ANAとJALの株価比較
株主優待ゲットの条件が大違い
9月の株主優待を見ていく中で、ANAとJALに大きな違いがあることを見つけました。
株主優待としてもらえるのは、いずれもメインは「国内路線片道1区間が50%割引」券。
ANAは一口でもらえます。
JALは3月は一口ですが、9月は二口必要です。
さて、こちらのエントリーでのおさらいですが、
b-zone-salariedman.hatenablog.com
株主優待をゲットするのに必要な金額は、
ANA 優待獲得最低額:284,500円
JAL 優待獲得最低額:625,600円(3月は312,800円)
となります。(価格はエントリー記載時)
株主優待を得るならANAが絶対お得
ほぼ同じ株主優待を目的とするのなら、JALの半額で済むANAのほうが絶対にお得。
これは、両社の株価の動きに反映するはず、との仮説をたてました。
8月8日時点の株価を100とした場合、1ヵ月後の9月5日で、ANAは約102、JALは約100と、すでに差が出ていたのです。
*8/8を起点にしたのは、エントリー記載時の1ヶ月前がたまたま8/8だっただけで、この日に特別な意味はありません。
株価検証
さて、それ以降、どうなったかをグラフ化したのがこちら。
見えにくくて恐縮ですが、8/8から権利付き最終日となる9/26のいずれも終値は、
ANA 278.7円 ⇒ 282円 +1.18%
JAL 3,138円 ⇒ 3,027円 -3.53%
でした。
と言うことで、仮説通り、株主有利となるANAの株価上昇が勝った、ことが検証されたのです。
もっとも、これはANAとJALの比較の話。
さらに、他の要因も含めて株価は決まりますので、この差異は株主優待の影響はあると想定されるものの、その寄与度はわかりません。
権利確定前後の株価の動向
この2ヶ月弱の間で、JAL株が3%以上も値下がりしました。
航空会社の株は、株主優待の影響が大きいので、ANAとの比較で不利とは言いつつも、株価は上がると思っていたので、びっくりしました。
一方、権利確定前後では、おもしろい値動きが見られます。
こちらは、ANAの1時間ごとの株価チャート。
権利付き最終日である9/26の午後3時時点(チャート①)で株を持っていると、株主優待がもらえます。
A)株主優待で人気の株は、多くの人が株を買いますので、権利付き最終日の午後3時に向けて株価が上がっていくのが自然です。
B)権利が確定した翌日(権利落ち日)には、現金化するため早々に株を売りますので、①よりも安い値段で取引が開始されます(チャート②)。
これが、一般的な株主の権利確定前後の動きと言えます。
権利付き最終日に株価が下がる理由
さて、A)のとおり、通常であれば株価は上がるはずなのに、上のチャートでは下がっています。ちなみにJALも同じような値動きをしていました。
これには、2つの理由があると考えます。
高値売り抜け狙い
かなり古典的な売買手法で、「権利付き最終日に高値が付くことを見越して、あらかじめ買っておく」というやり方です。
一定期間、株を保有することになりますが、あらかじめ買っておいた株を、権利付き最終日で売ると、高い確率で利益が出せるというもの。
もちろん、午後3時時点で株は持っていませんので、株主優待や株主配当はもらえません。
つなぎ売りの拡大
これは私の仮説ですが、つなぎ売りを行う人が増えたのではないか?と考えているのです。
つなぎ売りとは?
つなぎ売りとは、株主優待を狙う人が取る手法で、持っている株数と同じ数だけ「カラ売り」するやり方です。
上のチャートのとおり、①に比べて②は、値下がりのギャップがあります。
10円分の株主優待をもらうため、仮に9/26に100円で買ったとしましょう。
権利が確定した翌日は、概ね配当金相当分プラスアルファ値下がりするものです(②)。
もし、朝一で売ろうとしたとき、株価が80円だったら20円のマイナスになってしまいます。
10円のものをもらうために20円使った計算になります。これって、損してますよね。
このように、値段が下がって損をするリスクが大きいのですが、これをなくすやり方が「つなぎ売り」です。
100円で買うと同時に100円でカラ売りをしておくと、80円に下ったら、買いで20円のマイナス、売りで20円のプラス、差し引き0円の収益となるのです。
(別途、売買手数料や貸し株料、場合によっては逆日歩というコストはあります)
株主優待狙いに伴うつなぎ売りの増加
株主優待はとても充実したものがありますよね。
「株主優待品をゲットできれば、それだけでいい」という人もどんどんと増えているはず。
この人たちにとっては、極端な話、株価や株主配当は関係ありません。
そして、最もローリスクかつローコストで株主優待品をゲットするには、最終日に「つなぎ売り」をすることなのです。
証券会社も手数料収入が増えますから、つなぎ売りに関するサービスをどんどんと良くしており、「つなぎ売り」はさらに増えていると思われます。
この結果、権利付き最終日に「売りが増えて株価が下る」という現象が起きているのではないかと思うのですね。
稼ぐヒント?
従来は、優待狙いの買い玉が、A)で記した「高値売り抜け狙い」の売り玉を食いながら、株価が上がっていました。
ところが最近は、これに優待狙いの買い玉と同数のつなぎ売りが上乗せされるようになったため、売りが優勢となって株価が下がっている。
と考えたのですが、いかがでしょうか?
もしこの仮説が正しければ、かなりの確率で、売りと買い両方で稼ぐことができますよね。
一番シンプルなのは、権利付き最終日の朝一で売って、3時に買い戻すことです。
二番目は、権利付き最終日の朝一で売って、3時に新規買い建てをし、翌日、朝一で両方を決済。これだと貸し株料は増えますが、株主優待品がゲットできます。
といった風に、売買する銘柄とタイミングによって、利益が出せそうです。
もっとも、これは権利付き最終日に値下がりすることが前提なで、値上がりしたらアウトですけどね。
株主優待に伴う株価推移の検証をしたところ、このように稼げるヒントを見つけた気がするです。
が、ヌケモレやオカシイところなどがありましたら、ご指摘いただけると幸いです。
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では、また。