敬語「結構です」はOK?正しい意味と使い方を解説【かまいません】
「結構です」という言葉はよく耳にしますが、敬語として正しいのでしょうか。正しそうだけど、目上の人に使う場合には何だか違和感を感じる人もいるはずです。良く使う敬語は完璧にマスターしておかないと、恥をかいてしまいます。自分が「きちんと使えている自信がない」というMr.JOOYに解説していきますね。
「結構です」って敬語だよね?
結論から言うと「結構です」という言葉は敬語の分類に入ります。ただし使い方がむずかしく、正しく使えている人は少ないかもしれません。Mr.JOOYのあなたは、きちんと使いこなせていますか?言葉だけを見ると比較的よく耳にする言葉ですので、簡単だと思うことでしょう。
しかし特に若い人の間では、間違った使い方をしている人が多いように感じます。「結構です」だと堅苦しすぎるから「大丈夫です」を使っているという人は、実は要注意です。その辺りについても後程くわしくご説明いたします。
「結構です」には、どのような意味が含まれているのか。また違う言葉を使うなら、どんな言い回しがあるのかを見ていきましょう。そして正しい使い方をマスターしてくださいね。
「結構です」の敬語の意味
「結構です」という敬語には、肯定的な意味と断る意味の両方が含まれています。そのため、どちらの意味で言っているのかを明確に伝える必要があります。2つの「結構です」の違いをご説明しましょう。
肯定的な意味の「結構です」
「結構です」という敬語を肯定的な意味で使う場合、「それで結構です」という使い方をするとわかりやすいでしょう。「結構です」には否定的な意味も含まれていますので、「いる」のか「いらない」のかを判断するのがむずかしいのです。
肯定的な意味の「結構です」の場合には、「かまいません」「問題ございません」「差し支えありません」などに言い換えることができます。なぜ言い換える必要があるかと言うと、「結構です」は目上の人に対して使うと失礼になるからです。
断る意味の「結構です」
「結構です」という敬語を断る意味で使う場合、「もう結構です」という使い方をするとわかりやすいでしょう。意味としては「もう充分です」ということですね。つまり「いらない」という意味になります。「結構です」という敬語の使い方がむずかしい理由は、否定と肯定の両方の意味が含まれているという所にも原因がありそうです。
断る意味の「結構です」の場合には、「遠慮します」「お断りします」「もう十分です」などに言い換えることができます。くわしくは後ほどご説明いたします。
「結構です」は目上の人には失礼!
「結構です」という敬語は、ビジネスシーンで頻繁に出てくる言葉ですよね。これを正しく使えるかどうかに、ビジネスマンとしての運命がかかっていると言っても過言ではありません。「結構です」が正しい敬語だということはわかりましたが、目上の人に対しては失礼になるのなら、一体どのように使えば良いのでしょうか。くわしく見ていきましょう。
上司に対する「結構です」はNG
「結構です」という敬語は、上司に対して使うのはNGです。敬語ではあるけれど、目上の人に対して使うと失礼になるのです。イメージとして「結構です」という言葉は、どことなく上から目線の感じがしませんか? そしてバッサリと切り捨てている感じもしますよね。使い方には充分注意しましょう。
例えば上司に「昨日の件は、あれで結構です」と言うと、何だかどちらが上司かわからない印象があります。正しい使い方の例としては、部下が上司に「昨日の件は、あれでよろしいでしょうか」と聞いた場合に、上司が部下に対して「昨日の件は、あれで結構ですよ」と言うのが正解です。
レストランではOK
「結構です」を目上の人に対して使うと失礼になる敬語ですが、レストランなどでは店員さんに対して使ってもOKです。例えば店員さんに「お飲み物のおかわりはいかがでしょうか」と聞かれた場合、「結構です」と断ることが可能です。
茶道の世界では「結構なお手前で」と良く言いますよね。そのことからもわかるように「結構です」には、「満足しました」という意味も含まれています。だからレストランでは「もう満足したので要りません」という意味で「結構です」を使ってもOKなのです。
