『増補新版芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)
このほど、『増補新版芸能人はなぜ干されるのか?』(鹿砦社)という書籍が刊行された。同書は、2014年に刊行された『芸能人はなぜ干されるのか?』に新たに補章を加え、これまでほとんど報道されてこなかった芸能界の裏側を鋭くえぐるノンフィクションだが、内容の過激さから発売早々話題となっている。ここでは著者の星野陽平氏に同書刊行の真意を聞いた。
――まず、旧版の『芸能人はなぜ干されるのか?』の内容について説明していただけますか?
星野陽平(以下、星野) 2009年3月にタレントの北野誠がパーソナリティを務める『誠のサイキック青年団』(ABCラジオ)が突如、終了し、その後、北野も番組内などで不適切な発言があったとしてしばらく謹慎するという事件がありましたよね。この事件を取材する過程で、いわゆる「干される」という現象から日本の芸能界が抱える構造的な問題が見えてきたわけです。それで5年ほどかけて、内外の芸能界の歴史を徹底分析して、日本の芸能界のどこがどのようにおかしくて、どうすればいいのかということを示したのが『芸能人はなぜ干されるのか?』です。
――「干される」というと、最近もSMAP騒動や能年玲奈の独立騒動、夏目三久の妊娠報道など、よく話題になっていますね。
星野 そうなんです。タレントが干されるというのは、多くの場合、そのタレントの視聴者からの需要とは関係なく業界の論理によって決まってしまう。ネットではそうした芸能界の論理に批判の声が渦巻いているのに、マスコミは完全に沈黙しています。ネットとマスコミの芸能界報道を比べると、まったく別の世界のようになっています。この問題は『芸能人はなぜ干されるのか?』を刊行した2年前よりも、より理解が深まってきているのではないかと思います。それで旧版の在庫がなくなってプレミア価格まで付くようになったので、補章を加えて増補新版として出版することになったのです。
――旧版の出版後の反響はどうでしたか?
星野 ネットで評判になって6刷までいき、それなりに評価されたと思っています。ただ、予想通りマスコミからは黙殺されました。最近も大手新聞社の記者から「うちでも芸能界批判はできません」と言われましたが、メディアにおける芸能界の影響力は以前よりも強まっているのは間違いないです。私はこれを「芸マス複合体」と呼んでいますが、とても不健全だと思います。そんな状況でも芸能界を真正面から批判する本が出てしまったことで、業界もうろたえているはずです。一時期は変な電話やメールが相次ぎました。
――圧力ですか?
星野 面識のない暴力団風の声の人間から電話がかかってきて、私の資金源を探ってきたり、「君の名刺を持っているんだ」と脅しまがいの文句を言われたり、関東連合の関係者から電話があって「会いたい」と言ってきたり、知り合いのジャーナリストから「大手芸能事務所の幹部がフリーアナウンサーを自殺に見せかけて殺したというウワサがあるが、そんな事実はないんだ!」と力説してきたりとか……。