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マルコ
今回ご紹介するのは、平松先生による20年前の野球漫画「キララ」です。
平松先生といえば相撲漫画に見せかけた別の何かである「嗚呼 どす恋ジゴロ」を当サイトでも取り上げましたが、この「キララ」もまた、野球漫画に見せかけた別の何かとなっております。
では、変なアドレナリンが出まくっている「キララ」をさっそく見ていきましょう。
物語は、一人の銀行強盗が警察に追われるところから始まります。……野球は……?
漫画が始まって最初のコマがこれです。さすがは平松先生、読者の期待を裏切りません。
銀行強盗は、そのまま球場へと逃げ込みます。
そこでは、本作の主人公であるキララ(表紙の男)が甲子園出場をかけて、ガールフレンドの見守る中、野球の試合を行っていました。
今すぐプロに通用するとまで言われる天才投手キララ……試合は彼が相手打線を0点に抑えたまま、9回を迎えていました。
しかし、そこへ先ほどの銀行強盗が乱入。
あろうことか、キララのガールフレンドでこの物語のヒロインを人質に取り、国外逃亡を要求します。
そこへ颯爽と登場したのは、昔の刑事ドラマを地でいくルックスの森田刑事。
ただの刑事と侮るなかれ、この男、今後も関係ないところでバシバシ登場します。
説得を続ける森田刑事ですが、それにも応じない犯人。
場が緊迫する中、キララがヒロインを救うために飛び出し、得意の豪速球を犯人に見舞います。
完全にかませと化した森田刑事。
ちなみにボールが普通に上着をぶち破っていますが、この程度のことに反応していてはこの漫画はこれ以上読めませんので、心してくださいませ。
ボールが犯人を強襲し、その隙に乗じてヒロインを助け出そうとするキララ。
しかし、犯人がとっさに発砲し……、
なんと、二人とも撃たれてしまいました。
ということで、ここまでが第1話です。
いかがでしょうか。
なんか読んでいてもう1年ぐらい連載してる量なんじゃないかと勘違いしそうになりましたが、これぞ平松先生ならではの密度です。
というか野球漫画の記念すべき連載1回目で主人公がピストルで撃たれて重体とは……タッチでも主人公が死にましたが、読者の疲労度はこちらの方がはるかに上です。
第2話からは、さらに話がややこしい方向へと加速。
何とか一命を取り留めたキララとヒロインでしたが、ヒロインは下半身の自由を失い、キララの体にはピストルの弾の毒素が流れ出していました。
その結果、
キララの命はあと数年……。
たった2話でこの超展開です。確かにこの漫画、14話で打ち切られますが、まるでそれを見越しているかのような急ぎっぷり。……いや、違うのです。この打ち切りとかそんなことはどうでもいいと言わんばかりの熱さ、それこそが平松イズムなのです。
ということで、2話までで話が動きまくった「キララ」ですが、話はさらに斜め方向へ進んでいきます。
天才と呼ばれた男キララ……体に爆弾を抱えた彼が選んだ道は、関東一の不良校へ転校し、そこでゼロから甲子園を目指すというものでした。
しかし、この学校の野球部の惨状は予想以上で、
不良の横暴にたまりかねて退部しようとする部員を磔にしてリンチを加えるなど、どう見ても異常です。
もちろん、それを黙って見ているキララではありません。
太陽を背負って颯爽と登場すると、
得意の豪速球で山田君を拘束していた縄を引きちぎります。どうやって4球一緒に投げたんだとか、縄を切るボールってそれどんな刃物だよとか、野暮なことを気にしてはいけません。キララならできる、それでいいじゃありませんか。
これに怒り心頭なのは不良たち。
ここで、キララが有名な投手だと見抜いた不良部員が、キララに無茶な勝負を吹っかけます。
「入部テストだ。その位置からおれたち全員を空振りにしてみろよ。一人でもバットにかすったら入部は認めねえぜ!」
と鼻息を荒げる不良たち。
確かに普通に考えれば無理な話ですが……しかし、キララは超高校級の投手です。
ちなみにこの漫画での超高校級というのは、超人間級と考えていただいて結構です。というか、不良どもはさっきキララの球が縄をぶった切るところを見ていた癖に、その威力を理解していないのでしょうか。バットにかするも何も、万が一体にかすったらケガじゃ済まないと思うのですが……。
さて、勝負の結果、キララの放った豪速球は不良野球部全員を空振りにしとめ、その先にいたキャッチャーにジャストミート。
どう見てもキャッチャー、死んでます。
キララ自身も胸にピストルを受け、生死の境をさまよったわけですが、比較するとこっちの方が重体に見えるのは気のせいでしょうか。
硬球……なんて恐るべき凶器でしょう。
この結果に、不良野球部員がキレます。
バットに仕込んであった日本刀で、キララに斬りかかる不良。
これについて色々つっこみたいことはありますが、そんなことを考えていたら、もっとつっこまなければいけない人が登場しました。
一部始終を見ていた森田刑事が、何か超かっこいいポーズで登場し、不良が構えた日本刀に向けて発砲。日本刀は粉々に砕け散ってしまいます。
びびった不良たちは、我先に逃げ出そうとします。
当然ですよね、グラサン刑事が現れたと思ったらいきなり撃ってきたんですから……しょせん不良どもは親に育てられている立場の子供。しかし、森田刑事はどう見ても本物です。
もう勝負なんてどうでもいいぜ〜と散り散りになる不良たちに向けて、
森田刑事、乱射。
……正義って、何だろう……ね。
ということで、一冊丸ごとレビューしようとしたら森田刑事の乱射で力尽きたので、続きはまた次回!
