反対する学者らが連絡会結成 国会で会見
防衛分野での技術開発で大学などが防衛省に協力する「軍学共同研究」に反対する学者らが30日、「軍学共同反対連絡会」を結成し、国会内で記者会見した。共同代表の野田隆三郎・岡山大名誉教授は「軍事研究解禁反対の意思を示すために行動したい」と述べた。
記者会見では、防衛省が2015年度から始めた「安全保障技術研究推進制度」が問題視された。この制度は同省が研究者から希望を募り、最大で1件当たり年間3000万円で3年間研究を支援する。15年度は109件の応募から9件、今年度は44件の応募から10件を選んだ。
日本の科学者の代表機関「日本学術会議」(大西隆会長)が「安全保障と学術に関する検討委員会」を設け、軍事研究を認めない従来の姿勢の見直しを検討していることにも批判の声が上がった。
学術会議は1950年、科学者が戦争に協力した戦前の反省に立って「戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない」とする声明を総会で決議した。さらに67年の総会でも同趣旨の声明を出し、これに沿って大学の研究者は軍事研究とは一線を画してきた。
だが近年、民生用にも軍事用にも利用することができる技術(デュアルユース)の研究を推進する政府の意向や、研究資金の不足などを背景に「時代に合わないのではないか」との意見が出ている。
会見では「(学術会議の)大西会長は『個別的自衛権の範囲内では許せるのでは』と発言した。怒りを禁じえない」などの意見が出た。連絡会には軍事研究に反対する17団体と100人超の研究者らが参加。この日のアピールで「あらゆる戦争は『自衛のため』と称して行われた。学問が軍事や兵器開発に従属させられる社会を到来させてはいけない」と訴えている。【山崎征克、川崎桂吾】