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【プロ野球】

ソフトバンク松坂が大炎上 日本復帰1軍初登板で1イニング5失点

2016年10月3日 紙面から

楽天−ソフトバンク 8回裏1死一、二塁、銀次に中前適時打を許し打球の行方を追う松坂=コボスタ宮城で

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◇楽天7−0ソフトバンク

 楽天が快勝した。3回に藤田の適時打で1点を先制。5回に嶋がソロを放ち、8回には5点を加えた。則本が6イニング無失点で11勝目。ソフトバンクは連勝が3で止まった。松坂が8回に日本復帰後初登板し、1イニング5失点だった。

    ◇

 苦い復帰戦となった。ソフトバンクの松坂大輔投手(36)が2日、楽天戦(コボスタ宮城)で日本復帰2年目で初登板を果たしたが、10年ぶりの1軍戦は8回の1イニングを投げて3安打4四死球5失点。試合後は工藤公康監督(53)からポストシーズンゲームでの起用はないことを告げられたが、平成の怪物は「また頑張ります」と3年契約の最終年となる来季に目を向けた。

    ◇

 ストライクが入らない。いとも簡単に打ち返された。ソフトバンク・松坂が1イニング3安打4四死球で5失点。うつむきながらベンチに戻る怪物の背中に拍手が注がれた。10年ぶりの日本球界のマウンド。結果は伴わなかったが、右肩手術や度重なるけがを乗り越えての復活登板を、自分なりに前向きに受け止めた。

 「緊張感はもちろんあった。結果は自分が望むものではなかったけど、良くても悪くても投げることができて良かった。しっかりと結果と内容を受け止めて、これからどうするかを考えて、また(ファームの)筑後で頑張ります」

 出番は今季最終戦、2点を追う8回。結果的に今季レギュラーシーズンで最後にマウンドに上がった投手となった。先頭の9番・嶋には全て直球の5球目で四球。ここから制御不能に陥った。左打者の外角を狙った直球を引っ掛けて逆の内角低めへ。しかも島内、松井稼と2人続けて足もとへの死球になる始末。一度もバットを振らせないまま4連続四死球の12球で1失点。暴投に3者連続安打と見るも無残な姿をさらした。最速144キロ。39球を費やし、打者10人でようやく終わった。

 ここまでの道のりを「やっぱり長かった」と振り返った。右肩にメスを入れたのは昨年8月18日。米国時代の2011年に右肘の手術も受けており、進退をかけた苦渋の決断だった。若いときから酷使してきた右肩の骨を削った。あと少し判断が遅れていれば骨片が欠け、選手生命を断たれる恐れもあった。

 今春のキャンプ前にはブルペン投球も再開していたが、首脳陣と一つの約束をした。「ブルペンでの連投禁止」。投げることで状態を上げる右腕にとっては我慢の日々だった。軌道に乗りかけても指のしびれや腰痛で足踏みし、1軍への最終テストと位置付けた9月10日の2軍戦は尻の張りで降板。近い関係者には「ことしも終わった」と漏らした。36歳になった同13日には太宰府天満宮へ足を運び神頼み。V逸が決まった28日からは禁を破ったかのように3日連続ブルペン入りした。「ずっと上で投げることを考えてやってきた」。思いは届いた。しかし現実は甘くなかった。

 試合後、監督室に呼ばれた。約5分。工藤監督にはことしのポストシーズンでの戦力外を告げられた。その上で「(自分も)ボコボコに打たれて2軍に行ったこともある。落ち込むより反省して次に生かすか。くじけないで前を向いてやっていけるか」と語りかけられた。

 松坂は言った。「監督のお言葉でしっかり前を向いてやっていくしかないと思い直した。いきなりは無理だけど…。自分の中で受け止めて消化していくのは時間はいる。その間も何もしないわけじゃない。また筑後で来年に向けてしっかり一からつくり上げる」。来季は3年契約の3年目。真の復活へ厳しい道でも前に進むしかない。 (小畑大悟)

 

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