「トルコの黒いバラ」の検証について色々
- 2016/10/05
- 23:21
・【デマ】夏に咲く「奇跡の黒バラ」 話題の画像に世界が釣られた! - BuzzFeed News
・トルコに真っ黒なバラが自生しているという話、残念ながらPhotoshopで加工されたものでした。 - Togetterまとめ
この件、突っ込みたいことがいくつかあったので色々調べていたらえらく長大な文章になってしまった。ややタイミングを逸した感はあるがせっかくなので公開する。
Snopesの検証が雑
「黒いバラ」の話題は元々カラパイアが紹介したことで有名になったが、老舗の検証サイトとして信頼厚いSnopes.comがこれに「FALSE(偽)」の判定を下す(注1)。3年弱経って今回「世界の花一覧」のツイートが拡散されると色々突っ込まれ、カラパイア記事とそれに対するSnopesの検証が注目される。これがきっかけになってか、カラパイアが遅まきながら追記・訂正をしたというのが顛末だ。
しかしSnopesのこの検証はいつになく随分と詰めが甘く、緻密さに欠けている。
Snopesは真っ黒なバラの写真は全てフォトショ加工写真か、または花自体が着色されたものだと断言する。しかしカラパイアが載せたいくつもの「黒いバラ」画像のうち実際に元画像を発見できたのは1枚だけ(注2)で、あとは「本物はこんなに黒くない」という間接的な論拠だけで押し通している。
しかし後述するように、本物のバラをこのように黒く撮ることは不可能とは言い切れない。
普段のSnopesならこのような間接証拠しか揃わなければ「PROBABLY FALSE(恐らく偽)」「UNPROVEN(証明されていない)」くらいに留める慎重さがあるのだが、今回はちょっと先走ってしまっている印象だ。カラパイアが出典の怪しい画像ばかり載せたのはそもそも悪いのだが、そんなに簡単に「デマだった」と全面降伏するのも何だか腑に落ちない。
(注1) Snopesが「FALSE」とでかでかと掲げたのはよく見ると「トルコで希少な黒いバラが自生している」という命題に対してなのだが、本文ではバラの写真が本物かどうかの話をしているので、論点が混同されてしまって分かりにくい。また後述するように、カラパイアは「自生」ではなく「生息」と書いているため「FALSE」かどうかは一概に言いにくい。
(注2) その画像も現在では載っておらず、カラパイア記事に本当にあったのかは不明。アーカイブを見ると消えた画像(レタッチ跡が見えるので加工されていることが明らか)もあるがSnopesが指摘したのとは別の物で、全体としてはむしろ画像は増えている。またSnopesは加工前とされる画像の出典を示していないので、こちらの方こそ加工だという可能性が残ってしまい証明として不完全である。
本物の「黒いバラ」はどのくらい黒いのか?
「黒いバラ」と呼ばれる品種がトルコに存在するのは本当である。SnopesもToday's Zaman(アーカイブ)(注3)を参照しこれを認めている。
記事によれば、トルコのハルフェティ(注4)は貴重な「黒いバラ」で知られていたが、ダム建設に伴ってかつての町は河に沈むこととなり、10kmほど離れた場所に新しいハルフェティができた。バラはかつてと同じように植えられたが環境の変化に適応せず、その数は減りつつある。かつての町に近い場所の温室で育てるなど、町政による保護の動きも始まっている。「黒いバラ」は背丈が普通のバラよりやや低く、春や秋には暗い赤色だが夏にはより黒くなるという。
SnopesはToday's Zamanの写真を見て「本当の『黒いバラ』の黒さはこの程度のはずだ。だから真っ黒いバラの画像は全て偽物である」と断じているが、どうも首肯しかねる。なぜなら写真の花はいかにもつぼみが開き始めたばかりという様子で、夏にかけてさらに黒くなるという記事中の説明から考えるとこれからもっと黒さが増してもおかしくない。
じゃあ「黒いバラ」がちゃんと開いて旬を迎え、マックスに黒くなるとどのくらいなのかと知りたいところだが、出典不明の真偽の怪しい画像ばかりが蔓延していてなかなか信憑性の高そうな情報を探すのに骨が折れた(注5)。全く読めないトルコ語をGoogle翻訳を駆使して調べたが、どうやらトルコ語で「黒いバラ」は「siyah gül」あるいは「karagül」と言うらしい。
