パソコン屋の店員をしていると、「どんなパソコンがよいの?」「どうパソコンを選んだらよいの?」という質問はお客さんから毎日受けます。現在、パソコンの種類は星の数ほどあるのでこの質問は当然と言えるでしょう。
今回はまずどういった形態のパソコンがどういう長所、短所をもっているかをご紹介致します。
勧める人が普段どういう使い方をしているかにもよって意見が違うので少し偏った意見になるかもしれませんが、よかったら参考にしてください。
目的と予算を決めましょう
まず、なぜ毎日「パソコンの選び方」を聞かれるかと言うと、パソコンの形態やメーカー、価格の種類あまりにも増えすぎているからです。まずはパソコンを使いたい『目的』をはっきりさせて、次に『予算』を決めましょう。
スマートフォンやタブレットの普及により、パソコンの使用頻度は少なくなってきていますが、パソコンでないと出来ないことや、やりにくいことがあります。逆にスマートフォンやタブレットで出来ることであれば、わざわざパソコンを買う必要もないです。
例えば
- 大きな画面で快適にインターネットをしたい
- 写真や動画、音楽の編集をしたい
- 経理仕事で使いたい
- 本格的な3Dのネットゲームをしたい
- 年賀状やクリスマスカードを作りたい
こういった使用法はパソコンが向いていると言えるでしょう。
パソコンは性能や使われる部品、メーカーなどブランドイメージ違いによっても価格が違ってきます。
なんでも対応できてしまう高性能パソコンを買えば、大は小を兼ねるのでそれも間違いではありませんが目的にあった最適なパソコンを選ぶほうが良いでしょう。例えば、スーパーカーで近所へ買い物に行くようなものです。近所の買い物なら軽自動車で十分ですし、小回りもきいて経済的ですよね?
また、電化製品で言うと日本のメーカーのものは保証が付いていて壊れにくいですが、中国製のものは壊れやすいですし、保証も付いていないか短いです。そのかわりにとても安いですよね?
パソコンについても同じことが言えます。同じ性能のパソコンでも安ければ、安いなりのデメリットがあります。壊れやすいとか、購入後のサポートがないとか、見た目がオシャレじゃないとか・・・ココは予算との兼ね合いもありますので妥協できる部分は妥協するようにして『目的』と『予算』を合わせるように選びましょう。
パソコン形態の種類
それではパソコンの種類について見ていきましょう。それぞれの特徴をよく知って目的に合うものを選んで下さい。
■デスクトップパソコン
モニター(画面)とパソコン本体が別々になったパソコンです。
一番昔からあるパソコンの形態です。あなたもパソコンといったらまずデスクトップパソコンと机に向かうOLさんを思い浮かべるのではないでしょうか?
昔と大きく変わった点はモニターがブラウン管から液晶に変わったことでしょう。これによって昔はなんとか机のスペースを確保しようとパソコン本体の上にブラウン管モニターを載せるスタイルでしたが、今はモニターとキーボード、マウスを机の上、パソコン本体は足元や別の棚に置く人も多いです。
デスクトップパソコンの長所
- 本体が大きいので、放熱効果が高く、内部熱で壊れにくい
- 放熱性が高いので発熱が多い高性能CPU(パソコンのメイン頭脳)が使える
- 壊れた時に部品交換など比較的安価に修理できる。(少し知識があれば自分でも修理できてしまう)
- 内蔵ハードディスクやメモリーを追加増設したり交換したりしやすい
- モニターを2つ繋いだり、USBポートや新型コネクターを増やすことが出来る(拡張性)
- 作りが比較的簡単なので製造コストが安く、価格が安い
パソコンの弱点としてあまり知られていないのが高熱です。実はパソコンはCPU、電源、通信基盤、モニターなど高性能になればなるほど高温に発熱します。これがノートパソコンや一体型パソコンになると、内部に熱がこもりやすく、あまり高性能なものを使用することができません。
高温になってしまうとパソコンは機能を停止したり、故障してしまうからです。
その点デスクトップパソコンであれば大きな冷却ファンや場合によっては車のラジエターのような構造を使って水冷却構造を使用できるので、他の種類のパソコンと比べて安く、簡単に高性能にすることが出来るのです。
また、作りが比較的簡単なものが多く、本体のフタを開け閉め出来るものがほとんどなので、たまったホコリをエアースプレーで掃除したりして手入れが出来、未然のトラブルを防ぐことができます。
デスクトップパソコンの短所
- 本体とモニターが別なので場所をとる
- 持ち運びが出来ない
- モニターやスピーカーなどが外部接続なので配線が見えてゴチャゴチャしている
パソコンを持ち歩かない人や仕事でパソコンを使用する人はあまり気にならない短所ですね。
BTOパソコンとは?
