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【首都スポ】

関東大学ラグビー 大学V8狙う帝京大の亀井主将 黒子に徹する異色のリーダー

2016年10月1日 紙面から

ジャージーの左袖には大学選手権優勝回数を示す7つの星。今季は8つめの星を刻む覚悟で挑む帝京大・亀井亮依主将=日野市の帝京大グラウンドで

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 8連覇を狙う絶対王者のスキッパーは「考える人」だ。ラグビーの全国大学選手権で前人未到の8連覇を目指す帝京大は、関東大学対抗戦Aグループで開幕から2連勝。危なげなく滑りだした王者を率いる主将はフランカー亀井亮依(りょうい、4年・常翔啓光学園)だ。日本代表のSO松田力也(4年・伏見工)、ロック飯野晃司(4年・三好)という下級生時代からレギュラーで、主将候補と目されたビッグネームを差し置いての主将就任。絶対王者の新キャプテンの素顔とは? (文・写真=大友信彦)

 絶対王者は今年も無敵−。何とも安直な言葉が浮かんでしまうのも仕方ない。9月11日の対抗戦Aの開幕戦はAブロック復帰の成蹊大を91−0と一蹴。25日には日体大を134−3と大破した。その直前の22日には、トップリーグで昨季まで3連覇のパナソニックとシーズン中ながら練習試合を敢行し、30分×3本の変則マッチで10−14と肉薄。帝京大が主力で臨んだ2本に限れば5−0で勝っていたのだ。

 しかし、王者に油断はない。試合後は必ず円陣を組み、岩出雅之監督からの訓示だけでなく、選手同士が課題を指摘し合う。どこにでもある光景だが、帝京大の円陣では誰も声を荒らげず、丁寧な口調で具体的に話し合うところが際立っている。

 「細かいところを話し合うことは意識しています」

 8連覇を目指す代の主将に指名された亀井はそう話す。

 「大事にしているのは下級生の意見です。まず各学年のミーティングでいろんなことを話し合ってもらって、学年のリーダーに意見を持ち寄ってもらう。下級生の目からチームがどう見えているかは、僕ら上級生にとっても勉強になる。でも、4年生になると時間が早いですね。1日1日が濃くて考えることが多い」

 大学トップクラスの才能が並ぶ帝京大にあって、やや地味な存在だ。レギュラー定着は3年の昨季からで、ボールを持つよりも攻撃ではサポート、防御ではタックルと痛い仕事に専念する。だが中高でも主将を務め、チームをまとめることには自信があった。3年時の学年ミーティングでは自らリーダーに立候補し、主将指名を受けた。

 「でも、自分が主将で本当にいいのか、それは常に考えます」

 同学年には下級生時代から活躍した日本代表のSO松田やロック飯野ら、経験値も高く、実力もある選手がいる。本当に自分でいいのか?

 「でもそこと向き合った分、成長できたと思う」と亀井は言う。主将になってからは、高校卒業以来書かなくなっていたラグビーノートを欠かさず付けるようになった。毎日の練習で気付いたこと、大事だと思ったことを書き留め、次の練習に生かすのだ。

 「1日のことを振り返るだけでなく、自分たちのことを中長期的にも振り返って、考えることができます」

 20トライ134点を挙げた日体大戦では、80分フル出場した選手でただ1人トライゼロ。ボールを持たないかわりに走り、タックルを繰り返し、そして考え、書き留める。異色の主将は、V8目指す無敵軍団をどのように進化させるだろう?

<亀井亮依(かめい・りょうい)> 1994(平成6)年10月8日、大阪市城東区生まれの21歳。帝京大医療技術学部4年。フランカー。177センチ、97キロ。大阪市立菫(すみれ)中1年でラグビーを始め、3年で主将。常翔啓光学園でも主将を務め、帝京大へ進学。1年時の全国大学選手権(対朝日大戦)で公式戦デビュー。2014年、U−20日本代表でジュニアワールドトロフィーに優勝し、U−20世界選手権昇格に貢献した。

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