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「情報科」専任教員は2割 地域で格差

全国の情報科担当教員数と専任の割合

 高校の必修教科で、パソコンなど情報機器の使い方や情報社会について学ぶ「情報科」を担当する全国の教員のうち、他の教科を担当しない専任教員は2割にとどまることが、電気通信大の中山泰一准教授(情報工学)らの調査で分かった。地域によってばらつきがあり、100%専任の自治体もあれば、専任がいない県もあった。中山准教授は「情報科を重要視している自治体と、そうでない自治体の差がはっきり出た。専任が少ない自治体は早急に教員の適正配置を進めるべきだ」と話している。【伊澤拓也】

 教員が普通免許状を持っていない教科を担当するには、都道府県教委が発行する「臨時免許状」(3年有効)を持つか、「免許外教科担任」(1年有効)の許可を受ける必要がある。専任である義務はなく、教員の配置は各都道府県教委に委ねられている。

全国の情報科担当教員数

 中山准教授らは、47都道府県に2015年5月1日時点の状況を情報公開請求し、公立高の情報担当教員数のほか、専任と兼任の内訳を調べた。専任の割合が最も高かったのは東京都で100%。埼玉県(91%)、沖縄県(81%)が続いた。一方、新潟、愛媛など5県は専任が一人もいなかった。

 東京都は予算規模が大きく、都教委が非常勤講師を効果的に配置するなどして唯一100%を達成。埼玉県教委は各校に専任教員1人配置を目標に毎年度、情報科の免許を持った志願者を採用している。県教委は「高度情報化社会の中で情報科は重要」としている。

 専任教員が53%で全国4番目に高かった大阪府教委は「実情に合わせ、必要数を採用している。各学校が特色ある授業づくりをする中で、他の科目の免許も持った教員が情報科の授業を行うことはある」としている。

 一方、専任教員が7%の千葉県教委教職員課は「必ずしも専任である必要はない。小規模校に授業数が少ない情報科の専任教員を置くのは難しい」と説明する。

全国の情報科担当教員数

 中山准教授は「必修化されてから13年が過ぎたのに、情報科がいまだに軽視されている証拠だ。兼任だとどうしても片手間になってしまう」と指摘。20年度に始まる大学入試センター試験に代わる新共通テスト「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」では、24年度から試験科目となる見通しで、中山准教授は地域格差について「生徒が受ける授業の内容にも格差が生じてしまう。専任が少ない都道府県は採用方針や教員配置を見直すべきだ」と話している。

 【ことば】情報科

 パソコンなどの使い方や情報社会について学ぶ教科で、2003年に必修化された。現行の学習指導要領では、高校生は「社会と情報」か「情報の科学」のいずれかの科目を履修しなければならない。22年度から実施される次期学習指導要領の改定案では、新科目の「情報1」が必修、発展的な内容の「情報2」が選択科目。私立を中心に入試科目に採用する大学が増えている。

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