今回は新しく熟語編に入ります。ここを読む方は「単語編」をクリアしていて単語暗記が済んでいることが前提となります。熟語暗記にも単語暗記と同じく「高速回転法」を用いるのですが、少し使い方を変えなければいけません。この違いを中心に熟語暗記の方法を伝えていきます。
TOEIC対策の単語集を買ってきて前回まで解説した高速回転法で暗記し終わったとします。その単語集が「2000語」レベルだったとしたら同レベルの熟語集はおよそ「1000語」になります。これはもちろん大学受験用の単語集・熟語集の関係でも一緒です。例えば「英単語ターゲット1900」という単語集があり、その名の通り1900語掲載されていますが、同レベルに設定されているのは「英熟語ターゲット1000」です。つまり暗記するのは約半分の量で済むことになります。単語編でお伝えした高速回転法を頑張ってクリアした方なら必ず暗記できる量です。
さらに質も違うのでさらに暗記量は減ります。準備編・第3回で述べた通り「熟語には単語が含まれている」からです。「当たり前じゃないか」と思う方も多いでしょうが、ここに単語暗記にはない熟語暗記だけのコツと難しさがあります。
「意味のないアルファベットの羅列とその意味を暗記しなければならないから」そして「ヒトは意味(理由)のないものは暗記しにくい」という理由で「高速回転法」を用いた単語暗記法を公開したのですが、熟語ははたして「意味のないアルファベットの羅列」といえるでしょうか?
これはYESでもありNOでもあります。
例えば「go to bed」は文字通り「ベッドに向かう⇒寝る」という意味です。これは構成している単語同士の意味が中学生レベルの学習を理解していれば分かるのでもはや「意味のないアルファベットの羅列」ではなくなり、すんなり頭に入るので特に暗記する必要がないでしょう。
では、「stand for~」=「〜を表す」ではどうでしょう? 「え?なんでstandなのかな?なんでforなのかな?」となり、「意味のないアルファベットの羅列」に見えるので、考えているより暗記してしまった方が早いといえます。実は「for=~に向けて」・「stand=立ち上がる」ので「~に向けて立ち上がる」⇒「意思を外に出す」⇒「~を表す」というように意味はきちんとあります。しかし「自分にとって」意味のない羅列に思えたら暗記する必要があるのです。
この後者の熟語に対して「高速回転法」を用いて暗記するわけですが、単語と違ってそれぞれの知識によって「そもそも暗記しなければならないか・その場で考えれば分かるか」に熟語は分かれるので各自で暗記量が分かれることになります。「暗記を徹底的に排除」という筆者の指導法からすると「暗記を排除したいがために含まれる単語からなるべく考える」ことが理想なのですが、「考えようとしすぎて時間がかかるくらいなら本末転倒だから暗記した方がいい」という判断を各自がしなければならない点で画一的な方法を紹介するのが最も難しい分野だといえます。
もちろん「高速回転法」を用いて暗記する後者のタイプの熟語に対しては「7日ワンセット」・「1秒で全ての意味が頭に浮かぶ」などのルールは単語暗記と全く一緒のやり方で身に付けていきます。
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