昨夜パリのバスステーションからイギリスのロンドンへ向けて出発したバスは、深夜3時30分ごろイギリス入国のイミグレーションに到着していた。
イギリスの入国審査といえば世界でもトップクラスの厳しさを誇ることで有名らしく、日本人旅人もここで強制送還を食らうなんてことがあるらしい。
そんなイギリス入国にビビった我々は、入国審査時専用の架空の旅程を作り何を聞かれてもつじつまが合うようにし、それを頭の中でイメージトレーニングし、さらにはイギリス出国のチケット(次の目的地であるカナダ行きのチケット)も購入し万全を期して入国審査に臨んだつもりだ。
おそらく他の旅人からしたらビビリすぎと言われるかもしれないが、この時期の気分的には『トラブル大歓迎』というよりは『面倒くさいことは避けなるべく安心して旅したい』という気持ちの方が強かったのでこのように考えすぎるくらい考えて対策を練った。
そういえばFLIX BUSのチケットには今回に限って『ネームタグが付いていない荷物は受け付けることができません。』と書いてあったのでしっかりネームタグも準備し荷物にくっつけておいた。
結局このネームタグはチェックされることもなく必要だったのかよく分からないのだが。
ここまでしても性格の根っこの部分は心配性の私はやはり不安がぬぐえない。
我々が入国審査用紙を記入している間に 他の人はどんどんと入国審査を通過していく。
しかし我々の他にも入国審査用紙の記入に手こずっている外国人の方が2名いたので安心した。
その人たちよりも早く記入が終わり、いざ入国審査へ。
審査官は1人。まずは相方が切り込んでいった。
英語があまり得意ではない相方は審査官とお世辞にもスムーズとは言えないやりとりを必死に行っていた。
まずは、
『イギリス入国の目的は?』→『観光』
『イギリスには何日滞在するの?』→『8日間』
『イギリスの次はどこへ行くの?』→『カナダとアメリカ』
など、オーソドックスな質問がジャブのように続いた。
その時審査官が『いつ日本に帰るんだ?』という質問を投げかけてきた。
我々は事前の打ち合わせで『10月に日本へ帰る』という架空の旅程で入国審査に臨むことにしていた。
そんな質問に対して相方が放った言葉は『オーガスト。』
審査官は『次の8月?イギリスとカナダとアメリカだけで?観光にしては長すぎやしないか?』
と完全に怪しい目なっていた。
それでも『イ、イェス…?』と戸惑いながらも答えてしまっている相方。
さすがに後ろで聞いていた私も我慢できなくなって相方の元へ駆け寄った。
『オーガストじゃなくてオクトーバーです。』と言うと、審査官は笑いながら入国許可のスタンプを押してくれた。
さらに私の入国審査はというと、
『彼女と一緒だね?』→『イェス』
『日本に帰るの?』→『イェス』 (これは私のパスポートが日本のものではなく韓国のものであるが故の質問。)
のみでおわった。
何ともあっけない。
せっかくいろいろ用意しておいたのに、もうちょっとなんか聞いてよ。
なんてかまってちゃんみたいなことは思はないが、相方のおかげで無事に鬼門であったイギリス入国審査を通過することができた。
こんなことならカナダ行きのチケットまだ取らなくてよかった。。
ロンドンはパリ時刻からマイナス1時間の時差がある。
ロンドン時間の朝7時ごろ、バスはロンドンのビクトリア駅に到着した。
ロンドンの横断歩道には『左を見ろ』、『右を見ろ』という表示がある。
イギリスは左側通行の国。ヨーロッパで左側通行なのはイギリスを含め4か国しかないという。
そのためこの表示は観光客にとってはありがたいものであろう。
我々は日本の左側通行社会のはずなのに、数ヶ月間右側通行社会のヨーロッパ諸国を巡っているうちにすっかりと右側通行に体が慣れてしまったようだ。
ゆえにこの横断歩道前の表示は我々にとっても非常にありがたいものとなっていた。
すぐには動く気にはなれず、とりあえずビクトリア駅内のマクドナルドで一息を入れることに。
ちなみに私は何も購入しなかった。
マックで数十分過ごした後、8時30分ごろ駅へ出て今夜の宿への移動を開始した。
地下鉄の切符を買おうとしたところ、片道1人4.9ポンド(約644円)という法外な値段が券売機に表示された。
