怖さも桁外れ?海の向こうの心霊スポットへようこそ
このブログは基本的には世界史とその周辺のテーマを取り扱っていますが、たまーにオカルトめいたことも書いています。
何でかっていうと、個人的に好きだからです。
ぼくの実家の近くの山は県内有数の心霊スポットとして有名で、ガキの頃から度胸試しみたいなことやって遊んでいました。今でもホラーが好きなのは、そうやって心霊スポットを探して遊んだ昔を思い出すからかもしれません。
さて、ホラーはどの国・地域の人も好むようで、世界中に心霊スポットが存在しますが、中でもとびきり有名で恐怖の対象となっている「呪われた町」を紹介します。
1. アル・ジャジーラ・アル・ハムラ(UAE)
Photo by Alexandermcnabb
悪霊によって住民が食い殺されたペルシア湾岸の町
アル・ジャジーラ・アル・ハムラはペルシア湾岸にある歴史のある港町で、真珠採取や貿易を目的にペルシアから多くの移民がやってきて、またイギリス人やポルトガル人の貿易商も駐在するなど、19世紀前半には大いに賑わい人口は約4,100もいたそうです。
1960年代のオイルブーム以降、町からは人がどんどん姿を消していき、現在も建物は残っていて所有者は存在するものの、住んでいるものはほとんどいないゴーストタウンと化しています。
UAEの人々は、アル・ジャジーラ・アル・ハムラはジン(Djinn)という悪霊に襲われ、多くの人が喰われてしまったと信じているそうです。
地元のホラー監督ファイサル・ハシム氏が数名の友人と訪れた際、町は「恐怖に包まれた」状態で、家の壁には人間の手形がついている。
これは住民がつけたもので、まだそこらを徘徊している悪霊に対してテリトリーの主張と警告をするためのものだそうです。
UAEでは有名な心霊スポットで、肝試しに訪れる人が後を絶たないとのことです。
YouTubeで検索したらめっちゃ動画が出てきます。
2. バハラ(オマーン)
Photo by Francisco Anzola
異端的な黒魔法のメッカ
アラビア半島の南東に位置するオマーンは、イスラム教の異端イバード派を信仰する人が多い敬虔なイスラム国家です。
イバード派はイスラム教のごく初期に分裂した一派で、イマーム(指導者)に誰でもなれる教義を持つことから、多数派のスンニ派やアリーの子孫しか認めないシーア派と別れ独自の道を歩み、辺境の地オマーンに集まり住むようになりました。
そんなイバード派の地オマーンには、イスラムが到達する以前に存在した土着信仰がまだ生きており、その本拠地とされるのがバハラです。
敬虔なムスリムのオマーン人は、バハラでは夜な夜な魔女によって黒魔術や呪いの儀式が行われ、悪霊が跋扈し、魔法の力でバハラから世界中に魔女たちが飛び散っていると信じているようです。
今でもバハラには悪霊の大群がいると信じられており、恐怖の対象となっています。
3. シンコ・サルトス(アルゼンチン)
Photo from "101 aniversario de Cinco Saltos" acturalrionegro.com
魔女と死霊魔術のメッカ
アルゼンチンのシンコ・サントスはリオ・ネグロ地区の最も外れにある田舎の町で、あまり日当たりがよくないことから、昔から魔女が集まり死霊魔術が行なわれていると信じられてきました。別名「魔女の町」と言われています。
ある男が墓地の改修工事をしていたところ、12歳の少女のミイラ化した遺体を発見した。不思議なことに、その墓の主は70歳以上で死んだ老婆だったはず。男は魔女が死霊魔術で老婆の死体を若返らせてしまったのだ、と考えました。実際にその少女の霊の目撃談が近所の人より多数寄せられており、住民は恐怖に怯えた。
現代でも町には魔女が住んでおり、子どもをさらって生贄にして儀式を行っていると信じられており、目撃者も多数いるそうです。
4. クルダー(インド)
Photo by Archan dave
様々な怪奇現象が見られるラジャスタン州の廃墟
19世紀にはラジャスタン州で最も大きな町として栄えましたが、現在では一人の住民も住んでいない文字通りのゴーストタウンです。
伝説によると、住人の人気のあった首長の娘が、ジャイサルメール総督のサーリム・シンに自らの妻になれと言い寄られ、町はシンに乗っ取られようとしていた。全住民は娘を哀れに思い町から出て行き、シンは怒り狂った、とされています。
これは事実ではないようですが、クルダーはインドで有数の心霊スポットとして知られています。
インドのテレビ局が最新の機材を用いて検証取材を行ったところ、「何もないところでサーモグラフィーで体温が上昇した」「謎の音が聞こえた」「うめき声のようなものが聞こえた」「影が見えた」などが報告されました。
5. ダルガフス(ロシア)
Photo by Alex Svirkin
謎に包まれた「死者の町」
ロシア・北オセチア州の山岳地帯にあるダルガフスは、中世のオセット人の共同墓地の町。山の傾斜に白壁で作られた建物が建って風光明媚なのですが、これは全て墓地。
この墓地を覗き込むと、骨が散らばっているのがいまだに見ることができるそうです。
近くに川はないのに、墓地の中にはどういうわけかボートの破片が散らばっており、昔のオセット人は死者はボートに乗って死者の国に行くと考えられていたようです。
地元住民は決してダルガフスには近寄ろうとせず、というのも墓地を訪れた者は間もなく死ぬ、そして不用意に訪れたら霧がかかって麓まで帰れなくなると信じられているからです。
6. トラスモス(スペイン)
Photo by Juanje 2712
スペインの魔女の中心地とされている寒村
アラゴン地方にある小高い丘に築かれたトラスモスは、13世紀に地元の名士が丘の上に砦を作り部下たちが周辺に住み着いたことで出来た町。
