全国学力テスト「10年で学力底上げ効果」

全国学力テスト「10年で学力底上げ効果」
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「全国学力テスト」のことしの結果が公表され、テストを始めた10年前に比べ、正答率が高い県と低い県の差が縮まる結果となり、専門家は「学力の底上げが進んだ成果」だと分析しています。
「全国学力テスト」は子どもたちの学力低下の指摘を受けて、文部科学省が10年前から全国の小学6年生と中学3年生を対象に行っていて、29日、ことし4月に行われた結果が公表されました。

このうち、小学校の平均正答率を都道府県別に見ますと、小学校では、国語Aで最も高かったのは石川県、次いで広島県。国語Bで最も高かったのは秋田県、次いで石川県。算数Aで最も高かったのは石川県と福井県、算数Bで最も高かったのは石川県、次いで秋田県でした。

さらに、都道府県のうち最も正答率が高い県と低い県を比べたところ、10年前は小学校の算数Aが12.4ポイント、国語Bが16.6ポイントの差がありました。これに対し、ことしは算数Aで7.4ポイント、国語Bで8.6ポイントとトップと最下位の差が大きく縮まっていて、文部科学省は学力の底上げが進んでいるとしています。

子どもの学力問題に詳しい早稲田大学教職大学院の田中博之教授は「このテストにより学力の底上げが図られている。点取り競争のように順位を競うのではなく、本来の趣旨である指導の改善に役立てるべきだ」と話しています。

正答率低かった問題

文部科学省は今回のテストで正答率が7割未満だった問題に「課題がある」としています。

<小学校算数A/9(2)>
この1つが小学校の算数Aで出された百分率の問題です。問題ではバスの定員とそれより20%多い乗車人数の関係を百分率で示した場合、どうなるかを求めています。この問題の正答率は51.2%にとどまり、割合の理解に課題があることが分かります。

<中学校国語A/9(1)>
また、文脈にあった漢字を正しく書く力にも課題がありました。中学校の国語Aで「ドクソウ的な考え」という文章を漢字で書くよう求めた問題の正答率は27.3%にとどまりました。正しくは「独創」ですが、誤って「独想」や「独走」と書いた生徒が半数以上に上ったということです。

上位5位の都道府県

全国学力テストは基礎的な学力を問うA問題と、知識を活用する力を問うB問題があります。このうちB問題では、国語、算数とも図や表などから必要な情報を読み取る力や、自分の考えを文章で表現する力、さらに、知識を暮らしの中で活用する力が問われています。

それぞれ上位5位の都道府県です。

《小学校》
(国語A)1石川 2広島 3青森・秋田 4高知 5福井
(国語B)1秋田 2石川 3福井 4愛媛 5富山・広島
(算数A)1石川・福井 2秋田 3沖縄 4富山・愛媛 5青森・高知
(算数B)1石川 2秋田 3福井 4富山 5東京

《中学校》
(国語A)1秋田 2石川 3富山 4福井 5群馬
(国語B)1秋田 2石川 3富山 4福井 5静岡
(数学A)1福井 2秋田 3兵庫 4石川 5富山
(数学B)1福井 2富山 3石川 4秋田 5静岡・愛媛