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為替概況

英ポンド、31年ぶり安値 単一市場離脱を警戒

2016/10/4 22:21
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 【ロンドン=黄田和宏】英通貨ポンドの下げが加速している。4日のロンドン外国為替市場では対ドルで一時1ポンド=1.27ドル台前半に下落。6月下旬の国民投票の直後につけた直近の安値を下回り、1985年以来、31年ぶりの安値を更新した。メイ政権が強硬姿勢で欧州連合(EU)との離脱交渉に臨むとの見方から、金融市場にはEU単一市場へのアクセスを失うとの警戒感が広がる。

3日、英バーミンガムで保守党大会の会場に到着したメイ首相=ゲッティ共同

3日、英バーミンガムで保守党大会の会場に到着したメイ首相=ゲッティ共同

 メイ首相は2日、与党保守党の党大会で演説し「EUから離脱するのに再び移民制限を放棄するわけにはいかない」と述べた。4日の英BBCのラジオ番組では「野心的に交渉する」と語ったものの、関税なしで自由に域内で貿易できる単一市場へのアクセスよりも、移民制限を優先するとの懸念が強まっている。

 カナダ金融大手RBCキャピタル・マーケッツのサム・ヒル氏は「メイ氏の姿勢は単一市場から離脱した場合の不透明感を高め、短期的に経済に悪影響がある」とみる。

 ポンド安はEU域外への輸出競争力を高めるメリットがある。ただし英国が関税同盟を離脱すれば、最大の貿易相手であるEUへの輸出コストが高まるだけでなく、通貨安によってEUからの輸入コストも上昇する可能性が高い。英運用会社インベステック・ウェルス&インベストメントのシーレン・シャー氏は「直接投資の減速を通じてポンドにはさらに売り圧力が高まる」と話す。

 英国がEU単一市場へのアクセスを失えば、EUが認める「パスポート」制度を用い、英国を拠点とする金融機関がEU各国にサービスを提供できなくなる。英金融街シティーの存在感が低下するのは避けられず、通貨ポンドの国際的な地位の低下につながるとの懸念も通貨安を促している。

 対照的に株式市場では英主要企業で構成するFTSE100種株価指数が4日、節目の7000台を上回り、昨年4月につけた過去最高値に迫った。ロンドン市場は資源やエネルギー関連などの多国籍企業が多く上場。これらの企業の海外売上高は全体の7割を占め、ポンド安が海外収益を押し上げるためだ。

 もっとも内需企業では通貨安は原材料の輸入コストの上昇を通じて、経営を圧迫するおそれがあり、大企業と内需系の中小企業の間で景況感の格差が広がっている。

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