動画があった。下3つはいずれもトルコ国内のTV局による「黒いバラ」の映像である。
・Halfeti "Kara Gülün Sırrı" Belgeseli - FOX Sponsorluğunda Karagül dizisi için hazırlanmıştır. - Dailymotion Video(1:20頃~)
・Karagül dünyaya açılacak - Video Dailymotion
・GÜZERGAH (Halfeti, Birecik - Şanlıurfa) 13.04.2014 - YouTube(15:40頃~)
どれも真っ黒というほどではない。ただしこれらの映像もバラが最も旬の時のものなのかは分からない(トルコ語を聞き取れれば分かるのかもしれない)。
(注3) Today's Zamanはトルコの新聞ザマンの英語版。ザマンは今年3月に政権の介入を受けて以降、英語版共々サイトや過去の記事が全て見られない状態になっている。ダム建設で希少な植物が危機に瀕しているという記事も政治批判のニュアンスを読み取れなくもない。
(注4) 「the southeastern town of Halfeti」というのは「(トルコの)南東部の町ハルフェティ」だと思うので、カラパイアや「世界の花一覧」の書く「ハルフェティ南東部」は恐らく誤訳だろう。ハルフェティの町の位置自体が昔と今で違うのだから町の中の場所を厳密に書いても意味が無い。
(注5) ハルフェティの町の公式サイトですら信用ならない。サイトがリニューアルされたためかアーカイブしか残っていないが、画像が見られないのでBBSに転載されているものを見るとカラパイアが載せてるのと同じ画像があったようだ。しかしカラパイアの画像に見られる左上の「BuketCicek.Com」という署名が切り取られたり塗りつぶされたりしてあからさまに消されている(ついでに言えば2つ目の画像は花と萼の境のあたりが見るからに合成っぽい)。残念ながらソースとして論外だ。また別の公式サイトにも「黒いバラ」の画像があるが、特徴的なクシャクシャッとした花と硬そうな葉の感じがTV映像などと比べて整合せず、別の品種なのではと思える。
本当に黒い写真もある?
さらに探しているうちに、「黒いバラ」を育てている園芸農家のFacebookを発見(要ログイン)(注6)。写真があまり上手くなくて加工技術とか持ってなさそうな感じが好感が持てる。
・Mehmet Ali Sağır | Facebook
こちらはほぼ真っ黒に見える写真もある。どうやら写し方の具合で本物のバラをかなり黒く撮ることはできるようだ。十分に明るい環境で撮った写真だと赤っぽくなるようなのでその方が本当の色に近いとも言えるが、「真っ黒なバラの写真は全部偽物」というSnopesの主張は単純すぎるのではと思えてくる。「強い光が当たっているのに少しも赤みが見えないほど黒いのは疑わしい」、あるいは別角度から「花や葉の特徴がトルコで栽培されている『黒いバラ』とは別物である」という検証をするべきだろう(上述のTogetterにはこういった観点からの指摘がある)。カラパイアや「世界の花一覧」の画像はこれに照らし合わせると多くは否定できそうだが、一部確信を持てない物もある。
(注6) HPもあるのだが、背景にも使われている一番黒い画像は恐らく拾い物。花や葉の感じが他のものと違うし、写真も1つだけきれいすぎるように見える。とかく誰が信用できるのか分からない…。
画像の出所は分からない
カラパイアや「世界の花一覧」が貼った画像が加工されている事を証明するには、Snopesが(1枚だけ)やったみたいに、加工元の画像を提示するのが一番話が早い。ところがこれがことごとく見つからない。どこから拾われた画像なのかも分からない(注7)。そもそも元々着色された花を撮った物だとしたら元画像も何も無い。結局この線で調べるのは諦めた。
(注7) ただ1つ、「世界の花一覧」の1枚が元はフォトストックだということを突き止めた。だからといって加工かどうかは分からない。
「生息」とは?
