所有者不明の空き家 自治体が対応に苦慮
人口の減少や高齢化の影響で、全国で空き家が増え続けています。国は、去年、空き家対策を進めるための特別措置法を全面的に施行し、本格的な対策に乗り出しましたが、長い間放置され、所有者を特定できない空き家が多く、自治体が対応に苦慮している実態が浮かび上がっています。
総務省の調査によりますと、平成25年の全国の空き家はおよそ820万戸で、空き家率は13.5%に上っています。17年後には、2000万戸を超えるという試算もあります。
国は、去年5月、空き家対策を進めるための特別措置法を全面的に施行し、倒壊のおそれがある危険な空き家を強制的に撤去したり、自治体が所有者を探す際に、固定資産税の納税者の情報を利用したりできるようになりました。
しかし、所有者を容易に特定できない空き家が多く、自治体が対応に苦慮している実態が浮かび上がっています。
岡山県高梁市は、およそ800軒の空き家について所有者を探す調査をしています。このうち、20年以上放置され、屋根が崩れ落ちそうな危険な空き家について、所有者に指導をしようと登記簿を取り寄せたところ、所有者はすでに死亡していました。固定資産税を納めていた所有者の長男もすでに死亡しており、市はさらに4か月かけて、この長男の妻と娘を探し出し、空き家をどうするつもりか郵送で問い合わせました。ところが、返ってきた答えは「このまま放置したい」。やむをえず、ほかの親族を探していますが、手がかりは得られていません。
一方、茨城県笠間市は、空き家を登録して仲介する「空き家バンク」に力を入れていますが、ここでも所有者の特定が大きな壁になっています。市が、比較的見た目の新しい空き家の利活用を促そうと所有者を探したところ、すでに死亡していて、相続の権利がある人は、ひ孫の子どものやしゃごまで、40人余りもいることが分かりました。その多くはすでに死亡し、生存している12人を突き止めて連絡を取りましたが、相続すると答えた人は、1人もいませんでした。作業にかかった時間はおよそ1年。1軒の空き家に、これだけの時間と手間をかけたにもかかわらず、問題は何も解決していません。
笠間市によりますと、全体のおよそ2割の空き家で、所有者が特定できていないということです。市の担当者は、「空き家がさらに増えれば、所有者の特定に時間を取られて、ほかの仕事に手が回らなくなってしまう。国や自治体が連携して、さまざまな情報を横断的に利用できる仕組みを考える必要がある」と指摘しています。
空き家と言えども個人の財産で、所有権や財産権の問題があるため自治体としては、相続の権利がある人に当たらないわけにもいかず、八方ふさがりになっています。富士通総研の米山秀隆主席研究員は「農地などと同様の方法で、空き家の所有権は残したうえで、『利用権』を柔軟に活用する方法も
検討していくべきだ」と指摘しています。
国は、去年5月、空き家対策を進めるための特別措置法を全面的に施行し、倒壊のおそれがある危険な空き家を強制的に撤去したり、自治体が所有者を探す際に、固定資産税の納税者の情報を利用したりできるようになりました。
しかし、所有者を容易に特定できない空き家が多く、自治体が対応に苦慮している実態が浮かび上がっています。
岡山県高梁市は、およそ800軒の空き家について所有者を探す調査をしています。このうち、20年以上放置され、屋根が崩れ落ちそうな危険な空き家について、所有者に指導をしようと登記簿を取り寄せたところ、所有者はすでに死亡していました。固定資産税を納めていた所有者の長男もすでに死亡しており、市はさらに4か月かけて、この長男の妻と娘を探し出し、空き家をどうするつもりか郵送で問い合わせました。ところが、返ってきた答えは「このまま放置したい」。やむをえず、ほかの親族を探していますが、手がかりは得られていません。
一方、茨城県笠間市は、空き家を登録して仲介する「空き家バンク」に力を入れていますが、ここでも所有者の特定が大きな壁になっています。市が、比較的見た目の新しい空き家の利活用を促そうと所有者を探したところ、すでに死亡していて、相続の権利がある人は、ひ孫の子どものやしゃごまで、40人余りもいることが分かりました。その多くはすでに死亡し、生存している12人を突き止めて連絡を取りましたが、相続すると答えた人は、1人もいませんでした。作業にかかった時間はおよそ1年。1軒の空き家に、これだけの時間と手間をかけたにもかかわらず、問題は何も解決していません。
笠間市によりますと、全体のおよそ2割の空き家で、所有者が特定できていないということです。市の担当者は、「空き家がさらに増えれば、所有者の特定に時間を取られて、ほかの仕事に手が回らなくなってしまう。国や自治体が連携して、さまざまな情報を横断的に利用できる仕組みを考える必要がある」と指摘しています。
空き家と言えども個人の財産で、所有権や財産権の問題があるため自治体としては、相続の権利がある人に当たらないわけにもいかず、八方ふさがりになっています。富士通総研の米山秀隆主席研究員は「農地などと同様の方法で、空き家の所有権は残したうえで、『利用権』を柔軟に活用する方法も
検討していくべきだ」と指摘しています。