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富山ムクドリ撃退 超音波“兵器” 県立大教授ら試作、でも…
鳴き声威力に“敗北” 改良へ富山市中心部でふん害や騒音が問題となっているムクドリを追い払おうと、県立大名誉教授の岡田敏美さん(66)と、風力発電事業を手掛ける「TOYAMAX」(高岡市)の橋田洋代表(66)が、音で撃退する装置を試作した。ごく限られた範囲に音が向かうため騒音にならず、乾電池で作動するため持ち運びにも便利。効果が期待される“新兵器”だが、鳥が群れ始める夕暮れ時の街中での実験では、思わぬ課題も浮上した−。(木許はるみ) 岡田さんと橋田さんが九月中旬、装置を手に向かったのは、被害が深刻な富山市役所周辺。ムクドリへの効果を見るため、実証実験を試みた。 装置は、箱型の音波変換装置(縦二十五センチ、横十五センチ、高さ二十センチ)と、板状スピーカー(縦二十四センチ、横十センチ)からなる。ICレコーダーなどを変換装置につなぐと、音波から超音波に変換された音がスピーカーから出る。超音波は音波に比べ、必要な電力が少なく済むため装置の軽量化につながった。 音の方向は、スピーカーの周囲約三〇度の範囲に限られる。超音波が重なると音が聞こえるが、音量は三十メートル離れた場所なら人の話し声程度。電波望遠鏡などに使われているアンテナの技術を用い、音を向ける範囲を絞ることができる。装置の重さは合わせて二キロほど。単一電池八個で半日ほど動く。 今回スピーカーから流したのは、ムクドリが嫌がるトンビの鳴き声や銃声。手始めに富山城址(じょうし)公園に群れるハトやカラスに音を当てると、一気に飛び去った。手応えを感じつつ、二人はムクドリの大群が待つ県農協会館(富山市新総曲輪)前に移動した。 歩道から街路樹に向かって音を当てる。しかし、なぜかムクドリはまったく動じなかった。鳥の鳴き声が大きく、スピーカーからの音がかき消されたためだった。「ここまで鳴き声が大きいとは。ひどいですね」と岡田さん。想定外の結果だったが、鳴き声の大きさを調べれば、必要な音量が出るよう調整するなど改良の余地はあるという。 岡田さんは「レコーダーにさまざまな音を録音することで、イノシシやシカの撃退にも期待できる」とも。ほかの鳥獣が嫌う音を調べるため、「動物の専門家の協力を得たい」と話す。市販化を目指し、今後も研究を進める。 PR情報
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