謙虚な人柄、四男が明かす…露の顕彰会で講演
【モスクワ杉尾直哉】「命のビザ(査証)」で数千人のユダヤ人を救った元外交官、杉原千畝(ちうね)(1900〜86年)を顕彰する会合が2日、モスクワのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝堂)で開かれ、千畝の四男、杉原伸生(のぶき)さん(67)=ベルギー・アントワープ在住=が講演した。「父は自分のことを英雄だとはまったく思っていなかった」と語り、謙虚な人柄であったことを明らかにした。モスクワは、杉原が外務省を退職後、日本の貿易会社の代表として勤務したゆかりの地。伸生さんは全ロシア・ユダヤ人会議からの招待で訪露した。
伸生さんによると、父から初めてビザ発給でユダヤ人を助けた話を聞いたのは1968年夏。千畝がモスクワから一時帰国した際に、「ビザで家族が救われた。あなたに会いたい」というイスラエルの外交官から連絡があり、当時18歳の伸生さんを連れて、東京のイスラエル大使館に行ったのがきっかけだったという。
伸生さんは「父は『一人でも二人でも生き延びてくれたら良いと、自分にできることをしただけ』と話していた。自分のことを英雄だったとか、誇らしいことをしたといった言葉は一切なかった」と話した。