それにしても……いつになったら野球が始まるんですか……?
〜次回予告〜 ついに野球部が始動し、試合の予定も入ったキララたち。しかし部員が未だ2名しかいない。果たして試合当日までに9名そろえることはできるのか? 迫りくる対戦相手高校からの刺客にキララはどう対抗するのか? そろそろ野球やってくれよ! |
続・平松先生の野球指南!「キララ」レビュー
〜前回までのあらすじ〜
即プロに通用するとまで言われた天才高校生投手キララ。
しかし、ある試合中、球場に逃げ込んだ銀行強盗に撃たれ余命幾ばくもない体になってしまう。
そんなキララが転校した先の学校は、関東一の不良校だった。
まともに野球をやる気のない不良部員たちに、キララはどう立ち向かうのか!?
―――
……ということで、地獄の入部テストを拒否った不良部員たちに、唐突に現れた森田刑事が銃を乱射したところまでご紹介しました。
今回はその続きをご覧ください。
もはや、キララがただ部員たちをリンチするだけになってしまった入部テストでしたが、次にキララが手にとったのはサッカーボールでした。
これで充分だ、と言わんばかりのキララ。
実はこれ、前回死亡して退場したキャッチャーに代わって、フェンスに張り付けられていた山田君がキャッチャーを志願したことに対するキララなりの気遣いだったのです。
そりゃあ、全力の硬球でフェンスに穴を開けるんだから、まともに受けたら死んでしまいますもんね……。
これを見て、「サッカーボールぐらい打てるぜ!」と強気になる不良部員たち。しかし……。
サッカーボールもキララにかかれば野球のボールと一緒です。
どうやってフォークボールの回転をかけたのかはまったくわかりませんが、そこはキララですからね。キララならスイカだっていけますよ!
あまりの力の差に、とうとう部員たちは、
捨て台詞を残して立ち去っていきます。
これにて、ひとまず部員たちとの勝負はつきましたが、しかし彼らの言う通り、ひとりで野球はできません。
キララには、この後メンバー集めという大きな課題が残されているのでした。
しかし、キララは悲観しません。
「なぜ柴虎なんかに転校した〜!」と怒鳴る森田刑事に対し、「あんたには関係ないさ……」とクールに返すキララ。すると、
森田刑事、銃を人に向けすぎです。
これに対し、「奈美(キララと一緒に撃たれたヒロイン)はあんなことになってもまだテニスの夢を実現しようとしている! ゼロからの……いやマイナスからの出発だ! だったらおれもその位置から出発する!」と答えるキララ。わかるようなわからないような理屈です。
しかし、どうやらキララは最初から一人ぼっちというわけではなさそうです。
そう、不良たちにいじめられていた、割とまともな野球部員、山田君がいるのですから……。
……前言撤回。
まともじゃなかった。
さて、キララの行動にまだ納得ができない森田刑事は、入院中のキララのガールフレンド、奈美を訪ねます。
「キララは何を考えているんだ」と奈美に愚痴る森田刑事。あんた、仕事は……?
どう考えても出しゃばりすぎな森田刑事ですが、そこへ一本の電話が入ります。
凶悪事件発生! 森田刑事が現場に急行すると、そこは修羅場でした。
到着した森田刑事が得意の銃乱射を始める前に、一人の男が現れ、
強盗を普通に蹴散らします。
もはやあまりの急展開についていけませんが、この男、この後かなり重要な役で登場しますので皆さん覚えておきましょう。
それにしても球場での事件もそうでしたが、どこまでも森田刑事はかませ犬です。
一方その頃、野球部入りしたキララと山田君でしたが、先ほど尻尾巻いて逃げ出した不良先輩たちが、まだしぶとくキララたちを妨害しようとちょっかいを出してきます。
この腐りまくった野球部が普段どんなことをやっているのかというと……、
賭博でした。
学ランで部室で賭博……シュールな光景です。
これに無理やり参加させられたキララたち。
しかし、キララは振られるサイコロの目をぴたりと当て、逆に先輩たちをやり込めます。
「てめえ、どんなイカサマやってんだ!」と怒り狂う先輩に、キララは
「つぼにはいる瞬間のサイコロの目、つぼの動き、それにあわせてサイコロがどんな回転をするか……それを計算していっただけさ!」
と事も無げに言い放ちます。いや……「計算した」って……さすがサッカーボールでフォークを投げる男は一味違いますね。
これにキレる先輩たちですが、そこへやってきたのは、
強盗を一人で制圧し、猟銃を奪ってふんぞり返っていたあの男でした。なんとこの男、野球部だったのですね!
