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今日、世界ではおよそ200種の天然宝石が知られている。皆も良く知っている、ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドといった宝石はもちろん、数多くの準宝石(品質や需要などが宝石よりは若干劣るもの)が存在するのだが、その一部は希少性ゆえに宝石すら凌駕する価格で取引される。
ここでは、そうしたレア中のレアな宝石を10種ほどみていこう。
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1. タンザナイト(産地:タンザニアのみ)
image credit: GeologMax / Wikimedia // CC BY-SA 4.0
美しい青を呈するゾイサイトの一種。タンザニア、キリマンジャロ山の麓にある限られたエリアでしか採れないことからその名がついた。
1960年代になってようやく商業ベースに乗る産出量が確保され、ティファニーの後押しもあり、人気が高まっている。高温で熱処理すると青が一層鮮やかとなるため、ほとんどのタンザナイトがこの処理をされているが、未処理でも鮮やかな青を持つものは一際高い価格がつく。産地が限られているため、ここで採り尽くされれば、別の産地が発見されないかぎり新しいタンザナイトは市場に供給されないことになる。
2. ブラックオパール(暗いものほど高品質)
image credit:Daniel Mekis /Wikimedia Commons // CC BY-SA 3.0
通常のオパールはクリームを帯びた白で、動かすと光の反射により虹色に輝く。はるかに希少なブラックオパールは、オーストラリア、ニューサウスウェールズ州にあるライトニングリッジでしか採れない。地色が暗く、遊色が鮮やかなほど高価とされる。
もっとも高価なブラックオパールの一つは”オーロラ・オーストラリス”と呼ばれるもので、1938年に産出された。180カラットという大きさと、まだら模様の色彩が特徴で、2005年には100万オーストラリアドル(当時のレートでおよそ8億円)の値がつけられた。
3. ラリマー(産地:ドミニカのみ)
image credit:Wikimedia Commons // Public domain
ペクトライトの中でも特に青いもの。ドミニカ共和国の限られた地域のみで採掘される。その名は、ラリマーの発見者の1人であるミゲル・メンデスの娘ラリッサとスペイン語で海を意味する「マール」を組み合わせたものである。地元ではごく稀に海岸に打ち上げられることから、昔から存在を知られていたというが、一定数が産出されるようになったのは鉱山が開かれた1970年代になってのことだ。
4. パライバトルマリン(ネオンの輝き)
image credit:DonGuennie via Wikimedia Commons // CC BY-SA 4.0
トルマリンは様々な色のものがブラジルで産出されるが、明るいターコイズの色合いを持つのは、銅を含有するパライバトルマリンだけだ。
発見されたのは1987年のこと。「ブラジルのパライバ州の丘の下には特別なものが眠る」 との信念に突き動かされたヘイター・ディマス・バルボサによる。数年間何の成果もなく掘り続けたのち、ようやく比類なきネオンブルーのトルマリンを掘り当て、自らの信念の正しさを証明した。
ダイヤモンド1万個につき一つしか産出されないという希少さで、以降徹底した探鉱が行われた。2003年、非常に似たターコイズの色合いを持つトルマリンがナイジェリアとモザンビークの鉱山で発見されたが、パライバトルマリンの鮮烈さには及ばないようだ。
5. グランディディエライト(透明なものほど希少)
image credit:DonGuennie via Wikimedia Commons // CC BY-SA 3.0
最初に記述されたのは1902年、マダガスカルでこれを発見したフランス人鉱物学者アルフレッド・ラクロワによる。その名は、フランス人冒険家でマダガスカル自然史の専門家であったアルフレッド・グランディディエに因む。
この青緑の鉱物は世界中で発見されているが、宝石レベルの品質を持つものは今のところマダガスカルとスリランカでしか採れない。そのほとんどが半透明だが、もっとも希少で、それゆえにもっとも高価な唯一の例外は透明である。
実際、発見当初はサレンディバイトという別の宝石だとされていたが、専門家による分析の結果、グランディディエライトであることが判明した。なお、取引の価格は公開されていないが、同じような品質のものが発見されれば、希少性ゆえにとんでもない値がつけられることは間違いない。
6. アレクサンドライト(色の変わる宝石)
image credit:Wikimedia // CC BY-SA 3.0
不思議な色の変化を見せるアレキサンドライトが発見されたのは1830年、ロシアのウラル山脈においてである。ロシア皇帝アレクサンドル2世に因んで命名された。クリソベリルの一種で、太陽光の下では青緑の輝きを放つが、白熱電灯の下では赤紫となる。変化の度合いは標本ごとに異なっており、わずかにしか変化しないものもあれば、がらりと色合いを変える希少なものもある。
スミソニアン博物館が所蔵する65.08カラットのものなど、大きな標本もいくつか存在するが、ほとんどが1カラット以下である。1カラット以下のアレクサンドライトでも150万円はするだろうが、それ以上のものとなれば1カラットあたり700万円の値がつくこともある。
7. ベニトアイト(カリフォルニアの州石)
image credit:Pablo Alberto Salguero Quiles via Wikimedia // CC BY-SA 3.0
カリフォルニア州サンベニート川(名前の由来)付近で産出される。鉱山は2006年に商業的な採掘を終了したため、一層希少性が高まった。最初に特定されたのは1907年ごろ、ジョージ・ラウダーバックによる。その深いブルーは紫外線の下では蛍光色に輝く。
