2016/09/08 | 個と公 | | by 高森 |
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人は確立した主体性を備え、その「個」が強固であるほど、
明確な覚悟と責任感を持って「公」を支えることができる。
そうでなければ私心、私情に足を取られ、
ややもすれば衆愚に埋没してしまう。
この度の天皇陛下のお言葉ほど、
その事実を改めて痛感させた例は
他にないだろう。
陛下がいかに強靭かつ堅固な
主体性を備えておられるか。
一億を超える国民と真正面から対峙して、
それを圧倒し去るほど確固たる「個」を持つ人物など、
陛下以外に想像もできない。
圧倒的なまでに強烈な個人性を持つが故にこそ、
ご自身を自覚的に「公」に捧げ尽くし、徹底して「無私」。
だからこそ、余人には到底真似し難い高貴な勇気を、
自然体で発揮することができる。
普通に考えても、先のビデオメッセージによるご譲位への
断固たる意思表明など、よほど並外れた勇気がなくては、
とても出来ない。
しかも、それを全く感じさせないほど自然体であられた。
陛下の勇気が比較を絶したレベルだからだ。
その陛下と比べるのは気の毒だが、現在の政治指導者、
安倍首相は「一強多弱」などと囁かれながら、余りにも“ひ弱”に
見える。
だが、陛下のお気持ちが全国民の前で明らかになり、
更にそれを全面的に受け入れる国民の意思も明確になった以上、
安倍首相は私心、私情をほんの僅かでも抑え、己れの保身のみを
考えるのではなく、国の為、国民の為、皇室の為、公の為に、
決して誤魔化すことなく真摯に誠実に、陛下のお気持ちに全力で
お応えする「覚悟」を持たねばならない。
それは、陛下の万分の一、億分の一の勇気を
振り絞ることさえできれば、いとも容易いことであるはずだ。