【解説】豊洲市場の柱の傾きは広角レンズによるパースによるものだよと言う話。
写真を撮るとほぼ必ず水平垂直が崩れる
さっきYahoo!ニュース見ていたら豊洲市場の柱の傾きが問題になってるというニュースが目に止まりました。
なんでもこの写真を見て柱が傾いているぞ!と騒いでいるようです。(Yahoo!ニュース[BuzzFeed Japan]の記事から写真を拝借)
まぁ確かに、写真をやっていないひとから見れば傾いて見えるかも知れません。。
でもこんなに柱が傾いていたらさすがに気づくでしょ、というか怖くて中に入りたくないですよね。
これはYahoo!ニュースでも言及されていた広角レンズによるパースのによる影響です。
広角レンズのパースとは?
一度に広い範囲を撮影できる広角レンズには写真がとどこか1点へ収束する特徴があります(理由は割愛)
で、どこへ向かって収束するかというと、画面の端から中央に向かって(平行なものが)収束します。
この辺は以前studio9でも記事にしたので良かったら見てみてね。
ね、端から中央方面に向けて収束してるでしょ?
どっちも広角レンズで撮影した写真です。iPhoneのカメラもまあまあ広角なので程度は弱くなりますが同じ事が起こります。
今回の写真では
今回の写真で言うなら柱の(上部の)端は天井なので天井から中央方向に向かって収束するはずです。
では実際にやってみましょう。さすがに画面内では収まらないので下にたっぷり余白を伸ばして3本の柱からの線を延ばしてみます。
画像長くてすみません。。(笑)
正直これも超正確にやったわけ出ないので私のさじ加減も多少入る余地はあるのですが、柱からの3本のラインが画面のずっと下でだいたい同じくらいの場所で交わります。
柱は平行だった!
柱が元々平行でなければこうしてきれいに交わることはないので、この写真だけから導ける推論は柱が傾いているのではなく、「柱は平行だった!」ということです。
なんということでしょうw
使用した元画像が加工されていないこと、レンズの歪曲収差が強くないこと(パースとは違う歪み)であることが前提ですが。あと、極めて特殊な傾きが奇跡的に揃っていれば傾いてても交わるってことはあるかも知れませんが(たぶんないと思う)。
柱傾いてるじゃねーか!と問題提起しようとした写真が、むしろ柱が平行になっていることを支持する材料になっているとは。。
フジテレビやっちまったなぁという感じしかしないニュースでした^^;
カメラマンがこの写真を撮った状況?
ところでこの写真、どうしてこんな不自然な角度から撮影されたのでしょうか?
写真から判断するとこの写真は床の方向へ見下ろすように撮影されています(ハイアングル撮影)。天井よりも床がたくさん写っているのがその理由。
*カメラを上に向けて撮影した場合(ローアングル撮影)では逆に天井がたくさん写る。
で、ハイアングル撮影をすると、カメラマンと柱の関係はどうなるかというと次のようになります。
これが現場のカメラマンが撮影した状況ですねたぶん。
普通の感覚を持っている人なら部屋の中を撮るなら天井よりも床を広く撮りたくなるでしょうからこんな角度になってしまったんでしょうねきっと。
私はあまり建築系の写真は撮らないのですが、建築写真をキッチリ撮るためには水平、垂直をキチンと出さなければならないため、このようにカメラを傾けるのは御法度です。
カメラを傾けてしまうと元々水平、垂直だったものが必ず傾いて見えてしまうのですね。どうしてもカメラを傾けなければいけないビルの撮影(カメラを上に向けないと上層階まで撮れない)なんかでは、カメラを水平に保ったままでも撮れるよう、レンズを上にシフトさせるシフトレンズってのが売られているくらいです(もちろんプロ用)。
この写真は別に建築写真を撮るために撮影されたわけなく素人の人が適当に撮影した(もしくは騙すためにプロが狙って撮影したか。。)ものですが、床がたくさん写っている(天井がたくさん写っている)写真というのは通常どこかが傾いて写っていると思っておく必要がありますね。
テレビ局なら撮影のプロがたくさんいると思うのですがね。。
おしまい。
なにか抜けてる視点などあれば優しくご指摘下さい^^;