その他、それなりに信憑性がありそうな記述の中から「黒いバラ」に関する情報を集めた(注8)。
・学名「R. odorata」の一種である。
・ハルフェティの町長は「町外で育てても黒くならない」とアピールしている。
・しかし別の記事によれば、オランダで温室栽培されたものが輸入されトルコで高値で売れているらしい。(温室を使わない)自然の環境で育つのはハルフェティのみだという。
・ザマンのフランス語版では少し慎重な書きぶりで、「ハルフェティは黒いバラがよく育つ唯一の土地」「黒くなる理由は町の気候や土壌で部分的に説明できる」「町以外ではうまく黒い花にならない所もある」と、ハルフェティ以外で「黒いバラ」が育つことに含みを持たせている。またイスタンブール大学のTurhan Baytop教授の研究によればこのバラは19世紀にフランスで作出された「ルイ14世」という品種が何らかの経緯で持ち込まれて生まれたのだという。
つまり近年フランスにそのルーツがあることが判明したものの、「黒いバラ」はほとんど土着の品種として地元の人々に認識され育てられているらしい。ハルフェティ以外で黒くならないというのもやや伝説的で絶対ではないが、それなりの科学的な理由はあるようだ。
これを踏まえて「黒いバラ」が「ハルフェティにのみに生息する」というのは正しいか否か。実はカラパイアも「世界の花一覧」も「生息」という言葉を使っていて「自生」とは言っていない。人の手によって栽培されているので「自生」でないのは確かとして、「伝統的にハルフェティのみで見られる」という意味で一応定義上「自然下で」を含まない「生息」という言葉を使うのは、極めてギリギリの線だが違わないと言えば違わないかもしれない。ただし読み手の意識としてはこの文脈で「自生」と「生息」はほぼ同義だろうから好意的解釈はほどほどにしておく。
(注8) ただしそこに載っている画像は必ずしも信用できないので注意。
ともあれ
検証側の細かい(しかし重要だと思う)ところは突っ込んだが、カラパイアや「世界の花一覧」が紹介した画像は概ね疑わしいと思うこと、出典の分からない画像や文章を拡散させる行為を認めるつもりが無いことは揺るがないので留意いただきたい。
・トルコに真っ黒なバラが自生しているという話、残念ながらPhotoshopで加工されたものでした。 - Togetterまとめ
この件、突っ込みたいことがいくつかあったので色々調べていたらえらく長大な文章になってしまった。ややタイミングを逸した感はあるがせっかくなので公開する。
Snopesの検証が雑
「黒いバラ」の話題は元々カラパイアが紹介したことで有名になったが、老舗の検証サイトとして信頼厚いSnopes.comがこれに「FALSE(偽)」の判定を下す(注1)。3年弱経って今回「世界の花一覧」のツイートが拡散されると色々突っ込まれ、カラパイア記事とそれに対するSnopesの検証が注目される。これがきっかけになってか、カラパイアが遅まきながら追記・訂正をしたというのが顛末だ。
しかしSnopesのこの検証はいつになく随分と詰めが甘く、緻密さに欠けている。
Snopesは真っ黒なバラの写真は全てフォトショ加工写真か、または花自体が着色されたものだと断言する。しかしカラパイアが載せたいくつもの「黒いバラ」画像のうち実際に元画像を発見できたのは1枚だけ(注2)で、あとは「本物はこんなに黒くない」という間接的な論拠だけで押し通している。
しかし後述するように、本物のバラをこのように黒く撮ることは不可能とは言い切れない。
普段のSnopesならこのような間接証拠しか揃わなければ「PROBABLY FALSE(恐らく偽)」「UNPROVEN(証明されていない)」くらいに留める慎重さがあるのだが、今回はちょっと先走ってしまっている印象だ。カラパイアが出典の怪しい画像ばかり載せたのはそもそも悪いのだが、そんなに簡単に「デマだった」と全面降伏するのも何だか腑に落ちない。
(注1) Snopesが「FALSE」とでかでかと掲げたのはよく見ると「トルコで希少な黒いバラが自生している」という命題に対してなのだが、本文ではバラの写真が本物かどうかの話をしているので、論点が混同されてしまって分かりにくい。また後述するように、カラパイアは「自生」ではなく「生息」と書いているため「FALSE」かどうかは一概に言いにくい。
(注2) その画像も現在では載っておらず、カラパイア記事に本当にあったのかは不明。アーカイブを見ると消えた画像(レタッチ跡が見えるので加工されていることが明らか)もあるがSnopesが指摘したのとは別の物で、全体としてはむしろ画像は増えている。またSnopesは加工前とされる画像の出典を示していないので、こちらの方こそ加工だという可能性が残ってしまい証明として不完全である。
本物の「黒いバラ」はどのくらい黒いのか?