危険な男との一騎打ちに挑むキララ……果たして勝機はあるのか!?
そしていつになったら野球は始まるのか!?
〜お詫び〜 前回、次回予告で他校との野球の試合が決定するみたいなことを書きましたが、あまりにも濃い展開にレビューが進まず、次回予告の箇所までたどり着けませんでした。 次回こそは試合に……到達できるかどうかは神のみぞ知る! |
〜前回までのあらすじ〜
即プロに通用するとまで言われた天才高校生投手キララ。
しかし、ある試合中、球場に逃げ込んだ銀行強盗に撃たれ余命幾ばくもない体になってしまう。
そんなキララが転校した先の学校は、関東一の不良校だった。
不良たちをこてんぱんに倒したキララだったが、新たなる強敵が立ちふさがる……。
―――
ということで、まさかのレビュー3回目に突入した「キララ」ですが、僕もこんなことになるとは思っていませんでした。
最初は、レビュー1回だけでストーリーを全部紹介して終わりだろう……とか思ってましたからね。とんだ甘ちゃんでしたよまったく。
ということで、前回の最後に登場した、猟銃を持った強盗を一人で制圧する高校生の名前は赤木といいました。
3年生も一目置く存在である赤木との勝負は……。
山田君の頭に載せたリンゴを、ボールを同時に投げて先に落とした方が勝ちという勝負になりました。なんというウィリアム・テル……。
しかしこれ、一番不運なのはどう考えても山田君ですよね。別に山田君に載せなくても台か何かでよかったのでは……。
特にキララの球はフェンスを突き破る威力を持っていることが実証されていますから、マジで命に関わります。
この危なすぎる勝負の結果は……
両者のボールが同時にリンゴを砕き、引き分けに。
そして、もうちょっとで山田君の頭がリンゴになってしまうところでした。
この結果に納得いかないのはキララです。
「俺はまだ本気を出してないぜ……!」
粋がるキララは、再びボールを手に取ります。
やめてあげて! 一命を取り留めてホッとしている山田君を再び恐怖のどん底に突き落とすのはやめてあげて!
山田ー! お前もちょっとは考えろ!
しかもなんかお前、目がイッてないか?
さらに、よく見ると山田君が自らの頭に載せているのは、先ほど砕かれたリンゴの破片です。
そこまでして死にたいのか山田……。
これに対し、ためらうことなく山田君の頭に向かって豪速球を投げつけるキララ。森田刑事といい、この漫画のキャラは命を軽く考えすぎだ!
結果、何とか無事ボールは山田君の頭上を通過し、そのまま飛んでいきました。それにしても完全にビームの類のエフェクトですよ、これ。
これでキララのメンツも保てたし、一安心……。
と思いきや、
そこへ、謎の集団がバイクで登場。よく見るとバットを持っています。
まさか……。
試合の相手でした。
やっと野球が始まると思ったら、相手がこれです。
この漫画、こんなんばっか……。
しかも、毎年律儀に試合をしているところが非常にほほえましいですね。
実はお前ら、野球好きだろ……?
ともあれ、唐突に現れたライバル校の連中が言うには、毎年恒例となっている対抗試合で、キララの学校が負ければ20連敗になり、野球部は廃部になってしまうとのこと。
絶対甲子園に行くぜ! といきまいているキララですが、それ以前の問題としてそもそも野球部は存続できるのか、そしてまず存続を賭けた試合に出ることができるのか、という絶望的な状況に陥ってしまいました。
メジャーの吾郎君だって、もうちょっとマシな状況からスタートしましたよ。
ここまできても、やっと試合の「し」の字が見えてきたぐらいで、相変わらず野球は始まりませんが、恐ろしいのは15話で打ち切られたこの「キララ」の、まだ半分も話が進んでいないということです。
次回、果たしてメンバーは集まるのか!?
そして、試合は始まるのか!?
こんなに続くと思わなかった、平松先生の野球指南!「キララ」レビュー
〜前回までのあらすじ〜
即プロに通用するとまで言われた天才高校生投手キララ。
しかし、ある試合中、球場に逃げ込んだ銀行強盗に撃たれ余命幾ばくもない体になってしまう。
そんなキララが転校した先の学校は、関東一の不良校だった。
不良たちも一目置く存在である赤木とピッチング(?)で勝負するキララ。しかし、そこへ現れたのはキララの高校とライバル関係にある竜国高校の野球部員たちだった。
彼らとの試合に負ければ野球部は廃部というピンチに、キララはどう立ち向かうのか……。
―――
そんなわけで、やっとのことで試合の話題が出てきたわけですが、未だ試合が始まるまでには数々の困難が待ち受けていそうです。
まず人数が全然足りないしね!