アーカンソー州、日本、オーストラリアでも微量ながら産出されるが、採掘が現実的な唯一の場所であることから、1985年にカリフォルニアによって州の宝石として指定された。ある程度のサイズがありつつも高品質なベニトアイトは非常に珍しく、2カラット以上のものなら1カラットにつき100万円以上もの価格がつけられる。
8. パイナイト(カリフォルニアの州宝石)
image credit:Rob Lavinsky via Wikimedia // CC BY-SA 3.0
1951年、イギリスの宝石鑑定士アーサー・チャールズ・デビー・ペインによって発見され、1957年に新種鉱物と認定された。それから長い間、大英博物館の所蔵するものが唯一の標本であったが、2004年までには2ダース(24)足らずのパイナイトが発見されている。
最近ではミャンマーにあるいくつかの鉱山から一定量のパイナイトが産出され始めており、1,000個以上の標本が存在する。希少ゆえに非常に高価で、1カラットにつき600万円で取引される。
9. レッドベリル(小さくても希少)
image credit:Didier Descouens via Wikimedia Commons // CC BY-SA 3.0/span>
ビクスバイトやレッドエメラルドとも呼ばれる。アメリカ、ユタ州地質調査によると、宝石品質のダイヤモンド15万個につき1個の割合でしか発見されないという。
純粋なベリルは無色であり、明るい色合いは岩石に含まれる不純物によるものだ。例えば、クロムやバナジウムが含まれれば緑のエメラルド、鉄なら青や黄色のアクアマリンやゴールデンベリルとなる。レッドベリルの場合は、マンガンによって真紅の色合いが生まれる。ユタ州、ニューメキシコ州、メキシコでしか採れず、大半は数ミリメートル以下とカットするには小さすぎるものだ。カットされたものとなれば、1カラット未満であるのが普通で、2、3カラットのレッドベリルは滅多に存在しない。
10. ターフェアイト(偶然の発見)
image credit:DonGuennie via Wikimedia Commons // CC BY-SA 3.0
オーストリア-アイルランド系の宝石鑑定士エドワード・チャールズ・リチャード・ターフェ伯爵は、1940年にダブリンの宝石商からカットされた宝石をまとめ買いした。彼はスピネルだと思って購入したのだが、観察すると青みがかかった紫色のものは他のスピネルとは少々違う輝きを放つことに気がついた。
そこで専門家に鑑定を依頼した結果、未知の宝石であることが判明する。困ったことに、カット済みであったため産地は不明であった。しかし、新種であることが公表されると、多くのコレクターが再調査に乗り出し、ついにスリランカ産であることが判明した。これまでタンザニアと中国でも発見されているが、現存するターフェアイトは50個以下と考えられている。普通なら滅多にお目にかかれない希少な宝石である。
via:10 of the World’s Rarest Gemstones
注:海外からの情報には誤りが含まれている場合があります。できるかぎり情報精査に努めていますが、公開後、誤りが発覚した場合、信用に足りうる情報を提供いただいた場合は順次記事の追記・訂正を行っております。ただし外部サイトで閲覧している場合は新しい情報が反映されません。最新の記事は元記事でご確認ください。
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コメント
1. 匿名処理班
「タンザナイト!」
「ブラックオパール!」
「ラリマー!」
以下略
2. 匿名処理班
カットされたものより原石感残ってる方が魅力的だなあ
3. 匿名処理班
ダイヤモンドみたいに市場調整が働いてるわけじゃなく本当に希少な逸品ばかりですねえ
最高級のアレキサンドライト、憧れっす
4. 匿名処理班
大☆興奮
5. 匿名処理班
待ってました!宝石にはなんかこうロマンがあるよね!宇宙に飛び出したら、きっと信じられないような宝石もあるんだろうなぁ
6. 匿名処理班
ターフェアイトみたいなのはロマンあるな
7. 匿名処理班
綺麗だなぁという言葉しか出てこない感性の貧しさが憎々しい
8. 匿名処理班
色んな宝石見てきたけど、パライバトルマリンはマジで美しい。
9. 匿名処理班
宝石の国で覚えた子がちらほら!
10. 匿名処理班
鉱物は指輪とかネックレスとかに加工するより手付けられてないありのままの姿が好き
11. 匿名処理班
パライバトルマリンを最初に知ったのはゴルゴ13だった。
「そんなに綺麗なのか」と思って調べてみたらあっさり心奪われたわ。
12. 匿名処理班
ふわぁあああ…☆(感嘆)
うわあああああぁ……!!(耽溺)
13. 匿名処理班
有名どころじゃなくても、面白いものはアッという間に少なくなって
値段が上がっていくんだよな、
ミネラルショーの度に「去年のアレもっと買っときゃよかったー!」って思う
14. 匿名処理班
オールドネオンのパライバはマジで綺麗
南国の海みたいなあの色は本当に凄い
15. 匿名処理班
美しい鉱物ってのは物語りの始まりを感じさせてくれるようでなんかワクワクする。
16. 匿名処理班
5と8以外はみんな持ってる
ターフェはどこやったかなー、と思ったら指輪になってた
そういや大昔に持ち込みオーダーしてたわ
ただし画像の通りの渋い色合いなのですごい地味w
17. 匿名処理班
信念はネオンの輝き
18. 匿名処理班
どう違うのかがわからない
19. 匿名処理班
目の保養だわ〜管理人さんありがとー
20. 匿名処理班
アウィンをなぜ入れぬ!
あれこそブルー系宝石でレアかつ超美しい宝石だというのに!
21. 匿名処理班
パライバトルマリン、さくらももこの本で知ったけど、本当に綺麗だよなぁ。海がそのまま石になったみたいで。いつか手に入れてみたい…
22. www
2005年ごろのAUDは80円代だったから、100万ドルなら8000万円程度だぞw