メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

米との合意停止 余剰プルトニウム処分で

 【モスクワ杉尾直哉、ワシントン会川晴之】ロシアのプーチン大統領は3日、米露の核軍縮合意により生じた余剰プルトニウムの処分に関する米国との合意を停止する大統領令を出した。「米国の非友好的な行動の結果、状況が根本から変化した」としている。アーネスト米大統領報道官は「残念だ。ロシアは国際的孤立を深めることになる」と批判した。

     米露は2000年、核弾頭から取り出したプルトニウムをそれぞれ34トンずつ処理することに合意。当時はウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料を使ったプルサーマル発電による消費を想定していた。しかし、ロシアにはプルサーマルの技術がなく、オバマ政権は10年にロシアの高速炉での使用を容認。これを受けてロシアは、昨年10月に新型の高速実証炉「BN800(出力78万9000キロワット)」で余剰プルトニウムの使用を始めた。

     一方、米国はサウスカロライナ州サバンナリバーにMOX工場の建設を進めたが、コスト高を理由に計画は宙に浮いた状態だ。解体したプルトニウムは使用の見通しが立たないまま保管されている。プーチン大統領は今年4月に「ロシアは特別な施設(新型高速炉)を建設して責務を果たしてきたが、米国は果たしていない」と批判していた。

     プーチン氏は3日、米露合意を破棄する法案を露下院に提出した。提出理由として、米側が余剰プルトニウムを発電で消費せず、合意に違反して「貯蔵」しようとしていると指摘。さらに、米国による(1)東欧・バルト3国の軍備強化(2)ウクライナ問題を巡る対露制裁(3)ロシア国内の人権侵害に対して米国が制裁を科す「マグニツキー法」(12年成立)−−などを列挙した。

     国際原子力機関(IAEA)の基準では、8キロのプルトニウムで1発の原爆を製造できる。この基準を元に単純計算すると、米露が民生転用で合意した各34トンのプルトニウムで4250発の核爆弾を製造できる。

    関連記事

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 衆院補選 民進候補に一本化へ…共産、取り下げで調整
    2. ゲスの極み乙女。 活動自粛へ…川谷さんが未成年者と飲酒
    3. 大阪ミナミ 68歳元教諭、クラブDJデビュー 
    4. 気温上昇 10月なのに真夏日 東京都心で31.4度
    5. インド トイレ整備に動く 1億2000万世帯、政府が設置支援 危険、不衛生な屋外排せつ ヘビにかまれ死亡例も

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]