さて、何のために出てきたのかよくわからない赤木でしたが、猟銃で強盗を制圧してしまう彼には、意外に家庭的な一面がありました。
ヒロ子というのは、同棲している彼女の名前です。
「できちゃったみたい……」と報告。
さすがキララと互角にやりあった男は仕事が早い! ……ていうかお前まだ高校生だろ。
そんなアダルティな赤木とは正反対に、キララと山田君はひたすら試合に向けて野球の練習をしていました。
そう、キララの球はフェンスをも貫く殺人ボール。
試合云々以前に、まず誰が捕れるのかという問題があるのです。
自らキャッチャーを買って出て、必死にキララの球を受け止める山田君ですが……
受け止めきれず壁に激突。
恐ろしいことに、キララはこれでもまだ50%しか力を出していないというのです。これは練習でどうにかなるレベルの問題なのでしょうか……芸能人のかくし芸大会じゃないんだから。
それにしても先週のリンゴといい、山田君マゾすぎです。
この無茶な練習に対して、さすがにマネージャーが怒ります。
「それより残り7人のメンバーを集める方が大事じゃないの〜!!」
と、誰もが思っていた正論をぶつけます。
すると、
「いざとなったら対抗試合はふたりだけで戦うさ!」と力強く宣言するキララ。
あの……野球のルールは……?
何でお前、「名案だろ!」みたいな顔して言ってんだ!
ちなみに、このマネージャーは初登場のように見えますが、実はご紹介してなかっただけで前からいました。キララのクラスメイトです。紹介しなかったのは、それどころではなかったからです。みんな、わかってくれるよね?
こうして、さらに練習を続けるキララたち……。
しかし、とうとう山田君が一歩も動けないほどに疲労してしまったため、練習は一時中断。へばった彼を休ませるために、3人は医務室へと向かいました。
その途中、
いきなりドアが3人を襲います。
意味がわからないと思いますが、別に場面をはしょっているわけではなくて、本当に医務室へ向かう途中でドアが飛んできたのです。意味がわかりませんよね。僕もです。
このドアを、間一髪のところでかわしたキララ一行。
いったい何事か……。
前方に目を向ければ、そこには恐ろしい光景が広がっていました。
なんと、死屍累々と折り重なる野球部員たちの姿が……。平松先生の画力が高いせいで、ホラー漫画みたいになってしまっています。これ、完全に死んでるよね……?
よく見るとやられているのは部員だけではなく、周りの校舎もベキベキになっています。
しかも、奥の学生は天井に首を突っ込んだまま絶命しているのですが、何がどうなったらこんなことになるというのでしょう……。
このコマを見て、さっきまでちょうど読んでいた「うしおととら」の一場面を思い出してしまいましたが、あっちは妖怪バトル漫画。こっちは野球漫画ですからね。平松先生、ジャンルの垣根をあっさりと越えすぎです。
この光景を前に呆然とするキララ。すると、山田君が「アア…まさか、ざ、座門さん……野球部のキャプテンの……」と呟きます。
山田……まさか心当たりが!?
次の瞬間、この状況を作った張本人が襲い掛かります。
すごい剣幕で現れたこの男こそ、野球部キャプテン、座門。
山田君の予想通り、部員たちを物言わぬ肉片へと変えた殺人鬼です。
突如襲い掛かってきた座門の攻撃をかわし、キララは得意の豪速球を放ちます。
しかし、座門はその豊富な贅肉で、鉄のフェンスさえ貫くキララのボールを「ボイ〜ン」と弾いてしまいます。なんという無敵の盾!(=贅肉)
そして、キララの喉元をつかむや、壁に叩きつける座門。この一撃で、さしものキララも虫の息になってしまいます。
かつてないピンチ……!
もうダメかと思われた瞬間、
なんと、赤木がキララを助けに現れました!
「赤木〜! てめえこのおれにさからう気か〜!」と怒り狂う座門に、「座門さん、あんたとだけはやりあいたくなかったんですがねえ…この男をつぶされたんじゃ、甲子園で優勝したっていう自慢話を生まれてくるガキにできなくなるんですよ〜!」と赤木はやり返します。
そういえばさっき赤木に子供ができたんでしたっけ。それまでは甲子園どころか野球する気もなさそうだったくせに……。
……なんか、話がどんどんと読者を置いてけぼりにして斜めの方向へ……。
というか座門さんの髪型はどうにかならないのでしょうか。僕、先ほどから先っちょのリボンが気になって仕方ないんですよね。
とまあ、どう考えても笑いを取りに出てきたとしか思えない座門さんですが、はっきり言ってキララたちは座門さんの相手をするよりも他にやることが山ほどあるはずです。
たとえば部員を集めたり、山田君をもっとゴリゴリ鍛えたり……。
現在のところ、試合は決まったものの、メンバーは集まらないし、まともな練習もできていません。
果たして、この漫画でノックとか守備練習とか、そういう高校生の部活らしい光景が見られる日は来るのでしょうか……。
さらに濃い展開が待つ次回へ続く!
