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CDが売れなくなりフェス需要が増えているという昨今。ロックバンドは、大体ライブハウスシーンで話題になってから上にあがっていく。言わば、ライブハウスとは日本語ロックの最前線。そして客よりもミュージシャンよりもその最前線に触れる機会が多いのが、ライブハウスの店長である。

今回は、下北沢の老舗ライブハウス「CLUB Que(クラブ・キュー)」の初代店長・二位徳裕さんに話をうかがった。22年間、数々の有名バンドを輩出してきたこのライブハウスで二位さんが見てきたものとは何か? 有名になったバンドの共通点などを語ってもらったぞ!!

・下北沢にQueあり

下北沢で音楽をするならQueの名前を知らない者は潜りである。それほどに、今ではすっかり歴史あるライブハウスとなったQueだが、始まった当時はどんな感じだったのだろうか?

──Queを始める時に「こういうライブハウスにしよう」というテーマってあったんですか?

二位さん「結構しっかりありましたよ。今でこそロックのライブは立って見るのが普通だけど、当時のライブハウスは、ともするとお客さんがフロアに座ってるっていう状況だったんです。でも、Queでは立って見てほしかった。それで『立ちやすい環境ってどういうことだろう?』って考えて、スタンディングテーブルを導入したりとか。ライブハウスよりはクラブから着想を得ました」

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──当時のライブハウスシーンの状況ってどんな感じだったんでしょうか?

二位さん「Queができた当時は、ライブハウスに来るお客さんも少なかったですね。イカ天(TBS番組『イカすバンド天国』)も終わって、原宿のホコ天もなくなって、ちょうどバンドブームみたいなのが弾けた頃で、『こんなに広いライブハウス(キャパ250くらい)作って大丈夫?』って感じで」

──今と似たような状況ですかね。

二位さん「ライブハウスシーンに集まる人は、今よりもっと少なかったと思う」

──ちょっと意外な感じがします。私にとってはミッシェルはじめ、いろんなバンドが出てきた時代ですし、その後始まるハイスタとかのインディーズバンドのブームを考えると……。

二位さん「ミッシェルも当時お客さんは少なかったですが、彼らの場合は、同じフラストレーションを抱えてる人は多かったように思いますね。あと、ライブハウスシーンに人が少ないかわりに、ライブハウスも少なかったからシーン全体がギュっとなってて密度は濃いというか。

そのおかげで、噂も今より広がりやすかったように思います。これはQueができる前から下北や新宿にあった空気感ですが、『あのバンドがチラシを200枚撒いた』って噂が広がって『じゃあ俺らは300枚撒こうぜ』っていう風に、各バンドがステージに立つ前から勝負してましたね。その熱に負けるのが嫌だからライブハウス側も必死だった。そうこうしてるうちに、Queができて1年くらい経ったら連日満員になってました」

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そうして動き出したQue。氣志團、エレファントカシマシ、くるり、フジファブリック、ハイロウズ、フラワーカンパニーズ、怒髪天、ミッシェルガンエレファントなどなど、これまで出演したバンドはそうそうたる顔ぶれ。そんな22年間の歩みの中で、印象に残っているエピソードと有名になるバンドの共通点を聞いてみた。

・印象に残ってるエピソード

──二位さんが店長の22年間数々の伝説的なバンドが巣立っていったわけですが、印象に残っているエピソードはありますか?

二位さん「面白かったのは、ザ・バックホーンですね。最初、普通は『デモテープ聞いてください』っていう感じなんだけど、松田くん(ザ・バックホーンのドラム)は『俺たち福島から出てきたんですけど、どうやったら人気者になれるんですか?』って聞いてきて。それで『まず、チラシ配ってみよう』って言ったら、次の日から毎日チラシ配ってた。あの熱量には驚かされました。

あと、あの頃のバンドマンはみんなやってたんだけど、ハイスタの横山健(ギターヴォーカル)くんと夜中に原宿の電信柱とかにチラシ貼ってたら、俺だけ捕まったことかな。その時、足の骨折ってたから逃げ遅れちゃって(笑)」

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──(笑)! そういう風にバンドマンと近い距離で接して来た二位さんですが、有名になっていくバンドに共通するものってありますか?

・有名になったバンドの共通点

二位さん「面白話としては、みんな打ち上げが派手で楽しくて噂になってますね。そこに人間的な魅力が表れてて、人が集まって輪が広がるみたいな、媒体じゃない宣伝力を持つ人が多かった。まず、そこに参加したバンドマンとかが話題にしちゃうみたいな。ミッシェルも怒髪天もピロウズも氣志團も、みんな『そういえばあの時さ~』みたいな話になります」

──最近の若手で、それに共通するものを感じる人は誰ですか?

二位さん「踊ってばかりの国かな」

──あ~、なるほど。

二位さん「個人的には、『人に迷惑をかけないヤツが人を楽しませることができるのか?』って思います。迷惑をかけるのとエンターテイメントで人を楽しませることって紙一重なんですよね

迷惑だけをかけるのはただのダメなヤツなんだけど……面白いヤツかどうかは紙一重。そういう人の面白さを人に伝えるのが俺らの仕事かなって思ってます」

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「頑固ロック親父」な反面、親身になって相談に乗ってくれたり、面倒見が良い一面を持つ二位さん。そんな二位さんは、先日、22年務めたQueの店長を若手に譲った。まさか、二位さんがCLUB Queの店長じゃなくなる日が来るなんて思ってなかったが、本人はケロッとしたもの。ちなみに、店長を譲った理由を聞いてみたところ、以下のように答えてくれた。

二位さん「もともと、店長っていう肩書きにこだわりがなくて、俺はもういらないから有能な若手の後藤瞬に譲ったんですよね。もちろん、ブッキングはやるし、CLUB Que全体のイメージはこれからも作っていきます。ただ、もっと広い視野でライブハウスシーンを活性化させたいとも考えているので、むしろ今まで以上にバリバリやるつもり(笑)」

──とのこと。50歳を過ぎてなおロックの躍進に力を注ごうというその姿勢は、まだまだエネルギッシュ。これからの二位さんの活動にも期待だ。というわけで、そんな元名物店長・二位さんの推しイベントは下記の通り。ロックンロール・フォーエバー!

・イベントの情報

日時 10月16日(日)開場18:30 / 開演19:00
店名 下北沢CLUB Que
住所 東京都世田谷区北沢2-5-2ビッグベンビルB2F
イベント名 “BIG CIRCUS # ~CLUB Que 22nd ANNIVERSARY SERIES~”
出演者 杉本恭一 / 無限放送17 →(井垣宏章、ナカジマノブ(人間椅子 / ドミンゴス / ほか)、ミツゴロー(ドミンゴス)、 枕本トクロウ(BOZESTYLE)、竹安堅一(フラワーカンパニーズ)
値段 前売り3300円 / 当日3500円

・イベントの情報

日時 11月23日(日)開場18:00 / 開演19:00
店名 下北沢CLUB Que
住所 東京都世田谷区北沢2-5-2ビッグベンビルB2F
イベント名 “HAPPY SHEENA’s 39 BIRTHDAY!! シーナ&ロケッツ39回目のバースディライブ”
出演者 シーナ&ロケッツ -oneman-
値段 前売り4500円 / 当日5000円
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参照元:下北沢CLUBQue
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼ミッシェルガンエレファント『世界の終わり』

▼氣志團『One Night Carnival』

▼ザ・バックホーン『サニー』

▼踊ってばかりの国『ほんとごめんね』