最近よく、ソフマップやドスパラ、パソコン工房といったパソコン専門店やDELLやmouseコンピュータといったパソコンメーカーが通販で売っているBTOパソコンというものがあります。
BTOは『Build to Order(ビルト トゥ オーダー)』の略で、セミオーダー注文製作パソコンのことです。
デスクトップパソコンは構造が簡単で、ノートパソコンなどに比べると緻密さは低いので、機械いじりが好きな人は自作パソコンといって、自分でパソコンショップに行ってケース、電源、CPU、ハードディスク・・・と部品を買い集め自分の必要に応じたパソコンを予算に応じて組み立てることが出来ました。
その自作パソコンを部品選びだけをお客さんがメニューの中から選んで、組み立てはショップやメーカーがやってくれるのがBTOパソコンです。
「ハードディスクの容量を増やしたいけど、予算が合わないからCPUの性能を落として予算を抑えよう。」
「DVDドライブは必要なから付けない。」
「冷却ファンは静かなものが良いので良いものをつけよう。」
といった具合です。自作パソコンとあまり変わらない料金で、極力予算を抑えることが出来ますので、過去にパソコンを使っていて、何が必要で、何が不要かがわかっていて使用目的がはっきりしていれば活用してみてください。
デスクトップパソコンはどんな人に向いているか?
高性能な部品を使った機種を選ぶことが出来るので、高性能CPUと大容量メモリー、ハードディスクが必要な『画像処理』、『動画編集』、『音楽制作』といったクリエイティブなお仕事や趣味を持っている人。それから、高速3D表示、高速通信が必要なネットゲームを楽しみたい人。
経理処理など比較的カンタンな仕事でとにかく初期投資を抑えたい人や経営者。(CPUの処理速度を抑えたり、ハードディスクやメモリーの容量を減らすと非常に安くなります。)
モニターの大きさを場所や使い勝手で選びたい人。
■液晶一体型パソコン
アップル・コンピューターのMac(iMac)が有名ですね。モニターとパソコン本体が一つになっているパソコンのことです。日本のメーカーでいうとNECや富士通など老舗メーカーから発売されています。
ちょうどデスクトップパソコンとノートパソコンの間ぐらいの存在でしょうか。最近はモニターがタッチパネルになっているものが増えています。
液晶一体型パソコンの長所
- 本体がモニターとが一体、さらにテレビが見れるものも多くいのでとにかく省スペース
- モニターがタッチパネルになっているものが多く、操作がなじみやすく簡単。
- タブレットやスマートフォンと比べて画面サイズが大きい
- 配線が少なく、見た目がスッキリしている
- シンプルでスタイリッシュなデザインなものが多い
テレビは録画してハードディスクに残したり、DVDに記録したりすることも出来ます。ブルーレイディスクの再生なども出来るので、パソコン以外のの再生録画機器が不要となり徹底した省スペースが可能です。
液晶一体型パソコンの短所
- モニターサイズの変更、増設ができない
- タッチパネルは指で画面を触り、汚しやすい
- 高性能CPUなどを使用すると高い技術力が必要でコストが高く、割高感がある
- 内蔵ハードディスクの追加増設できない
- 持ち歩くことはできない
省スペースが最大の特徴なので、それを実現させるために狭いスペースに色々なものを詰め込んでいます。結果として放熱出来る限界が低いので高性能にするには難しくコストもかかってしまいます。なので、性能の割に値段が高いものが多いです。
液晶一体型パソコンはどんな人に向いているか?
