小若理恵
2016年10月4日19時07分
震災の復興支援を続ける「ボランティアバス」が危機に直面している。参加者を募り、交通費を集めることが旅行業法違反にあたるなどと指摘されたためだ。東北や熊本へのボランティア派遣をやめる動きもあり、「厳格すぎる」と悲鳴が上がっている。
名古屋市のNPO法人「被災者応援 愛知ボランティアセンター」(愛知ボラセン)は、東日本大震災直後の2011年3月から被災地にボランティアを派遣してきた。週末を利用し、0泊3日(車中泊)のバスツアーを企画。これまでに8千人以上を派遣し、被災地の一つ、宮城県石巻市十八成(くぐなり)浜の復興を後押ししてきた。
当初は運転手2人を直接雇い、マイクロバス(定員20人)をレンタル。参加者からバス代として1万3千円を徴収した。しかし、これが道路運送法違反(白バス)の疑いがあると指摘された。今年1月、参加者が警察に事情聴取されたことを受け、ツアーを中止した。
4月、熊本地震の発生後、愛知ボラセンは同法に触れないよう旅行業者を通じて大型バスツアーを企画した。ところが、今度は旅行業法の壁が立ちはだかった。
愛知ボラセンが契約したのは、自社で募集する企画旅行ができない「第3種旅行業者」。観光庁は5月、「旅行業の登録のないNPOなどが参加者を募り、交通費を集めるのは旅行業法違反にあたる」として、都道府県に是正を求める通知を出した。ほかの支援団体が旅行業の登録なくバスを運行したことも旅行業法違反とされた。愛知ボラセンは6月までに計6回、370人のボランティアを熊本に派遣したが、中止を余儀なくされた。
再開に向け、8月には国内ツアーを扱える「第2種旅行業者」に依頼して十八成浜へのボランティアバスを再び企画。だが、旅行業者に支払う大型バス代などの経費が高額になるため、参加費を2万円に「値上げ」せざるを得なかった。ホームページやSNSで参加を呼びかけたが、バスを出せる最低の35人を集められず、中止した。
十八成浜では、津波で流された…
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