トップ > 中日スポーツ > スポーツ > 首都スポ > 記事

ここから本文

【首都スポ】

トライアスロン 流通経大・杉原、東京五輪へ一歩一歩

2016年10月6日 紙面から

日本トライアスロン選手権での活躍が期待される流通経大の杉原賞紀

写真

◇第22回日本選手権

(2016/東京・台場、兼NTTトライアスロンジャパンランキング最終戦)

 ▽9日▽お台場海浜公園(スイム1・5キロ)、お台場周辺道路(バイク40キロ、ラン10キロ)▽男子60人、女子61人▽日本トライアスロン連合、東京中日スポーツ・東京新聞主催

 2020年東京五輪のトライアスロンで活躍が期待される若手の筆頭候補に名乗りを上げるのが流通経大の杉原賞紀(たかのり、3年・滋賀短大付)だ。生まれ育った関西を離れて、茨城県龍ケ崎市へ。今夏のリオデジャネイロ五輪まで4大会連続出場した第一人者・田山寛豪監督(34)の流通経大トライアスロン競技部で練習に励む21歳の新鋭が、日本選手権で昨年以上の好成績を狙う。 (スポーツライター・高木遊)

 杉原が尊敬の思いを込めて言う。「苦しいところでしっかり粘れて落ち幅が少ない。練習前後の準備やケアなどすべての面で、とても勉強になります」。監督であり、部員とともにハードな練習もこなす現役選手でもある田山監督は最高のお手本になっている。

 大津市育ちで、チームケンズ京都(現AS京都)に通い、高校卒業後も1年間所属していたが、田山監督の誘いを受けて、トライアスロン競技部の第1期生として流通経大に入学した。田山監督は「スイム、バイク、ランすべてで、体の使い方がよいので、うまく省エネをすることもできます」と期待を寄せる。

 サッカー少年だった杉原が、トライアスロンを始めたのは中学2年の終わりごろ。先に妹の有紀(チームケンズ山梨、16年世界ジュニア選手権日本代表)がやっていたのを追うように始めた。わずか9カ月で中学日本一。「優勝候補だった選手に周回間違いがあったので、棚ぼたの優勝です」と本人は謙遜するが、自信になった。

 滋賀短大付高時代には11年、12年とアジアジュニア選手権を連覇。日本ジュニア選手権も12、13年と連覇。ステップアップを目指し、田山監督の門をたたいた。トライアスロンの魅力を杉原は笑顔でこう語る。

 「好きなところは、レースで最後まで何が起こるか分からず、誰が勝つか分からないところですね。やっている身としてはキツイですが、最終的には、ああ、楽しかったな、と終わります」

 トライアスロンと学業の両立を目指す学生生活はハードだ。朝は4時半に起床し、5時半にバイクを20キロ漕ぎ、ランニングコースへ。そのメニューが終わると、再びバイクで帰宅。朝食を8時20分ごろから取り、9時からは授業。そして授業後の午後4時20分からは、スイムの練習で約1時間半泳ぐ。練習後は体のケアをするため治療院に向かう。こうした日々が続くが、杉原は充実した表情だ。

 「社会学科では心理学を学んでいるので競技に生かせることも多いです。また、ここに来て長い距離(五輪と同じ距離)のレースにも慣れてきました」

 今年は、世界大学選手権(ユニバーシアード)で42位、日本学生選手権(インカレ)では13位と納得がいく成績が残せていないが、リオ五輪での田山監督を見て、これ以上ない刺激も受けた。「2年間一緒に練習してきて、苦しい練習をたくさんして、あの舞台に立たれた。自分ももっとできるのではないかと勇気をもらいましたね」。日本選手権は、そんな1年の集大成となる。

 「去年は8位だったので目標は5位です。監督と相談し、より現実的な目標を置きました」。一歩一歩、東京五輪に照準を合わせていく構えだ。「今年はスイムから速い展開になるはず。スイムとバイクで粘って、ランでも粘って諦めずにゴールまで走っていきたいです」。ふだんは穏やかな好青年は、そう言うと勝負師の目つきになった。

    ◇

 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」。トーチュウ紙面で連日展開中。

 

この記事を印刷する

PR情報

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