橋之助改め芝翫、爆笑襲名披露

　歌舞伎俳優の中村橋之助改め八代目中村芝翫（しかん、５１）と３人の息子たちの襲名披露興行が２日、東京・東銀座の歌舞伎座で初日の幕を開けた。

　芝翫は先月１５日発売の「週刊文春」で京都の芸妓（げいこ）との不倫騒動が報じられ、釈明会見。妻で女優の三田寛子（５０）も騒動を謝罪し、芝翫との離婚を否定。堂々とした対応に各方面から称賛の声があがっていた。

　今回は、芝翫・三田夫妻の長男で中村国生改め四代目中村橋之助（２０）、次男で中村宗生改め三代目中村福之助（１８）、三男で中村宜生改め四代目中村歌之助（１５）と親子４人の晴れ舞台。

　芝翫の騒動でチケットの売れ行きを心配する声もあがったが、約２０００席は満席での船出となった。

　昼の部では三兄弟が「初帆上成駒宝船（ほあげていおうたからぶね）」で踊りを披露。親子４人が「極付幡随長兵衛（きわめつきばんずいちょうべえ）」で共演。客席からは、「成駒屋！」「八代目！」といった掛け声が上がった。淡いピンク色の着物姿の三田は、開演前や幕あいにはロビーでひいき筋にあいさつ。演目が始まると、後方の座席から家族を見守った。

　坂田藤十郎（８４）からスタートした夜の部「口上」では、坂東玉三郎（６６）らが粛々とあいさつ。しかし、尾上菊五郎（７４）が、「新芝翫さん、今までのように、キョロキョロとしているわけにはいきません」と不倫騒動をネタに？　すると、客席からは大爆笑が巻き起こった。

　菊五郎の口上に肩をふるわせ笑いをこらえた芝翫。「私にとりまして、誠に大きな大きな名跡ではございますが、先祖の名を汚さぬよう、なおいっそう芸道に精進いたす心得でございます」と父の大名跡にさらなる飛躍を誓った。父に続き３人の息子もしっかりと口上をつとめあげた。

　釈明会見で、「『雨降って地固まる』と言っていただけるように…」と騒動を機に家族５人の結束を誓った三田。口上を見届けると「今日は見ていただいてうれしかったです。ありがとうございます」と笑顔を見せた。

　２カ月連続で歌舞伎座で襲名披露後、来年は大阪、福岡、京都でも行う。

　劇場１階の桟敷席には、あでやかな芸妓（げいこ）がズラリと並んだ。

　芝翫の不倫相手として報じられたのは、京都の花街・先斗町の芸妓。客席に不倫相手の姿があるかが注目されたが、劇場関係者は「新橋（東京）の芸妓さんです」と説明した。