当者は非公表の理由を「実態解明や個人の処分に支障が出る」と改めて説明した。【森健太郎】

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