いつの間にか5回目を迎えたキララレビュー。
「そろそろ試合が……」とか言ってたあの頃がすでに懐かしいですね!
〜前回までのあらすじ〜
即プロに通用するとまで言われた天才高校生投手キララ。
しかし、ある試合中、球場に逃げ込んだ銀行強盗に撃たれ余命幾ばくもない体になってしまう。
そんなキララが転校した先の学校は、関東一の不良校だった。
不良たちとの対決、そして彼らも一目置く赤木との勝負に勝利したキララだったが、そこへ現れたのは竜国高校の野球部。
彼らとの試合に負ければ野球部は廃部というピンチに、キララはどう立ち向かうのか。
さらに、野球部主将である座門が現れ、キララは危機に陥ってしまう……。
―――
ついに現れた野球部主将の座門。
通常の人間の2倍以上はあろうかという座門の巨体には、キララのボールでさえも通じませんでした。
しかし、そこへ助けにきたのは意外なことにキララと互角の勝負を繰り広げた赤木。
高校生でありながら同棲している彼女を孕ませたモテ野郎です。
そんな彼が言い放った「キララを潰されれば甲子園で優勝したという自慢話を生まれてくる子供にできなくなる」との言葉に、座門さんが反応します。
怒りと憎しみのこもった目を赤木に向ける座門さん。……やはり体がでかいだけではモテないのでしょうか……とりあえずまずはその髪型をどうにかしたほうがいいと思うよ座門さん。
そんな主将の怒りが赤木にヒット!
思い切り校舎に叩きつけられる赤木……これだけで普通なら瀕死ですが、座門さんはさらに容赦なく追い討ちをかけます。
うわー……!
なんか最後のコマとかもうリアルに劇画で人が死ぬときのエフェクトですよ。
せっかく助けにきた赤木ですが、パワーが違いすぎる相手に半死状態に……。
しかし、座門さんが赤木に気を取られているうちに、キララが動きました。
再びこん身の力をこめたストレートを座門さんにぶつけます。
が、このストレートが座門さんの贅肉に勝てないのは前回で実証済み……いったいどんな狙いが?
痛たたたたたたたたたたたー!
これはたまらない!
座門さんとて一人の男です。もしかすると女性には理解できない痛みかもしれない。しかし、これだけは言わせてほしい。フェンスをも貫くキララのストレートが股間にめり込んだら……まず5年は使い物にならなくなるね!
悶絶する座門さんを見て、かっこよく決めポーズをとるキララ。
いやまあ、確かに「倒した」けど……金〇だしな……。かっこいいようなかっこ悪いような……。
そして最後は、
さっきのお返しとばかりに、赤木がバックドロップで美味しいところを持っていって勝利!
座門さんの頭が酷いことになっていますが、あれだけ流血していた赤木が普通に動けているところを見るに、この漫画でこれぐらいは「ちょっとしたケガ」レベルです。
大丈夫、大丈夫。ちょっと頭が校舎の床を破壊してめり込んだだけですから!
戦いが終わって……。
互いを称え合い、共に甲子園を目指すことを誓った二人。
……つい先日まで「甲子園なんて……」みたいなことを言っていた赤木が急に変わったのは、子供ができたことで「やるときはやる男になる」という決心をしたからなのですが、それなら甲子園を目指す前に働くべきではないでしょうか。どうも頑張りのベクトルがズレているような気がしてなりません。
ともあれ、やっと3人目のメンバーが加わったキララたち野球部。
あと6人……気が遠くなる数ですね。
そして数日後――。
あんなことを言っていたにも関わらず練習になかなか姿を見せない赤木に腹を立て、マネージャーが彼の家を訪れると……。
怪しげな声が。
しかし皆さんが期待しているアレではもちろんなく、
こんなんでした。
筋トレのついでに恋人にマッサージしてあげている赤木……これはこれである意味危険な画です。
というか、恋人の服装にはつっこんでもいいものなのでしょうか……。
一方、キララと赤木の二人に敗れた座門さんはすっかり腑抜けになってしまい、たまたま遭遇した竜国高校の不良たちにボコボコにされていました。
自慢の弁髪をバイクでひかれまくる座門さん。こんなやつら、座門さんのパワーがあれば瞬殺できそうな気がしますが、キララと赤木に負けたのがよっぽどショックだったのか、何もできずやられるがままになっています。
そこへ通りかかったのが、またしても野球部のマネージャー。
当たり前のように襲われます。
果たしてこのまま当サイトでレビューできないような展開になってしまうのか?
いよいよ次回、竜国高校野球部とのガチンコバトルが始まる!
ガチンコバトルと言ってももちろん野球じゃないけどな!
こうご期待!