いくら大都市ロンドンだといっても、これは高すぎる。
同じく大都市であるパリは片道1人1.9ユーロ(約216円)だったぞ。パリの3倍の値段ではないか。
絶対何か他の方法があるはずと辺りを見渡すと、上記写真のような案内があった。
なるほど『オイスター』という日本でいうスイカみたいなのを購入して払えば値段が安くなるのだな。
オイスターを使っての片道料金はゾーン1内で2.4ポンド(約315円)。
それでもまだ高いが、オイスターなしに比べたら半額。
我々はオイスターを買うことにした。
言語選択には日本語もあった。
オイスターカードデポジットとして5ポンド(約657円)が取られたが、預かり金なのでこれはオイスター返却時に戻ってくる。
デポジット5ポンドとチャージ金10ポンド(約1314円)でオイスターを購入した。
オイスターはこのようなカード。
早速プラットホームへ行き電車を待つのだが、この時間はラッシュアワーでかなりの人が電車を使用するので電車内は常にパンパン。
大きな荷物を持っている我々はさすがにその中に突っ込むことはできずに15分ほどホームの椅子に腰掛け空くのを待った。
なんとか電車に乗り込み、ロンドンブリッジ駅で下車し、徒歩数分で今日の宿まで向かった。
雨が多いと聞いていたロンドンの空は晴れていた。
ロンドン名物の真っ赤な2階建バスや真っ黒のロンドンタクシーが街を走っているのを見ると、ロンドンに来たんだなぁという実感が一気に湧いてきた。
今夜のホテルは St. Christopher's inn London Bridge というところ。
1人1泊2348円のドミトリーだ。(朝食付き)
そこのチェックインは14時からということだったのでまだかなりの時間がある。
しばらくロビーで休憩した後荷物を預けロンドンの街散策へ出かけた。
ロンドンにはコンビニのような店がありそこには弁当のようなものが売っていた。
また普通のスーパーにもこのような弁当類が売られていた。
これまで回ってきたヨーロッパ諸国にはなかなかなかったものなので少しテンションが上がったが、ロンドンに滞在している約1週間の間それらを購入することは1度もなかった。
徒歩でまず向かったのはロンドンのシンボルとも言えるビッグ・ベン。
1859年に完成したというこの時計塔の高さは96.3メートル。
子供の頃私は、”ピーター・パンたちがが長針に乗ったことで約10数分ほど進んでしまった時計” と勝手に思っていたのだが、(当たり前だが)現実の世界で時刻はずれていない。
毎日正午に奏でられる鐘の音は、日本の学校のチャイムの音と同じであった。
ビッグ・ベンはウェストミンスター宮殿とつながっておりそれら全体を見るとかなり横幅が長い。
空は一転してあいにくの曇り空になっていたが、やはりビッグ・ベンを見るとロンドンに来たという実感が湧いてくる。
ビッグベンの反対側に見えるのが、ロンドン・アイという観覧車。
これといって特徴のないただの観覧車なのでこれを見ただけではビッグ・ベンのようなロンドンに来たという実感は湧かない。
それよりもこういうユニオンジャックをガンガンに使ったお土産やさんを見る方がロンドンに来た感が湧く。
残念ながらロンドン・アイはこのお土産やさん以下ということになる。
ビッグ・ベンがよく見える広場でしばし写真撮影をした。
次に向かったのはウェストミンスター大寺院。
ロンドンにはウェストミンスター大寺院や、ウェストミンスター大聖堂や、ウェストミンスター宮殿などウェストミンスターの名がつく建物が多すぎてどれが何なのか混乱する。
とりあえずここに入る入場料は大人1人20ポンド(約2606円)とバカ高だった。
もちろん我々が入場することはなかったが、この隣にあるお土産ショップは少し面白かった。
面白いと言っても普通のお土産ショップなのだが、王室御用達のものなど王室関連のグッズが盛りだくさん売られていた。
王室関連ということでさすがに下手な商品は一切なく、すべて質のいいお土産商品となっていた。
この後電車でバラマーケット(Borough Market)という市場へむかった。
このマーケットはイギリス国内最大規模の食品市場らしく、開設1000年という深い歴史を持つ。
