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災害利息免除、国が難色 援護資金特例

震度7の揺れに見舞われた熊本県益城町では多くの住宅が倒壊した=同町で2016年4月19日午後2時17分、飯田和樹撮影

 災害によって損壊した住宅の再建費などを融資する公的制度「災害援護資金」を巡り、熊本地震の被災者に利息免除の特例措置を求める熊本県の要請に政府が難色を示している。2011年の東日本大震災では特例措置を取ったが、内閣府は「大震災とまでは言えず、議論が必要」と否定的だ。識者は「どんな災害でも大震災と同様の条件を設けるべきだ」と法改正を促している。

 災害援護資金は「災害弔慰金の支給等に関する法律」に基づき運用されている。負傷したり住宅が全半壊したりした被災者に150万〜350万円を貸し付ける制度で、原資は国が3分の2、都道府県や政令市が3分の1を負担し、市町村が貸付窓口になる。返済期間は10年で、うち3年間の返済猶予期間(期間中は無利息)がある。利率は3%で連帯保証人が要る。

 東日本大震災では、▽利率は連帯保証人がいれば0%、いなければ1・5%▽返済猶予期間を3年間延長▽経済状況に応じた免除規定を設ける−−という特例措置がとられた。計2万9178件に約523億8544万円(今年7月末現在)が貸し付けられている。

 一方、1995年の阪神大震災では、兵庫県内で5万6422件に総額約1308億7263万円が貸し付けられた。特例は当時なく、昨年4月の通知で破産時などに限り返済が免除されたが、未返済額は6217件、88億8287万円(今年3月現在)に上り、21年が過ぎた今も利息が被災者に大きな負担となっている。

 熊本県は6月、「利息0%(連帯保証人が必要)」と「貸出枠の拡充」を内閣府に求めた。県健康福祉政策課は「3%の利率は一般金融機関に比べても高く、非常に利用しづらい。被災者からのニーズがあり、対応してほしい」と訴える。

 これに対し内閣府の被災者行政担当は取材に「熊本地震の被害規模は、特例を検討する大震災でないと考えている。法改正が必要で、3%が高いという認識はあるが、ただちに対応はできない」と回答した。

 被災者の生活再建に詳しい民間研究機関の「兵庫県震災復興研究センター」(神戸市)の出口俊一事務局長は「災害の全体規模は個々の被災者に関係ない。あらゆる災害で東日本並みの対応ができるよう、法改正すべきだ。これでは公平性は担保されない」と指摘している。【神足俊輔】

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