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<死刑廃止宣言>日弁連内にも溝…賛否激論、144人棄権

毎日新聞 10月7日(金)22時18分配信

 死刑廃止を明確に打ち出した宣言が7日の人権擁護大会(福井市)で採択されたことを受け、日弁連は国会や法務省に死刑廃止に必要な刑事法の改正を呼び掛けていく方針を明らかにした。一方で宣言採択前には死刑廃止反対派と賛成派の意見が激しくぶつかり、溝の深さが目立った。

 宣言採択前に開かれた討論では20人の弁護士がそれぞれ意見を述べた。再審開始決定が出た袴田事件の西嶋勝彦弁護団長が「誤判がある以上、死刑は廃止すべきだ」と述べる一方、「全国犯罪被害者の会」を設立した岡村勲弁護士や副代表幹事の高橋正人弁護士は「死刑廃止は犯罪被害者の権利を奪うことにほかならない」と反対意見を表明した。

 日弁連は2011年の同大会でも死刑制度に関する宣言を採択したが「死刑制度について全社会的な議論を呼び掛ける」とする内容にとどめた。今回の宣言は日弁連内の死刑廃止検討委員会が中心となって宣言案を作り、各弁護士会の会長が集まる理事会で8割の賛成で機関決定された。日弁連会員数は約3万7600人。この日の討論では、思想・信条に関わる問題を786人の出席者で決めてよいのかとの質問も出た。

 採択後の記者会見で木村保夫副会長は「組織の手続きを経ている。出し抜けでやったわけではない」と説明。棄権が144人いたことについて「犯罪被害者のことを考え、決断できない人がいたのではないか。これまで以上に被害者の声に耳を傾けたい」と述べた。

 会見に同席した死刑廃止検討委員会委員長の加毛(かも)修弁護士は「五輪が開かれる20年は日本が世界から民主的な国か問われる。死刑存廃は重要な問題で、法務省や国会議員と協議を始めたい」と述べた。【島田信幸、荒木涼子】

 ◇国外では廃止の方向

 国際的にみると死刑は廃止の方向にある。国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」によると、法律で死刑を全面的に廃止した国・地域は昨年末時点で102となり、1996年の60から大幅に増えた。過去10年以上執行がないような事実上の廃止国・地域を含めると140に上る。

 昨年死刑を執行した国・地域は日本を含めて25。経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国のうち、通常犯罪について死刑があるのは日本、米国、韓国だけで、韓国は97年を最後に執行がない。

 日本でも89年11月から約3年4カ月間、4代の法相による執行命令がなく、死刑が事実上停止した。当時の法相の宗教的立場などが背景にあったとされる。民主党政権(2009年9月~12年12月)でも死刑廃止派の法相が就任したことなどから1年8カ月間、執行がなかった。第2次安倍政権以降は数カ月に1回のペースで計16人に執行されている。

 法務省によると、年末時点の確定死刑囚はここ数年130人前後で推移している。刑事訴訟法は、死刑確定から6カ月以内に執行を命じるよう規定しているが、再審請求中の期間はこの6カ月に算入されない。

 今月5日時点で再審請求中の死刑囚は94人に上っている。【鈴木一生】

最終更新:10月7日(金)22時30分

毎日新聞

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