連系線の問題をはじめ、「東西日本で電力の周波数が50Hzと60Hzで分かれてるからややこしいことになる。さっさとまとめれ。そうすれば融通電力も簡単にできるやろ」という意見をちらほらと耳にする。そりゃまとめた方が色々と便利だけど、それがすぐに出来ないのには、それなりの訳がある。手間暇お金がむっちゃかかるわけだ。
先の【太陽光発電と風力発電の評価】で取り上げた【総合資源エネルギー調査会総合部会(第二回・配布資料)】にはその辺の話と試算の資料もある。具体的には【資料3 50Hzと60Hzの周波数の統一に係る費用について(PDF)】。
50Hz・60Hzどちらに統一するにしても、電気事業者側(発電側)には各種設備(タービンやら発電機やら変圧器やら)の交換が必要になるし、需要家側でも企業レベルでは取り換えがモーターなどの必要になる。家庭用電気機器は大丈夫かな、でも調査が必要だよなという感じ。そして費用概算は約10兆円。期間は大体40年。半世紀プロジェクトになる。
他に「既存の発電機に周波数変換設備を取り付けて、どちらかに統一する」「50Hz/60Hz間をまたぐ周波数変換設備を増強する(【資料5 震災を踏まえた供給信頼度とFC必要量について(PDF)】)」「それぞれのエリアの発電所を増強する(≒わざわざ異なる周波数領域から融通電力を受けなくても済む)」などの試案が挙げられている。ざっとまとめると
●周波数統一......費用10兆円(大)、期間40年、全国的に大規模な工事
●各発電機に周波数変換設備を設置......費用大~中、期間20年、大規模な工事+変換ロス(5%)
●周波数変換設備増強......費用中(1320~1980億円)、期間10~20年、変換ロス(5%)
●東西エリアの発電所増強......費用中、期間10年、建設プロセス上の問題(土地・系統の余力計上、建設費用、燃料確保)
となり、どれも一長一短。「融通しなくてもいいくらいに発電所増強しちゃえ」という一番下の案が一番乱暴だけど一番シンプル。だけど燃料費の高騰や「融通が必要でない場合(多分にある)には休眠状態になる」という、コスパの低いものとなりうる。それにLNGがいつでもサクサク手に入るっていうテレビゲームのような状況を考えるってのは甘ちゃんなわけで。
今後時折この問題(50Hz/60Hz統一問題)は出てくると思うので、覚え書きとして。
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