「黒いバラ」と呼ばれる品種がトルコに存在するのは本当である。SnopesもToday's Zaman(アーカイブ)(注3)を参照しこれを認めている。
記事によれば、トルコのハルフェティ(注4)は貴重な「黒いバラ」で知られていたが、ダム建設に伴ってかつての町は河に沈むこととなり、10kmほど離れた場所に新しいハルフェティができた。バラはかつてと同じように植えられたが環境の変化に適応せず、その数は減りつつある。かつての町に近い場所の温室で育てるなど、町政による保護の動きも始まっている。「黒いバラ」は背丈が普通のバラよりやや低く、春や秋には暗い赤色だが夏にはより黒くなるという。
SnopesはToday's Zamanの写真を見て「本当の『黒いバラ』の黒さはこの程度のはずだ。だから真っ黒いバラの画像は全て偽物である」と断じているが、どうも首肯しかねる。なぜなら写真の花はいかにもつぼみが開き始めたばかりという様子で、夏にかけてさらに黒くなるという記事中の説明から考えるとこれからもっと黒さが増してもおかしくない。
じゃあ「黒いバラ」がちゃんと開いて旬を迎え、マックスに黒くなるとどのくらいなのかと知りたいところだが、出典不明の真偽の怪しい画像ばかりが蔓延していてなかなか信憑性の高そうな情報を探すのに骨が折れた(注5)。全く読めないトルコ語をGoogle翻訳を駆使して調べたが、どうやらトルコ語で「黒いバラ」は「siyah gül」あるいは「karagül」と言うらしい。
動画があった。下3つはいずれもトルコ国内のTV局による「黒いバラ」の映像である。
・Halfeti "Kara Gülün Sırrı" Belgeseli - FOX Sponsorluğunda Karagül dizisi için hazırlanmıştır. - Dailymotion Video(1:20頃~)
・Karagül dünyaya açılacak - Video Dailymotion
・GÜZERGAH (Halfeti, Birecik - Şanlıurfa) 13.04.2014 - YouTube(15:40頃~)
どれも真っ黒というほどではない。ただしこれらの映像もバラが最も旬の時のものなのかは分からない(トルコ語を聞き取れれば分かるのかもしれない)。
(注3) Today's Zamanはトルコの新聞ザマンの英語版。ザマンは今年3月に政権の介入を受けて以降、英語版共々サイトや過去の記事が全て見られない状態になっている。ダム建設で希少な植物が危機に瀕しているという記事も政治批判のニュアンスを読み取れなくもない。
(注4) 「the southeastern town of Halfeti」というのは「(トルコの)南東部の町ハルフェティ」だと思うので、カラパイアや「世界の花一覧」の書く「ハルフェティ南東部」は恐らく誤訳だろう。ハルフェティの町の位置自体が昔と今で違うのだから町の中の場所を厳密に書いても意味が無い。
(注5) ハルフェティの町の公式サイトですら信用ならない。サイトがリニューアルされたためかアーカイブしか残っていないが、画像が見られないのでBBSに転載されているものを見るとカラパイアが載せてるのと同じ画像があったようだ。しかしカラパイアの画像に見られる左上の「BuketCicek.Com」という署名が切り取られたり塗りつぶされたりしてあからさまに消されている(ついでに言えば2つ目の画像は花と萼の境のあたりが見るからに合成っぽい)。残念ながらソースとして論外だ。また別の公式サイトにも「黒いバラ」の画像があるが、特徴的なクシャクシャッとした花と硬そうな葉の感じがTV映像などと比べて整合せず、別の品種なのではと思える。
本当に黒い写真もある?
