中国河南省にある企業(Nanyang Yongkang Medicine Company)が従業員に対して「iPhone7は買わないように。違反者を見つけたら、即退職届けを出してもらう」という通達が出されたそうだ。BBCでも報じられており、ちょっとした物議を醸している。
外国製品の「iPhone7」はアウト?
この中国企業で「iPhone7を購入するな」という通達が出たのは柳条湖事件のあった9月18日。通達にも「9月18日という歴史的な屈辱的な日を忘れるな。外国製品をボイコットしよう」と書かれていたそうだ。そのため中国を代表するSNSの「Weibo」でも、愛国的な扇動を目的にしたこととかなり話題になっていたようだ。
この企業の広報担当Li氏は「これは社長から出された通達で、iPhone7のような高級品に目が行ってしまうくらいなら、もっと家族のことを大切にしよう」という意図があったとコメントしている。
「iPhone7」は贅沢?
中国でiPhone7の購入にストップを呼びかけていたのは、河南省の企業だけではないようだ。重慶市の病院(Fuling Xinjiuzhou Gynecology Hospital)でも病院スタッフに対して「iPhone7を購入しないように。購入したらボーナスはなし」という通達が出されていたとのこと。
この病院は「勤勉と倹約」がポリシーだそうで「従業員がiPhone7を持っているからといって業務の能率が落ちるということはないことはわかっている」と病院のマネージャーはコメント。さらに「外国製品が嫌いというわけではないです。ただ従業員が給料の3倍以上もするような高価な端末を持っているのは、不釣合いだと思います。iPhone7を購入するために銀行からお金を借りたり、臓器を売ったりおかしい」と中国でのiPhone7への過激な反応にも触れていた。
「iPhone7」は確かに高級品だが
「愛国的な観点からiPhone7購入しないように」と呼びかけているのではという憶測があるものの、Appleの中国での出荷シェアは2016年第2四半期(4~6月)では5位である。1位から4位までは中国メーカーが占めている。これらの中国メーカーは高級品から低価格端末まで幅広くラインナップを揃えているので出荷台数では上位に並ぶ。最近まで中国市場で1位だったサムスンはもうランクインしていない。
それでも中国ではiPhoneはまだ人気が高い。先日の「iPhone7」発売の時にも、いつものように多くの中国人が新製品を買いに来ていたことが報じられていた。そして新製品はどれも高額である。重慶の病院がコメントするように給料の何倍もするような高級品だ。だからこそ見栄っ張りの中国人は「iPhoneの新製品を1つの富の象徴」として所有したがるのだろう。中国メーカーからも高級なスマホが多く出ているのだが、それらよりも「iPhoneの新製品が欲しい」と思わせる魅力があるのだ。iPhoneのブランドは中国でまだ健在なようだが、いつまでiPhoneが安泰の時代が続くのだろうか。
*表内に一部誤記がありましたので訂正しました(2016年10月4日)
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