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東方魔人録 作者:kiritu

春雪異変編

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魔法の森と白黒少女

これは上海アリス幻樂団様の東方projectの二次創作です。誹謗中傷などはおやめください。コメントなどは受け付けてますので遠慮なくどうぞ。それでは本編へ―
東方魔人録プロローグ

もうどれだけ歩いただろうか。辺りを見渡しながらひたすら歩く。たくさんの木々が立ち並び、キノコがたくさん地面に生えている。恐らくここがうわさに聞いていた魔法の森だろう。とすると博麗神社までもう少しといったところか。

突如後ろからガアアアアアア!! と耳をつんざくようなおたけびが聞こえてくる。声のしたほうへ振り向くと、そこには三メートルくらいの巨大な鬼がいた。鬼が歩くたびにドスッドスッと地響きが鳴り、大地がれる。

「……通行の邪魔だ。」

黒と赤のジャケットに黒のズボンを着た少年―黒羽夜斗くろばねやとは、人外のモノへと変貌へんぼうした左腕で鬼の体を無残むざんに切り裂く。返り血が俺の頬を染める。血。それを見てふと昔を思い出す。

……。
…………。

俺が昔住んでいた人里は誰も知らないとてものどかな場所で、誰もがみな笑顔で過ごしていた。そんなある日、少し歳をとった男が村にやって来た。その男は左胸の近くにおびただしいほどの傷を負っていた。村長は「おお…ひどい怪我だ。誰かこの者の手当てを!」と周りにいた村人に呼びかけ、その男に寝床を案内あんないした。当然とうぜん怪我をしている人に対して反対などする者などいなかった。けどあんな事が起こるとは今の俺には知るよしもなかった。

次の日、めずらしく朝早くに目覚めると、突然とつぜん家の外から甲高い悲鳴ひめいが聞こえてきた。なにごとだ、と思い俺は玄関から外に出る。そして俺は驚愕する。村人たちがみな床に血まみれで倒れ、村長ははしらにロープで吊り上げられ首を絞められていた。母と父も同じように血まみれで倒れていた。俺は目の前に男がいるのにもかかわらず、両親の元へ駆け寄った。

「母さん、父さん!!」
「おお…最期に息子の顔を見れるとはな…ハハ、父さん嬉しいぞ」
「何を言ってるの…? なんで血まみれなの…」
「夜斗、貴方はあんな人間にはならないで。たくましく、立派に生きなさい。わかった?」
「うん…わかってるから、だから…僕をひとりにしないでよ!!」
「…もう父さんと母さんはダメだ。最期に父さんから一言。この先きっと楽しい事や苦しい事、いろんなことが待っているだろう。だが…な、決して…弱音は…吐くな。いい……か? 約束…だ」
「愛してるわ…夜斗」
「父さん…?母さん…? 嘘でしょ? ねえ、返事してよ…! ねえってばぁ!!」

目の前でそっと息絶えた両親に別れの挨拶を告げる。僕を産んでくれてありがとう、と。そしてこの惨劇を起こした男を睨み付ける。男は冷静な顔でこう言った。「なんともまあ、悲しませてくれる。さて、家族との最期の時間はどうだったかな? そして次は……キミの番だ。大丈夫だ、苦しむのは一瞬で済む」と。

狂ってる、小さい子供の俺でもわかるくらいに男は狂っていた。逃げようと必死に走り出す―がさすがに子供と大人の体格差などがあったからか―すぐに追いつかれ腕を掴まれた。必死にもがくが、男はどこ吹く風といった様子で俺を地べたに取り押さえた。さて、聞き分けの悪い坊主にはお仕置きが必要だな…そうだなまあ、腕一本といったところか。と男はそういいながら、手に持っていた果物ナイフで俺の腕を容赦なく―切り捨てた。

「がああああああああああ!!」

刹那―人生で一度も味わった事のない苦痛くつうが俺を襲う。なんども、なんども襲う。左腕から大量の血しぶきがあがる。痛い、痛い、痛い。

(そうだ。コイツを殺せば…きっとみんな喜んでくれる。コイツを…殺せば)

ドクンッ!! と胸が高鳴る。ドクンッ!! ドクンッ!! と何度も。

(だから俺は、こいつを………殺す!!)

突如なくなったはずの右腕に悪魔のような腕が生えていく。途端に男は「そうか、お前だったのか! やっと見つけたぞ!」と俺に向かって叫ぶ。男の言う事など耳に入ってこず、俺は我を忘れて怒り狂い、悪魔のような右腕を、男にただひたすら何度も、何度もふりかざした。

気づいたときにはもう、男は死んでいた。返り血が俺の頬を染める。

……。
…………。

(ったくいやな事を思い出しちまった、クソッ………。けど結局、なんだかんだ言ってこの右腕に救われてるのは事実なんだが)

ふとどこからともなく声が聞こえてくる。今度は人間の声だった。俺はあわててて近くにある草むらに隠れこんだ。草むらから様子を窺っていると、前方から黒いとんがりぼうしをかぶり、白いブラウスを着ている金髪の少女が歩いてきた。

「ふんふんふふーん…おっマツタケ発見!! 今日は霊夢れいむんとこで鍋パーティーだな!」

ガサゴソ…!

「ん? なんだ、今の音」

(しまった………気づかれたか?)

「んー……気のせいか。しかしなんだか近頃この森不気味だぜ。早く霊夢の元に帰るとするか」

(この少女から…情報が引き出せれば)

「なぁ、そこの白黒の人」
「ん?」
「急に声をかけて悪い。俺はとある理由で博麗神社を目指して旅をしている者なんだが、その…ちょっと道に迷ってな」
「あーお前、博麗神社に行きたいのか? それなら森を抜ければすぐだぜ。けど、それならわざわざ隠れる必要はないんじゃないか?最初から私に尋ねればよかっただろ?」

確かにこのちょっと男勝りな口調の白黒少女のいうとおりだ。だが見てのとおり、この醜い左腕はとてもじゃないが誰かに見せれるモノじゃない。一応念のため普段は包帯でグルグル巻きにしているが。

「まあ、色々あってな。訳は聞かないでくれ。頼む」
「……。ま、事情は大体分かったし、これ以上は聞かないでおく。あとついでと言っちゃなんだが、私も今から神社に行くところだったんだ。よかったら案内してやろうか?」
「えっ? いいのか?」
「全然構わないぜ。おっと自己紹介が遅れたな。私は霧雨魔理沙きりさめまりさ、普通の魔法使いだぜ。よろしくな」
「俺は黒羽夜斗。よろしく」

こうして夜斗は魔理沙に案内され魔法の森を抜けて、博麗神社へとおもむくのだった。
いかかだったでしょうか。文才など皆無な僕ですが、これからも頑張って執筆していくのでよろしくお願いしますね。
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