「大丈夫です」は若者言葉
「結構です」という敬語を違う言葉に言い換えようとすると、若い人は「大丈夫です」と言う場合が多いですよね。この場合は「要りません」の意味で使っている人が多いのですが、これは単なる若者言葉であって「結構です」の言い換えにはならないのです。
つまり「大丈夫です」という言葉は「結構です」という意味を含んでいません。若者は率直に断るのが心苦しい時に「大丈夫です」と使うようです。例えば上司に「飲みに行かないか」と誘われた時に、断る意味で「わたしは大丈夫です」と言います。しかしこれではOKの意味に受け取られることが多いでしょう。
「これいる?」と聞かれた時に「いえ大丈夫です」と答えるのはかろうじて意味が通じますが、「結構です」の言い換えにはなりません。「体の具合はどう?」と聞かれた時に「もう大丈夫です」と答えるのが正しい使い方です。くれぐれも「結構です」の言い換えには使わないようにしましょう。
「結構です」の類義語
「結構です」は目上の人に対して失礼になるのなら、何か違う言葉に言い換えなければいけません。その場合に使える類義語をご紹介しましょう。「結構です」には、肯定的な意味と否定的な断る意味が含まれていますので、それぞれ見ていきましょう。
よろしいですの意味の類義語
「結構です」という敬語を他の言葉に言い換えるための類義語を見ていきましょう。肯定的な意味ですから「よろしいです」「構いません」「問題ありません」などが当てはまります。では【上司に対する「結構です」はNG】の項目で触れた「昨日の件は、あれで結構です」を言い換えるとどうなるでしょうか。
くれぐれも「昨日の件は、あれで大丈夫です」とは言わないようにしましょう。上司に対して適切な敬語とは言えません。正しい言い方は「昨日の件は、あちらで構いません」「昨日の件は、あちらで問題ありません」となります。
ちなみに「昨日の件は、あちらでよろしいです」はちょっと変ですね。「よろしい」を使うのは、相手にお伺いをたてる時にしましょう。「こちらでよろしいでしょうか」という使い方です。レストランの店員さんが良く使う「よろしかったでしょうか」に関しては、実は正しくないのです。正しくは「ご注文は以上でよろしいでしょうか」となります。
もう十分ですの意味の類義語
「結構です」という敬語を他の言葉に言い換えるための類義語で、否定的な意味になる言葉はいくつかあります。「遠慮します」「お断りします」「もう十分です」などが当てはまります。【「大丈夫です」は若者言葉】の項目で触れた例文に当てはめてみましょう。
上司に「飲みに行かないか」と誘われた時の断り文句として正しいのは、「遠慮します」や「お断りします」などです。でもこれでは直接的すぎて印象が悪いですよね。その場合には「お気持ちだけいただきます」と言うこともできます。
もっと言うなら、断る理由を説明すれば良いのです。「お誘いいただきありがたいのですが、今日は体調が優れないので遠慮させていただきます」などです。「遠慮します」だけでは、そっけないですからね。
正しい言い方は「構いません」「問題ありません」
「結構です」を正しい敬語にすると、「構いません」「問題ありません」となります。どちらも正しい敬語表現ですが、微妙にニュアンスが異なります。この2つの正しい使い方をご紹介しましょう。
「構いません」の使い方
「構いません」の意味は、差し支えないという意味の「構わない」を丁寧に表現した言い方です。つまり「問題ない」「気にしない」という意味で使われます。でも「構いません」という言葉は、自分を指した言葉のため、目上の人に対しては少し失礼な言い回しになることが予想されます。
主語は「わたし」になるからです。(「わたしは構いません」)少々極端な例を挙げると、「あなたのことは知らないけれど、わたしは構わない」という印象を相手に与えかねません。ただし主語が物になる場合は、相手が目上の人であってもOKと言えるでしょう。例文は「この書類は、こちらで構いません」などが当てはまります。
「問題ありません」の使い方
