背水のハリルジャパンを救ったのは「入ってしまった」バースデー弾だった。日本代表は6日、1-1で迎えたロシア・ワールドカップアジア最終予選イラク戦後半アディショナルタイム、途中出場のMF山口螢(C大阪)の劇的な決勝弾で勝ち点3を確保した。26歳の誕生日にチームを文字通り救う一撃となった。
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山口にとって非常に厳しいシチュエーションでの途中出場だった。チームは前半26分にFW原口元気が先制ゴールを奪ったものの、後半15分にセットプレーから1-1の同点に追いつかれる。失点前に投入されるはずだった山口は一度交代を取りやめたが、同22分に投入。守備バランスを整えてチャンスをうかがった。
するとアディショナルタイム5分のことだった。パワープレーで前線に残っていたDF吉田がファウルを受け、フリーキックを得た。清武が中央に入れたクロスはクリアされたものの、走り込んだ山口が右足ダイレクトで蹴り込みゴール。劇的なゴラッソで代表通算2ゴール目を決めると日本が2-1で勝利し、勝ち点を6に伸ばした。
「途中から入ったので何か仕事しなければいけないと思っていた。それが最後結果につながった。いつもならふかしてしまうところが、なんか入ってしまって、本当にホッとしています」
決勝点のシーンを信じられない表情で振り返った。9月の最終予選前にはバヒド・ハリルホジッチ監督から名指しで批判された。2015年1月にC大阪からブンデスリーガ、ハノーバーに移籍したが、出場機会を手にできず。チームも2部に降格し、C大阪にわずか半年間で戻ってきた。
「ドイツのようなリーグで戦えば、A代表で興味深い選手になるはずだった。私は戻ってくることに高い評価はしていない。私は代表監督としてコメントするが、良い選手をすぐには手放せない」と逃げるようにドイツを去った男に対し、ハリル監督は酷評していた。
しかしこの日、負ければ解任危機の指揮官を救ったのは、この日26歳の誕生日を迎えた男の値千金の一撃となった。
「途中から入ってすごく厳しい流れだったんで、自分が何かしないといけないという思いでいたので、それが最後に結果につながったと思うので良かったです。とにかく勝ち進んでいくしかないと思いますし、勝ち点を積み重ねるしかないので、次もしっかり勝って結果を出したいと思います。」
最後の最後で放った“蛍の輝き”が、日本代表を再上昇させることになるか。
フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web
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