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邦楽界の生きるレジェンドクラスである山下達郎のライブに行ってきました。キャパが400~500ちょっとという新宿ロフトで彼を見ることが出来るなんてそうそうないですよ。というのも今から30年以上前に荻窪にあったロフト時代…彼率いるシュガーベイブが頻繁にライブをやっていた縁があって成り立ったこの企画があるんです…みたいな事を本人が言ってました。それだけ長い年数が経っても繋がりがある人がいるなんてちょっと羨ましいです。

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OPEN時間の一時間前に到着しましたが実質入れたのは2時間後…。整理番号を1人づつ呼ぶもんだから入場できるまでえらく時間がかかりました。山下達郎は映像作品を一切残さない事で有名です。しかもドーム級の場所でライブは絶対にやりません。でかくてもホールクラス…なのでチケットは毎回毎回抽選が前提…しかも音楽関係者への斡旋もありません。(ここら辺は好感もてます。)

なので中々チケットがとれないアーティストとして知られています。これが一度は絶対山下達郎のライブには行った方がいいと言われる所以なんですよね。本人のMCで分かったことですが今回は何と500枚のチケットに6万人が応募!!120人に1人の割合で選ばれたことになります。よく当選したな自分…。

ライブ中は撮影、写真一切禁止。多分これはライブに来てお金を払ってくれた人だけに純粋にその場でしか生まれない生の音楽を楽しんでもらいたいという理由からきてると思いますが…。

文章でライブの様子を伝えていくことになりますが、何といっても山下達郎の歌唱力が凄すぎました。声が一切劣化してません。

この頃と声がまったく変わってないんですよ…まさに口からCD音源…いやそれ以上の歌声が突き刺さってました。目をつぶって聴いてみるととても63歳の還暦すぎた人の歌声とは思えないぐらい。湿り気があるけど透き通ったあの声は健在です。PA全体の音量が若干小さかったのが心残りですが、それを抜きにしても難波弘之と伊藤広規の巧みなキーボード音とベース音と一体化させたアンサンブルに驚きの連続。知らない曲でも感動できました。

これだけ知名度があるアーティストだと単純に曲を演奏して終わるんじゃないかと内心思ってましたが場所がライブハウスということもあってまあサービス精神が凄いこと凄いこと。ラジオ番組をやっているだけあってMCも抜群に上手いし、ユーモアのある言葉選びが印象的。夜遅くまでライブをした後に飲みに行き、それからはゲーセンに入り浸り、始発で帰って寝て、またライブというシュガーベイブ時代の話しや30年前の東京の風景…ロフトのオーナーとのエピソードなど貴重なお話をこれでもかと喋りまくる。

それに加えて「ただの洒落だから」とか言って硝子の少年をカラオケ形態で披露するわ、アカペラ作品であるon the street cornerをマイク無しで歌う、カバー曲も1930年代のブルースから鈴木茂の砂の女、マーヴィン・ゲイのWhat's going onなど種類豊富。立ちっぱなしなのが少々辛かったですがこんな小さい箱でこれだけやってくれて間近で見ることが出来ただけでも感無量ですよ。

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ライブも終盤に差し迫ってからはBomber、Ride on time、クリスマス・イブともうやって欲しかった曲を連発で演奏。まさか生でこれだけの曲を一回のライブで聴けるとは思ってませんでしたね…。自分のやりたいことと観客が望んでいることを半々でステージングをこなしていくという正にプロの在り方をまざまざと見せつけられました。



ライブも良かったですが、MCの内容も関心する内容の連続。
100人のライブができれば武道館はできます。でも武道館ができても100人のライブはできない。それがライブの難しさ。一番難しいのは1対1。あなたと私でやりあう。」これが特に印象に残ってます。これだけ名曲を量産している人でもリスナーに伝えることの難しさを実感してるんですね…この人が言うと重みが違います。

若いミュージシャンへのアドバイスとして「才能がある人ほどすぐ心が折れてしまうんですねぇ。逆に才能がない人ほどなんで俺の良さが分かんねえんだ!みたいに言いますけど、まあ若い人達には心が折れそうになっても継続をやめずに続けて欲しいものです」と有難いアドバイス。

ブログのタイトルにもなってますが「カラオケに連れていかれてですねぇ…知人の女性にクリスマス・イブを歌ってほしいとせがまれまして歌ってみた所、何か違うなと。そしたら原曲のKEYより−5も下がってるんですよ。これに後から気付いたんですが、その女性になんか違う…歌下手だねと言われました。しかも点数が18点。もう少し作曲者の意図を汲み取るよう努力しましょうとか書かれてましたからね…あれは嫌な思い出です」とこれは流石に笑いました。音楽も一流ですがトークスキルも一流ですね。

スタンディングで7500円と少々高額ですがいやあ実に楽しい時間を過ごせて何より。正直この値段なら安いとまで思いました。アコースティックライブとは言え普通のワンマンライブなんて2時間ぐらいで終わるのが当たり前です。ですがこの日はなんと3時間近くライブをやってて衰えを感じさせませんでした。恐るべし63歳!!マジで自分も同じぐらいの歳になったらこんな風に年をとりたいものです。余韻に浸りたいのでしばらくは山下達郎タイムを満喫しましょうかね。では今日はこの辺で。


とにかく作品数が多いのでどれから入ればいいのか分からない人はこれから入門すればいいみたいです。ジャケットに関してはこれはこれでいいんじゃないかと思います。