「問題ありません」の意味は、「構いません」と同じと考えて良いでしょう。「構わない」「差し支えない」「気にしない」「支障ない」という意味です。ひとつ違うことがあるとすれば、「構いません」と言うよりも、相手に対して丁寧な印象を与えることができます。
なぜなら「構いません」という敬語は、「相手に許可を出す」という意味が含まれているからです。【「構いません」の使い方】の項目で触れた例文を使うと、「この書類は、こちらで構いません」よりも「この書類は、こちらで問題ありません」の方がやんわりとした印象になりますよね。
さらに言うなら「この書類は、こちらで問題ございません」とすると良いでしょう。また取引先から約束の変更があった場合などに「10分ほど遅れますが、よろしいでしょうか」と言われたとします。その場合に「構いません。お待ちしております」と言うと、何となく上から目線の感じがしますよね。
この印象こそが「相手に許可を出す」という意味が含まれている理由なのでしょう。それよりも「問題ございません。お待ちしております」の方が、相手を安心させることができますよね。上から目線の印象もいくらか和らぎます。
使い方の難しい「結構です」
ここまでご説明してきたように、「結構です」という敬語の使い方はむずかしいです。「結構です」という敬語を使う場合のポイントを解説いたしましょう。さらに肯定的な意味と否定的な断る意味の両方がありますので、その区別の方法もあわせてご紹介します。
一言添えるとより丁寧
「結構です」という敬語は、軽い丁寧語なので使いやすいというメリットはあります。しかしシンプルすぎてそっけないという印象を与えてしまいますので、使い方には注意が必要だと言えます。「結構です」という敬語をより丁寧な言い方にするには、一言添えると良いでしょう。
いちばん簡単なのは「それで結構です」という肯定的な意味の使い方や、「もう結構です」という断る意味の使い方です。これでもまだそっけない印象は拭いきれませんね。その場合にはもっと丁寧に言いましょう。
肯定的な意味の「結構です」の場合は、「とてもわかりやすいので、これで結構です」などと表現すると良いでしょう。否定的な断る意味の「結構です」の場合は、「十分いただきましたので、もう結構です」などと表現すると良いでしょう。
誤解を招きやすい
「結構です」という敬語を使う場合、肯定的な意味なのか否定的な断りの意味なのか判断できない場合が多いです。それは相手に誤解を招きやすいので、注意して使う必要があるでしょう。また肯定や否定以外にも考えられるパターンがあります。例えば「何か他に良い提案はありませんか?」と質問された場合を考えてみましょう。
ここで「結構です」と答えたあなたは、どのような意味で言ったのでしょうか。「もう何もありません」という意味の「結構です」にも聞こえますし、「あるけど言いたくありません」という立腹している印象にも聞こえます。この場合は質問が否定なのでややこしいですが、前者は肯定的な意味です。
「はい、結構です」と付け加えるとわかりやすいですね。しかし後者は「いいえ、結構です」という否定的な意味になります。「結構です」という言葉には、肯定や否定以外にも、気分を害しているという印象も相手に与えてしまう恐れがあるということがわかりました。
「結構です」という敬語は、丁寧な言い方でありながらも使い方次第ではいろいろな波紋を呼ぶ厄介な言葉でもあります。正しい敬語なのに、使い方がむずかしいですね。だからなるべく他の言葉に言い換えて使った方が無難だと言えるでしょう。
まとめ
「結構です」という敬語は、肯定的な意味と否定的な断る意味が含まれています。だから言われた相手は文脈からどちらの意味なのか判断しなくてはいけないのです。わかりやすく丁寧に使う場合には、一言添えると良いでしょう。
また「結構です」を他の言い方に換えることができます。「かまいません」は「結構です」の肯定的な意味の言葉です。これに対して「遠慮します」は「結構です」の否定的な意味の言葉です。このように別の言葉に言い換えて伝えた方が、より相手に伝わりやすいですし、誤解を招くことも少ないでしょう。
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