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ナナシのハナシ 作者:秋色ヒマワリ
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大妖精のハナシ

チルノちゃん…ねぇ…チルノちゃん…。私…一人じゃなんにもできないよ…私を一人にしないで…チルノちゃん…っ!


彼女は大妖精。霧の湖に住まう妖精。
氷精であるチルノと共にいることで多くの友人を得た。紅魔郷でもチルノと共に出たことからわかるように、彼女は常にチルノと共にいた。

今回の話は、大妖精のこれまでの話。




霧の湖には多くの妖精がいる。しかし、その大半はザコ妖精と呼ばれるような力なのない妖精。大妖精はその中で少し強い妖精だった。

その当時、霧の湖の近くに紅魔館もないその頃、大妖精はザコ妖精を牛耳っていた。

今よりサバサバとした性格の彼女は、人里から迷い込んだ人間を追い払いながら日々を過ごしていた。

そんな日々の中、大妖精は少しばかり優越感に浸っていた。

まるで、自分がこの霧の湖で一番強いような、そんな気がしていた。



しかし、当然彼女の戦力は少々物足りないものであり、戦闘の意思のある者には簡単に負けていた。

そして、彼女の築いた妖精艦隊は、ある時、一人の女性により壊滅してしまった。




幻想外から迷い込んだ女性は、少しパーマのかかった金髪の美しい、西洋系の顔立ちだった。

いつものように追い払おうとした彼女の束ねる妖精たちは、女性が手を払うのと同時に一瞬にして戦闘不能へ陥った。

わけも分からぬまま、大妖精はその場で立ち尽くした。

そして、自らの弱さを、改めて痛感したのだった。

しかし、その女性は大妖精には目もくれず、誰か人を探すように歩き出した。




その時だった。大妖精の後方から青い妖精の影が来るのが分かった。

「あんたが探してるレンコはここにはいないわ!巫女に見つかる前にアタイが帰してあげるわ!」

そう言うと、飛んできた氷精は女性を冷気の渦に包むと、幻想郷の遥か彼方へ送り出した。




その姿を見ていた“だけ”の大妖精は、自らの望んだ妖精の姿をその氷精に照らし合わせた。


「私も…あなたになりたい…」


そして、大妖精は自ら懇願し、チルノへ助けを求めた。プライドなど捨て、これからどんな辛いことがあろうと耐え切ろうと誓った。




だが、チルノは大妖精を弟子にすることも、雑用をさせることもせず、笑顔で大妖精にこう言ったのだった。


「なら、アタイと友達になろう!」


強さとは、そうか。こういう事なのか。

かつての大妖精はもう、そこにはいなかった。




そして日がたち、今では大人数に囲まれる大妖精である。




尊敬と、憧れと、心からの友人でいようと、そう思いながら生きる、そんな大妖精のそんなハナシ。

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