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 体内で血糖値を下げるインスリンの分泌を抑えてしまう分子の働きを、大阪大の原田彰宏教授らのグループがマウスで見つけた。新たな治療薬につながる可能性があるという。米科学誌に3日発表した。

 インスリンは膵臓(すいぞう)にある「ベータ細胞」が分泌するホルモンで、血中の糖を肝臓や筋肉に取り込ませる。この働きが悪くなると糖尿病につながる。

 原田さんらは、ベータ細胞の膜にあり、インスリンを細胞外に出す働きがある「SNAP23」というたんぱく質に注目。マウスのベータ細胞で「23」をなくすと、インスリンの分泌がむしろ2倍以上増え、「23」の働きを抑える化合物を正常なマウスに与えても、血中のインスリンが約1・5倍になった。

 ベータ細胞には、よく似た「SNAP25」というたんぱく質もある。仕事の効率は「23」の方が悪く、細胞内のインスリンが「25」を経由して外に出やすくなったとみられる。「23」は人間でも、ベータ細胞を含めた様々な種類の細胞にあり、グループの國井政孝助教は「ほかの働きも調べて、薬として有効か検討したい」と話している。(阿部彰芳)