……
それにしても、ここまでキララの速球がほとんど野球に使われていないことにそろそろ我々は疑問を持つべきではないでしょうかね。
だいぶ長いことレビューするのを忘れていた「キララ」ですが、そろそろ皆さん、「キララは結局最後まで野球をやらずに終わるの?」という疑問を持ち始めた頃だと思いますので、レビュー再開といきましょう! ちなみにまだ、単行本(全1巻)の半分までしかきていません!
前回までは確か、
高い実力を持ちながら中途半端な生き方をしていたところをキララにたしなめられ、その後彼女の妊娠をきっかけに甲子園出場を決意したという濃すぎる人生を歩む17歳、赤木が仲間になり、
頭のリボンがチャーミングな野球部主将、座門さんを倒したところまででしたね。
その後、キララに思いを寄せるマネージャーに、練習試合の相手である竜国高校の不良どもが絡んで、18禁的展開になるのか!? と心配していましたが……。
「柴虎のオンナにしちゃうまそうじゃねえか!」というセリフに時代を感じます。
絶体絶命のピンチに陥ったマネージャー、いよいよこれまでかと思われたそのとき、
こんにゃくが飛んできました。
なぜこんにゃく……? そして誰が?
赤木でした。
「おまえらの性欲処理にはそいつで十分だぜ!!」ということで、この漫画が描かれた20年前からすでにこんにゃくはそういうポジションだったことがわかりました。何のことかわからないよ、という人はお父さんに聞いてみよう!
……バットを片手に、竜国と戦い始めた赤木。
バットの使い方、間違えすぎです。
「アチョー!」
“さしずめ”じゃねーよ!
「うまいこと言った」みたいな顔するな!
何とか赤木のおかげで助かったマネージャーと、誰も覚えてないと思うけど実は一緒にボコられていた座門さん。
座門さんに仲間フラグが立ちました。シリアスな場面になるほど、頭のリボンが良い味を出してきますね。
赤木のセリフはいいとして、これ……座門さん、死んでない?
……それはともかく、赤木の言葉によればメンバーはまだ3人!
キララ、山田、赤木……か。ここに座門さんを加えても4人です。果たして漫画が終わるまでにメンバーはそろうのでしょうか?
というかキララさえいれば絶対に勝てるのですから、奴以外はカカシでも立てとけばいいのに。
さて、その頃チームの主戦力であるキララは……。
練習中に倒れていました。
そういえば、キララはかつて銃撃されたときに体に入ったままの弾丸から出る毒で、ジワジワと死に近づいているのでした。
頼みの綱のキララでさえこんな状態では……大丈夫かこのチーム……。
次回、ついにメンバーがそろい、練習試合へ突入! ……できるのかな……。
野球シーンが待ち遠しい漫画No.1として名高いキララ。
今のところ野球らしい場面といえば、キララが速球でフェンスぶち抜いたり、山田君の頭に載せたりんごを打ち抜いたり、赤木がバットをヌンチャク代わりに不良をぶちのめしたり……ということぐらいしかありませんが、そろそろ真っ当に試合に入ってくれるのでしょうか。
……まだメンバー、3人だけど。
今回は前回から場面が変わり、
バンドのシーンからスタートします。
観客を沸かせる派手なメイクのバンドメンバーたち。
一見、生活が充実しているように見える彼らですが……。
しかし実は心の中でバンドにいまいち燃えきれないくすぶりを抱えていたのでした。
どうでもいいですが、左端のメイクがやばすぎます。
そこへ登場したのは……。
赤木でした。
彼が言うには、このバンドメンバー4人は、いずれもかつて野球部員だったものの、とある事件がきっかけで部を中退していたのでした。
赤木の説得により、野球部への復帰に意欲を見せるバンドメンバーたち。
しかし、そこへ再び竜国高校の魔の手が迫ります。
突然崩れる角材!
我が子を身ごもった恋人をかばう赤木ですが、
そこへ鉄球をぶら下げたダンプカーが突撃してきます。
もちろんダンプカーを運転しているのは竜国高校の野球部員たち。
前回、赤木にこんにゃくでこてんぱんにやられたことを根にもっての復讐です。
……メンバーを集めて、やっとスポーツ漫画っぽくなるのかなと思っていたところへこれですよ。
野球をやるどころか、ますますバイオレンス色を強めていく展開に、僕も正直びっくりです。
そして竜国高校野球部員の魔の手はバンドメンバーたちをも襲います。
この攻撃を、人間離れしたアクロバティックな動きでかわすバンドメンバーたち。
……ただの数合わせかと思いきや、どうやらこいつらも相当にヤバイ運動能力を持っているようです。
試合になればますますただでは済まない雰囲気が漂ってきましたね!
ここで、卑怯にも身重も赤木の恋人に狙いを絞ってきた竜国高校の野球部員たち。
鉄球で集中的に狙われ、ピンチに陥った赤木カップルでしたが……。
なんと、座門さんがギリギリのところで二人を助け出しました!