町にはキリスト教徒だけでなく、イスラム教徒やユダヤ教徒が多数住み、イベリア半島らしいコスモポリタンな雰囲気であったようです。トラスモスの領主はどういうわけかローマ教会に敵対し、地元の教会に対し教会税を一切払わなかったそうです。
これは想像ですが、多様な宗教を抱える住民と領主との関係性のためかもしれません。
ただし、町の外のキリスト教徒からすると教会税を支払わないのは意味不明な行為であり、トラスモスには魔女が住み悪魔崇拝を行っている、と噂が立つようになりました。
15世紀にアラゴン王フェルナンド2世が登場しレ・コンキスタが完了すると、カトリックによってスペインを統治しようとする王はトラスモスの統治を試み部力で制圧。
その時に「魔女崇拝の町トラスモス」の名はスペイン中に知られるようになりました。
現在は62の住居しかない寒村であるにも関わらず、現在でもスペインの魔女崇拝の中心地とみなされています。
7. バラ・ハック(アメリカ)
Photo from " Bara-Hack Ghost Town" Haunted North America
多数の目撃談があるアメリカ有数の心霊スポット
バラ・ハックはアメリカ・コネチカット州にあり、1780年にウェールズ出身の家族によって作られてましたが、1890年にはすでにゴーストタウンになっていたそうです。
現在残っているのは住居の後と墓地だけで、その不気味な雰囲気から心霊スポットとして人気がある、実際に多くの人がここで人魂を目撃したり、人の声や家畜の鳴き声を聞いたりしているそうです。
1971年には、ポール・エノという男が「頭が禿げた男の生首」が墓の上に浮かんでいるのを目撃したとのことです。
8. カネードン(イギリス)
Photo by Terryjoyce
イギリス版「魔女の町」
カネードンはイングランド東部にある町で、 現代でも「魔女の町」として有名です。
もともと17世紀にこの町で魔女狩りと処刑が行われたことがあり、その事実が様々な尾ひれがついて伝承化し、19世紀に呪術家のジェイムス・マレルという人物がカネードンを「魔女の町」として紹介したことで一気に有名になりました。
例えば、町の中心にある聖ニコラウス教会の時計台の前を走ったり、ハロウィンの時期に特定の墓石の前に立つと悪魔が現れるとか言われ、地元の警察はハロウィンの時期に住民が教会の中に入らないように警備をするのだそうです。
たぶん名声に便乗してだと思いますが、20世紀初頭にはこの町出身のジョージ・ピッキンギルという男がマジシャンとして有名人になり、様々な黒魔術や悪魔崇拝の儀式を実際に行っていたそうです。
9. ヤルマル(コロンビア)
Photo by Petruss
住民の大半が痴呆症になってしまう山間部の町
コロンビア北部にある山間部の町ヤルマルは、「痴呆症の呪いにかかった町」として有名です。というのも、伝統的に約5,000戸の住民の半分が年をとるまえにアルツハイマーにかかって痴呆状態になってしまうからです。
ヤルマルは元々スペイン植民地時代に出来、1980年から1990年にかけて内戦によって多くの血が流れた町。
この町の住民は高確率で40歳になる前にアルツハイマーが進行してしまうため、科学者によりその原因の究明が進められていました。科学者によると17世紀のスペイン人による侵略の際に何らかの遺伝的変異が起こったと考えられ、ヤルマルの住民が持っている「E280A」という名の突然変異染色体がその原因と考えられています。
10. バンガル(インド)
Photo by Arindambasu2
夜に入ると2度と戻ってこれなくなる呪われた町
ラジャスタン州にあるバンガルという町は、1573年に作られムガール帝国の時代は堅牢な要塞都市として活気のある町でした。
ムガール帝国の凋落とともに町も落ちぶれ、1720年には近隣のアジャプガーを統治する将軍ジャイ・シン2世によって併合されますが、その後病気が流行り住民は逃げ去りゴーストタウンになってしまいました。
伝説によると、バンガルの町には美しいお姫様がいた。ところが彼女に魅了された黒魔術師は邪悪な術を使ってお姫様を自分のものにしようとした。
魔術師は自らの愛を魔術で丸石に込め、お姫様に触れさせて術にかけようとした。ところがお姫様は異変に気付き石を放り投げた。丸石は坂道を転がり、なんと黒魔術師に命中。魔術師は死んでしまった。
死ぬ直前、魔術師は「この町に住む人間を永久に呪ってやる」と呪いをかけて死んだため、すぐに町には災いが降りかかるようになり廃墟となった、とのことです。
インドでも有数の心霊スポットで、「夜に入ったら異界に迷いこみ2度と戻ってこれなくなる」と信じられていて地元住民は決して近寄らないそうですが、毎年何千人もの人が肝試しで訪れるようです。
まとめ
火のないところに煙は立たないじゃないですが、過去に何らか当時の人でさえ眉を背ける事件や事故があり、それが伝承として語り継がれ、近年になってメディアの力で一気に有名になり訪れる人が増え、そういう人たちの口コミによって噂が事実になりさらに知名度が上がっていく、というようなプロセスを経ているようです。
たぶん日本の心霊スポットも同じような感じなのではないでしょうか。
ぼくの実家の近所の心霊スポットも、過去に殺人事件や死体遺棄事件が起こったことからそういう噂が立っているように思います。
それにしても、人魂見たとか、温度があがったとか、影が見えたとか、生首が浮かんだとか、日本の心霊スポットと同じような目撃談であることが興味深いです。
幽霊の世界は洋の東西問わず同じ形をしているのか、あるいは人間が恐怖を感じる物事が文化に依存しない本能的なものだからでしょうか。
参考サイト