シャラポワ選手の資格停止1年3か月に短縮

シャラポワ選手の資格停止1年3か月に短縮
ことし1月に行われたドーピング検査で禁止薬物に陽性反応を示した女子テニスの人気選手、ロシアのマリア・シャラポワ選手がITF=国際テニス連盟による2年間の資格停止処分を不服としてCAS=スポーツ仲裁裁判所に提訴した問題で、CASは資格停止の期間を1年3か月とする決定を出しました。
シャラポワ選手はことし1月、全豪オープンで行われたドーピング検査で禁止薬物メルドニウムが検出され、国際テニス連盟から2年間の資格停止処分を受けましたが、この処分を不服としてCAS=スポーツ仲裁裁判所に提訴していました。

CASは4日、シャラポワ選手が「処方されていた薬の成分が禁止薬物に指定されたことを知らなかった」と釈明したことに対して、「選手には薬に禁止薬物が含まれるかどうか確認をしなかった過失がある」と指摘した一方で、「重大な過失があったとまではいえない」としてシャラポワ選手の訴えを一部認め、資格停止の期間を2年間から9か月短縮して1年3か月とする決定を出しました。

この結果、シャラポワ選手の資格停止は来年の4月末までとなり、5月の全仏オープンには復帰が可能となります。

CASは当初、ことし7月に結論を出す予定でしたが、シャラポワ選手と国際テニス連盟の証拠の提出に時間がかかるとして延期し、シャラポワ選手は、代表に選ばれていたリオデジャネイロオリンピックに出場できませんでした。

「来年4月にテニスの舞台に戻れる」

マリア・シャラポワ選手は、4日、CASの発表からまもなく自分のフェイスブックを更新し、「私のキャリアの中で最もつらい日々が、最高に幸せな日々に変わった。来年4月にテニスの舞台に戻れる」と処分期間の短縮を喜びました。

フェイスブックの中でシャラポワ選手は、メルドニウムを長年服用し、禁止薬物に指定された後もそれを知らずに使い続けたことについて自分の責任を認めたうえで、「テニス以外の競技団体は、禁止薬物のルールが変わったことについて、特にメルドニウムが広く使われている東ヨーロッパで選手たちに積極的に知らせていた。国際テニス連盟やテニスのアンチドーピングの関係者にも理解してほしい」と述べ、国際テニス連盟のメルドニウムに関する周知が十分ではなかったと対応への不満も示しました。そして最後に、「またテニスに戻ることが待ちきれない」と締めくくって改めて喜びを表現しました。

全豪オープンのドーピング検査で発覚

ロシアのマリア・シャラポワ選手は、29歳。4歳でテニスを始め、9歳からのちに錦織圭選手も活動するアメリカ・フロリダ州のテニスアカデミーで英才教育を受けました。

1メートル88センチの長身を生かした強力なストロークが持ち味で、2004年、17歳の時にウィンブルドン選手権を制して四大大会初優勝を果たしました。2005年に初めて世界ランキング1位となり、2012年には全仏オープンで優勝し、四大大会すべてを制覇する「生涯グランドスラム」を達成しました。

これまでにシングルスでは四大大会5勝を含むツアー通算35勝をあげていて、実力はもちろん、華麗な容姿から「ロシアの妖精」とも言われる世界的な人気選手の1人です。

ことし3月、1月の全豪オープンのドーピング検査で禁止薬物のメルドニウムに陽性反応を示したことが発覚し、6月にITF=国際テニス連盟から2年間の資格停止処分を受けました。これに対し、シャラポワ選手は直ちにCAS=スポーツ仲裁裁判所に処分の取り消しなどを求めて提訴していました。

シャラポワ選手は1月の全豪オープンを最後にツアー大会やリオデジャネイロオリンピックに出場しておらず、最新の世界ランキングでは95位まで下がっています。