……バイクで頭を轢かれたり、鉄球を腹で止めて吐血したり……そもそもそれ以前にキララの速球を股間に受けて悶絶しているはずですが、ここまでやられても平気で動き回っている座門さんの耐久力の高さには驚きです。
そう……この並外れた打たれ強さこそが、座門さんの本当の特殊能力なのかもしれません。
……まあ、それが野球で何の役に立つのかと言われると僕も答えようがないんですけども。
座門さんに完全に仲間フラグが立ったところで、
キララが登場。
先週の終わりではマウンドで倒れて弾丸の毒に怯えきっていましたが、何事もなかったかのように復活。さすがです。
何だかんだ言って、この漫画ではキララの速球が最強の凶器ですから、ダンプカーを操って良い気になった程度の竜国高校野球部員などキララの敵ではありません。
あっという間に殲滅され、蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていったのでした。
ということで……。
色々と揉めまくりましたが、何とか8人のメンバーがそろいました。
そして……。
最後の一人はマネージャーに決定。
……前回までは3人しかメンバーがいなかったのに、今回あっという間に6人増えてフルメンバーになりました。
ここへきて展開が急にスピードアップしたこと――特に最後のメンバーの「たまたまそこにいたから」的な決定――には、思わず色々な大人の事情を勘ぐらずにはいられませんが、ともかくメンバーがそろったことはめでたい!
これで……これでやっと野球ができる……。
いよいよ次回、キララが始まってから今日まで、皆さんが心待ちにしていたであろう野球の試合がスタート!
しかし、その試合が、まともなものになるはずはなかったのでした……。
野球漫画であるにも関わらず、ここまでまともに野球をやっていない「キララ」ですが、いよいよ前回でメンバーがそろい、試合にこじつけました。
もう誰も覚えていないかもしれませんが、一応「毎年試合をしている竜国高校と試合をして負けたら廃部」という設定があったのですよ……。
さあ、皆さんここからは目を見開いて何ひとつ見逃さないようにご覧ください。
試合当日。
全員ユニフォームなのがすごい違和感。特に座門さん……元野球部主将のくせになんか一人で浮きまくってます。
そして対戦相手の竜国高校のメンバーは……。
こんな感じ。
いやいや!
全員がバイク乗り回してるのはまあいいとして、どう見てもその筋の方々ばかりじゃないですか!
特に一番右、高校生っていうツラじゃないですよ。
なんかもうさっき違和感を感じていた座門さんが可愛く見えてきます。
しかしまあ、相手が高校生離れしているのは最初からわかっていたことなので、気を取り直して見ていくことにしましょう。
今回のそれぞれのオーダーはこちらをご覧ください。
いよいよ試合開始……。
しかしもちろん最初からまともな試合になるはずもなく、
キララのピッチングを無視してバットを投げつけてくる竜国のバッターや、
それに腹を立てたキララがわざと危険球を投げるなど、試合は1番バッターから荒れ模様の様相を呈していました。
ちなみにキララの危険球を受けると、
かすっただけでもこうなりますのでご注意ください。
ところで、先ほどの竜国高校選手集合画像で、
一番左の人、気になりませんでした?
包帯でぐるぐる巻きにした顔面……そんな大怪我してるなら野球とかするなよと言いたくなりますが、実はそうではなく、
包帯はこういう風に使うためのものでした。
ええと、僕野球のことあまり詳しくないんですけど、これって進塁妨害とかにならないんですか?
……と思ったのですが、だったらさっきバットを投げつけたりわざと危険球を投げたりした時点でアウトだと思うので、つまりこの試合にはもはやルールというものは存在しないのです。
というかこのスパイダーマンみたいな技、うまく使えばこれだけで飯食っていけるレベルの特技になるんじゃないかと思うのですが……。
こうした相手の妨害に、キララもぶちきれ、
今度はバッティングで攻撃。
ボール気味の球を叩き、
さっきの包帯男をかすめて大出血。
……キララ、ピッチングだけかと思っていましたが、バッティングの方でも普通に人を殺せそうですね。
危険すぎるキララの能力に、やっとここで気づいた竜国高校の選手。遅すぎるだろ。
何やら悪巧みを始めます。
ということで、今回から念願の試合が始まったにも関わらず、「あれ、何か展開地味じゃね?」と思った皆さん、ご安心ください。
次回、竜国高校の卑劣な罠の前に崩れ落ちるキララ!
いったいどうなってしまうのか……! お楽しみに!
ついに始まった竜国高校との対決……キララの実力なら余裕なはずのこの試合、一抹の不安がよぎるのはなぜ……?
見た目からしてめっさ怖い竜国高校の皆さん……。
それ比べるとキララの高校は見た目的には座門さんが強烈な個性を放っており両校併せてもナンバーワンですが、それ以外のキャラはちょっと地味で、どうも迫力に欠ける感があります。
しかし、実力についてはキララが飛びぬけており、まともに野球をやれば竜国高校なんてノーヒットノーラン、いやそれどころか鉄のフェンスさせぶち抜く豪速球で、一人残らずあの世逝きにできるでしょう。
しかし、そこは過去にキララにボコられたこともある竜国高校、しっかりと学習してきており、一筋縄ではいきそうにありません。
「胸に銃弾をくらった」という、もう僕も読者も全員が忘れていたような設定をしっかり調べてきた敵のリーダー。何やら嫌な予感がします。
ここでヒットを打ち塁に出たキララに続き、赤木が難なくヒット!