さらに探しているうちに、「黒いバラ」を育てている園芸農家のFacebookを発見(要ログイン)(注6)。写真があまり上手くなくて加工技術とか持ってなさそうな感じが好感が持てる。
・Mehmet Ali Sağır | Facebook
こちらはほぼ真っ黒に見える写真もある。どうやら写し方の具合で本物のバラをかなり黒く撮ることはできるようだ。十分に明るい環境で撮った写真だと赤っぽくなるようなのでその方が本当の色に近いとも言えるが、「真っ黒なバラの写真は全部偽物」というSnopesの主張は単純すぎるのではと思えてくる。「強い光が当たっているのに少しも赤みが見えないほど黒いのは疑わしい」、あるいは別角度から「花や葉の特徴がトルコで栽培されている『黒いバラ』とは別物である」という検証をするべきだろう(上述のTogetterにはこういった観点からの指摘がある)。カラパイアや「世界の花一覧」の画像はこれに照らし合わせると多くは否定できそうだが、一部確信を持てない物もある。
(注6) HPもあるのだが、背景にも使われている一番黒い画像は恐らく拾い物。花や葉の感じが他のものと違うし、写真も1つだけきれいすぎるように見える。とかく誰が信用できるのか分からない…。
画像の出所は分からない
カラパイアや「世界の花一覧」が貼った画像が加工されている事を証明するには、Snopesが(1枚だけ)やったみたいに、加工元の画像を提示するのが一番話が早い。ところがこれがことごとく見つからない。どこから拾われた画像なのかも分からない(注7)。そもそも元々着色された花を撮った物だとしたら元画像も何も無い。結局この線で調べるのは諦めた。
(注7) ただ1つ、「世界の花一覧」の1枚が元はフォトストックだということを突き止めた。だからといって加工かどうかは分からない。
「生息」とは?
その他、それなりに信憑性がありそうな記述の中から「黒いバラ」に関する情報を集めた(注8)。
・学名「R. odorata」の一種である。
・ハルフェティの町長は「町外で育てても黒くならない」とアピールしている。
・しかし別の記事によれば、オランダで温室栽培されたものが輸入されトルコで高値で売れているらしい。(温室を使わない)自然の環境で育つのはハルフェティのみだという。
・ザマンのフランス語版では少し慎重な書きぶりで、「ハルフェティは黒いバラがよく育つ唯一の土地」「黒くなる理由は町の気候や土壌で部分的に説明できる」「町以外ではうまく黒い花にならない所もある」と、ハルフェティ以外で「黒いバラ」が育つことに含みを持たせている。またイスタンブール大学のTurhan Baytop教授の研究によればこのバラは19世紀にフランスで作出された「ルイ14世」という品種が何らかの経緯で持ち込まれて生まれたのだという。
つまり近年フランスにそのルーツがあることが判明したものの、「黒いバラ」はほとんど土着の品種として地元の人々に認識され育てられているらしい。ハルフェティ以外で黒くならないというのもやや伝説的で絶対ではないが、それなりの科学的な理由はあるようだ。
これを踏まえて「黒いバラ」が「ハルフェティにのみに生息する」というのは正しいか否か。実はカラパイアも「世界の花一覧」も「生息」という言葉を使っていて「自生」とは言っていない。人の手によって栽培されているので「自生」でないのは確かとして、「伝統的にハルフェティのみで見られる」という意味で一応定義上「自然下で」を含まない「生息」という言葉を使うのは、極めてギリギリの線だが違わないと言えば違わないかもしれない。ただし読み手の意識としてはこの文脈で「自生」と「生息」はほぼ同義だろうから好意的解釈はほどほどにしておく。
(注8) ただしそこに載っている画像は必ずしも信用できないので注意。
ともあれ
検証側の細かい(しかし重要だと思う)ところは突っ込んだが、カラパイアや「世界の花一覧」が紹介した画像は概ね疑わしいと思うこと、出典の分からない画像や文章を拡散させる行為を認めるつもりが無いことは揺るがないので留意いただきたい。
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