フードマーケットは木曜日、金曜日、土曜日の3日間の開催らしいので日にちを確認したい。(水曜日もやっているという情報あり。)
時間は大体昼頃から夕方ごろまで。
土曜は朝からやっているらしいが、店によって営業時間が異なる場合がある。
気づけばこのマーケットは我々の滞在している宿から目と鼻の先だった。
中ではチーズやパン、チョコレートなどの食材が売られていて、プロの料理人もこのマーケットに食材を買い付けに来るのだとか。
食材だけでなく、ハンバーガーやサンドイッチなどのファストフードの屋台も幾つか出ているので、我々はここで昼食をとることにした。
日本のテレビ番組でも紹介されていた人気店、KAPPACASEIN へ行ってみた。
行ってみるとやはり列ができていた。
ここではホクホクのじゃがいもにチーズを溶かして垂らすラクレットというのと、チーズとネギなどをパンに挟んだホットサンドの2種類が売られていた。
どちらもチーズをメインとした料理である。
各種1つづつを頼み食券をもらう。
列で待っている間、トロトロに溶けるまで熱されてグツグツしているチーズが我々の食欲を駆り立てる。
ホットサンドが先に出来上がった。
パンはカリカリで中にはとろとろに溶けたチーズがたっぷりと入っている。
これで料金は6ポンド(約782円)だ。
続いてラクレットも出来上がった。
目の前でトロットロに溶けたチーズを垂らしてくれるので演出効果も抜群だ。
じゃがいもはホクホク、チーズは下手したら果てしなく伸び続ける。
本当は緑の何かもじゃがいもと一緒にトッピングされるはずなのだが、我々はそれを断りじゃがいものみにしてもらった。
これもホットサンドと同じく6ポンドである。
途中でウォーリーガールを発見した。
なにやら観光客に囲まれ身動きが取れなくなっていた。(写真では2人だがこの後10人近くの観光客に囲まれた。)
そして私はその観光客に写真を撮ってくれと頼まれた。
バラマーケットを後にして、ロンドン・ブリッジ方面に徒歩で向かった。
『ローンドン橋おっちっる〜♩おっちっる〜♩おっちっる〜♩』
の歌で有名なあのロンドン橋である。
名前だけ聞けばロンドンの名所っぽいが、特にこれといった特徴のないただの橋だった。
なんでも観光客の中にはこれをロンドン・ブリッジだと勘違いしている人がいるらしいのだが、これはロンドンブリッジではなくタワー・ブリッジである。
タワーブリッジは言わずと知れたロンドンの名所の一つに挙げられる。
ちなみにこのタワーブリッジはロンドンブリッジから見ることができる。
ロンドン・ブリッジの下へ降りる階段の途中に先ほどの歌について説明が書いてあった。
この円錐形のとんがった建物は『ザ・シャード』という建物で、2013年に開業したばかりのまだ新しい建物だ。
なんでもEUで最も高いビルらしい。その高さは310メートル。
展望台もあり、料金は約30ポンド(約3910円)という超高額料金。
前売り券やオンライン購入をするともう少し安くなるらしいので、もし登るつもりならその方がお得だ。
もちろん我々が登ることはなかった。
とりあえずロンドン・ブリッジを渡ってみた後は徒歩で宿に戻った。
途中レッドブルレディーならぬコカ・コーラ・ゼロレディーに遭遇し、コカ・コーラ・ゼロをもらった。
そういえばオランダでもコカ・コーラレディーを見たなあ。
レッドブルレディーには日本を出てからまだ遭遇したことがない。
部屋は6人部屋男女共同のドミトリー。
18時過ぎに宿に着き、今日はもう宿で過ごすことにした。
22時30分ごろになった頃、晩御飯を食べようと宿の1階にあるバーへ行ってみた。
ここの宿の宿泊者はバーのメニューがすべて25%オフになるということだったので、値段が安ければイギリス名物フィッシュ&チップスでも食べようと思った。
しかし値段は割引きしても11ポンド(1433円)ほどしたので今回はやめておいた。
その代わり少し外を歩きスーパーなどに行って食材を物色した。
結局何も買わず、私はパリで購入してまだ少し残っていたプリングルスを軽くつまんでそれを晩飯とした。
明日はこの宿をチェックアウトして、ポルトガルで出会って親切にもロンドンを訪れた際には家に泊まりに来ても良いと言ってくれた方の元へお邪魔しに行く。
なんていい人なんだ。