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幻想人妖録 作者:白玉粉
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全ての始まり

 ...暑い。めっちゃ暑い。
 そりゃあ真夏の休日に、田舎にある実家近くの山に登るなら多少の暑さは当然だろう。
 しかしここまでの暑さは想定外だ。40℃後半くらいあるんじゃないか?外での天然サウナですか?
 まあ大事に備えて、"綾◯"を余分に持ってきてるから脱水症状になることはないだろう。さすが選ばれしお茶である。
 てかなんで山登りなんてしてんだっけ?
 確か実家に誰もいなくて暇だったから興味本位で登ってみたんだっけ?自分で言うのもなんだか、自分は好奇心旺盛だから普段やらないことをなんでもやりたがることが多いんだっけ?...なんでいつも自分のことなのに疑問形なのだろう...
 毎回実家に帰っても、山に登るのは今回が初めてである。山に登ってみたいことはあったが、実家にいる祖父から酷く止められている。
 なんでもここの地域には昔妖怪というものが数多く存在していたらしい。その中でも当時強力だった妖怪がこの山のどこかに鎮められたというものだ。それで田舎の皆でも登ったものはいないらしい。
 ...なんだそれ。別にオカルトとかいるわけないと言うわけじゃないが、この現代でそれらの存在を狂信してるわけでもない。それでも口酸っぱく止められていたから今まで登らなかったわけだが、今日はあまりにも暇だったからこうして初登りというわけだった。
   *     *
「あら?近くに人間の気配がするわね」
   *     *
 山を登りはじめて一時間が経った頃だろう。頂上を目指してるわけではないから気ままに歩いている。
 木々が生い茂っているだけで何もない。おまけにかまいたちが起きたのか左手の甲に深めの切り傷が出来てしまった。
 しばらくすると古い墓地が見つかった。数は見えるだけでも二十はある。別に山に墓地は珍しいことではないだろうと思ったが一つだけ不自然な墓石が視界に入る。
 それは墓石というより小さな祭壇に近かった。小さな鳥居の先に二重の大きめの直方体の石が積み上げてある。その脇に質素なお供え物があった。
 気になり近くで見ようと鳥居を潜った。石の上部に古くなった紙切れが張り付いていた。しかしよく見ると紙切れに解読不可能の文字らしきものが記されている。多分御札か何かだろう...
 ...しかし何だろう、ここにいると嫌な気分になる。鳥居を潜ってから身体に違和感を感じる。まるで少しずつ何かに蝕まれているような...
「何やってるのかしら?」
 いきなり後ろから声がしたので反射的に振り返る。すると金髪の女性がこちらを見ていた。ゆったりとした長袖ロングスカートの上に紫を基調とした前掛けのようなものを着ている。初めて見る服装だ。女性が口を開く。
「私は八雲紫。貴方は?」
 女性が自身の名前を口にし、こちらをじっと見ている。この人を見てると謎の恐怖を感じる。蛇に睨まれた蛙の気分だ。このままでは拉致が開かないので自己紹介を済ませる。
「風間玲都といいます。八雲さんはここへ何をしに?」
「こっちの台詞よ。何故人間がここに?」
 ここにいる理由を問いたら逆に返された。別に嘘をつく理由がないので正直に話した。
「なるほど、...でもここにはそう簡単には入れない筈なんだけど...いや、そんなことどうだっていいわ」
「どういうことですか?」
「貴方には死んでもらうことにするわ」

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