燕三条にある「藤次郎ナイフギャラリー」は、全ての工程を社内で行っているのは日本に4軒しかないうちの一つである「藤次郎」によるナイフのギャラリーです。今回はナイフ制作の現場を見学させて頂きました。2017年4月以降には、オープンファクトリーも開設予定とのことですので、より見学もしやすくなるはずです。
「藤次郎ナイフギャラリー(燕三条)」1,200品目のナイフの展示スペース
「藤次郎」を見学
メディアツアーの一環として「藤次郎」の刃物工房を見学させて頂きました。刃物の作り方は2種類で、金型で包丁に抜く抜き刃物と、ハンマーで叩く打刃物がありますが「藤次郎」が得意としているのは抜き刃物とのことでした。
これは打刃物の鍛造工程です。叩けるようになるまで10年、ハンマーでの叩き方はようやく8年目になって教えて貰えるそうです。
鍛造は大量生産はできないものの、鋼には硬さと粘り強さがあり、それをシーソーのように調整しながら刃物にしており、叩くことで材料が活性化してシーソーがワンランク上がるのだそうです。
そのため、今でも鍛造の作り方がああり、職人の腕に包丁の性能が左右されるということです。
道具も自分でで作ります。職人になって最初はやっとこをつくるのだとか。
アウトドアナイフも作っており、これは工房で出展用ナイフを作っているところでした。
日本の包丁は5工程かけますが、海外はもっとシンプルです。そのため、刃先の繊細さが全く違うものになります。世界で最も切れるのは日本の包丁で、ドイツメーカーの一番グレードの高い包丁は日本で作られているという話は驚きました。
量産品の包丁である鋼をステンレスで挟み込んだ複合材の包丁シェアは「藤次郎」が世界一です。複合材の包丁は、鉛筆のように鋼がでてきます。
ハンドルにはステンレスをつけ、ほとんどの包丁は職人が手作業で磨いています。このタイプの包丁は量産品でうちにもあるものもこれだと思いますが、量産品といえば一本一本磨かれているのですね。
工場には75人おり、販売部門が20人という内訳です。若いスタッフの方も多かったですが、平均年齢は50歳とのこと。県外から和食の職人、七宝焼きの職人、元旅館の若女将など、刃物に魅せられた人たちが集まってきているそう。
刃物工房での生産は1日10本ほど、工場としての生産キャパは15,000〜20,000本/日とのことでした。コンスタントに包丁が売れるのはヨーロッパで、最近は中国、台湾の引き合いが増えているとのことです。
複合材による包丁に関しては、素材を重ね合わせて鍛造する技術があったこと、そして海外は切れ味よりも重さ、おれにくさを求めていたことから、切れ味優れて折れないものを研究したところ、複合材にいきついたとのお話でした。
ギャラリーの展示は1,200品目です。OEMをしているものも含めると、3,000〜4,000品目にもなるそう。
キッチンスタジオも併設されており、包丁の試し切りできるイベントなども開催しているそうです。曰く「良さを分かって買って欲しい」とのことでした。
包丁だけでなく、テーブルナイフなどの販売も行なわれていますが、これなどは刃がテーブルに触れない衛生的なものです。
シックな包丁と組み合わせたテーブルナイフ。
値段に関しては数万円するものが多かったと思いますが、目が飛びてるようなものは置いていないとのことでした。きちんとメンテナンスをして長く使うことを考えると、料理が好きな人は包丁へ投資するのは必須なのでしょうね。
個人的には、こうしたナイフにも非常に惹かれるものがあったのですが。
「藤次郎」アクセス
住所:新潟県燕市吉田東栄町55番18号
記事に関して
新潟県観光協会主催のプレスツアーに参加して記事を執筆しています。