インテリアにこだわりたい人。
お店のエントランスや待合室などに置き、お客さんに使ってもらいたい人。
インターネット閲覧がほとんどで家の中でも持ち歩かない人。
富士通やNECはメーカー直販サイトで一体型パソコンであってもBTOを設定しているので、これを利用して購入するのも良いです。ただし、デスクトップパソコンと比べて、後から変更や追加は基本出来ないのでよく考えて選択するようにしましょう。
■ノートパソコン
ノートパソコンの存在はデスクトップパソコンと立場が逆転して現代のパソコンのスタンダードスタイルと言えるでしょう。パソコングがお店で預かる修理依頼でもノートパソコンが8~9割を占めます。
バッテリーでも動かすことが出来るノートパソコンはWifiの普及で無線インターネット通信ができるようになり、場所を選ばずに仕事が出来たり、ネット動画を楽しめるようになったのでノートパソコンは今一番人気の形態です。
ノートパソコンの長所
- 持ち運べる
- 本体がモニターとが一体なので省スペース
- タブレットやスマートフォンと比べて画面サイズが大きい
- 配線が少なく、見た目がスッキリしている
- シンプルでスタイリッシュなデザインなものが多い
- ほとんどのモデルにモニター出力がついているので大画面にすることも可能
一体型パソコンの長所に加えて、やはりいちばんのメリットは持ち運びが出来るということでしょう。
それから、ほとんどテレビにはHDMI端子というものが付いており、通常ブルーレイ/DVDプレーヤーやゲーム機などを接続することが多いですが、最近のノートパソコンにはHDMI端子が付いたモデルも増えてきて、ケーブルを使ってテレビに繋げることによって、大画面を使うことが出来たり、YoutubeやAmazonプライムビデオなどをテレビで楽しむことが出来ます。
また、使わないときは折りたたんで引き出しに収納したりも出来ますので、普段あまりパソコンを使う機会がなく、年賀状作成程度にしか使わないという人にもオススメでしょう。
液晶一体型パソコンの短所
- 本体のモニターサイズ変更はできない
- 高性能CPUなどを使用するモデルは価格が高い
- 基本的に分解出来ないので、内蔵ハードディスクなどの追加増設や変更はできない
数年前では考えられなかった新品で3万円を切る安価なモデルから、デスクトップに匹敵するような高性能を備え、動画編集や3Dゲームにも対応出来てしまう数十万円する高級機まであります。
ノートパソコンはどんな人に向いているか?
はっきり言ってほとんどの人に向いていると言えるでしょう。
ただし、ノートパソコンには大きく分けてと2種類あります。
15インチほどの大型モニターを備え、ブルーレイ/DVDドライブが付いてるモデルは重量が重く、11インチほどのモニターサイズでブルーレイ/DVDドライブが付いていないモデルは軽量です。
大画面、ブルーレイ/DVDドライブ付きモデルは
基本的に家の中でパソコンを使う人
小画面軽量モデルは
基本的に会社や訪問先、旅行などパソコンを持ち歩きたい人
に向いています。
いずれのモデルももともとコストのかかるノートパソコンを安い価格設定とするため、激安モデルだとメモリの容量が2ギガバイトのモデルが多いです。
Windows7以降だとwindows を動かすだけでメモリ量が最低でも2ギガバイト必要です。動くには動きますがこれでは余裕がありません。できれば4ギガバイト以上搭載しているとインターネットを見るときの動作や写真の表示などに余裕ができて快適にパソコンを使う事ができるので、メモリは4ギガバイト以上搭載しているパソコンを選びましょう。
長くなりましたが、パソコンを使う目的をはっきりさせて、予算にあったパソコンの形態を選びをしましょう。
例えば、高性能なパソコンが欲しいけどあまり予算はない デスクトップパソコン>ノートパソコン
といった具合です。
次回はCPUやハードディスクの種類や容量をどう選べば良いかをお教えしたいと考えています。続けて読んで頂けるとあなたにぴったりのパソコンを選ぶことが出来ますので是非読んで下さいね~
以上パソコングでした!