当然2塁へと走るキララですが、そこへ……。
何やら口から針を飛ばしてきた敵リーダー。
針は走るキララの胸を的確にとらえ、かつて銃弾を受けた場所に突き刺さりました。
……口から飛ばして突き刺さるって、どんな肺活量だよ! とつっこみたくなりますが、それよりもむしろ、さっきまで腕に巻いた包帯を投げて進路妨害したりバット投げつけてきたりと、堂々と反則していたのに、ここへきて急にこそこそし始めたことの方が驚きです。
ここまできたら、たとえば日本刀持ち出してきて斬りかかってきても、もはや誰も何も言わないと思いますけど。
しかも悪いことに、この針には毒が塗ってありました。
即効性の毒は容赦なく体を蝕み始め……試合序盤にして、キララはボールもまともに投げられない体になってしまいます。
しかし、それをチームメイトには言わないキララ。そう、もしここでキララが降板したとしても、代わりのピッチャーはいない……ならば、余計な心配をかけずに、自分が投げ続けるしかない。そんな風に思ったのでしょう。
それでも、現実は非情でした。
しびれる体に鞭打って投げたボールは、もはやただのヘロ球……。
ホームラン!
ついに、キララの球が打ち砕かれてしまいました。
荒れに荒れた試合はこの後、さらなる混沌へと進んでいきます。
さて、ここまでの試合の流れを簡単にまとめておくと、
試合開始
↓
お互いにバットを投げたり危険球を投げたりと、野球外のところでバトル
↓
包帯男、自らの包帯を投げつけて足に絡ませ、進路妨害
↓
すぐにキララが報復。打球が顔面をかすり、包帯男、大出血。
↓
竜国高校、毒の吹き矢でキララを攻撃
↓
即効性の毒によりキララ瀕死状態に
ということで、野球というよりも野球の形を借りて殺し合いをしている感じになってきた両校の争い。ていうか毒針を試合前から用意していたってことは、最初からまともに野球する気はなかったんですね相手高校……。
さて、ルール無用の戦いは、今後どんな展開を見せるのか……お楽しみに!
【おまけ】
今週の座門さん
質問! なんで帽子かぶってるのに弁髪が上に出てるんですか!
試合はクライマックスへ! 「命ぐらいボールに込められないと話になりませんよ」(キララ談)
さて、楽しいキララレビューのお時間がやって参りました。
前回のレビューの最後で、
座門さんの弁髪はなぜヘルメットから出ているのか、ということを書いたら、「ヘルメットのてっぺんには小さな穴が開いているから大丈夫ですよ!」というメールをたくさんいただきまして、「ほう、なるほど!」と危うく納得しかけました。違うよみんな! つっこむべきはそこじゃないよ!
……弁髪の話はおいといて、試合の続きを見ていきましょう。
試合中に吹き矢で毒針を撃たれてしまい、本来の力が出せなくなってしまったキララ。敵キャプテンにもホームランを打たれ、大ピンチに陥ってしまいました。
……一見、カッコイイことを言っているように見えますが、そもそも毒針を胸に撃たれた時点で野球がどうとかいう以前の問題です。あれが許されるならボールの代わりにナイフを投げるとかでもアリな気がしてきました。
我慢して試合を続けようとするキララですが、失われたパワーは回復せず、まったくアウトを取ることができません。
高校生というよりもアメリカの裏社会あたりにいそうな男(でも脇役)にもヒットを打たれる始末で、このままでは試合はボロ負けは確定か……。
しかし、ここで赤木があることに気づきます。
そう、毒針を喰らったことで最初こそホームランを打たれたキララですが、なんと少しずつ敵の飛距離が落ちてきていたのです。
これはいったいどういうことなのか……?
実は本来の力が出せないこの状況で、キララは体力の代わりにあるものをボールに込めて投げていたのでした。
それは命です。
何よりも重い命のパワーがこもったボールは、球速こそスローではあるものの、ものすごい重い球に変化していました。
その結果、次のバッターはボテボテのゴロに倒れ、
「このカマ野郎が!!」
とキャプテンにボコボコにされてしまいます。
ちなみにこの「カマ野郎」ですが、オーダー表の9番打者ですね。名前は「丘麻 太郎(おかま たろう)」ですので、つまりまあ、そういうことです。
ここで「ボールに命を込めるってどういうことだよ!」というツッコミが当然出るかと思いますが、逆に命ぐらいボールに込められないとこの世界で野球はできませんのであしからず……。
さて、毒針を受け力を失いつつも、命を削ることで何とか投げ続けるキララ、そして予想外の抵抗に内部瓦解し始めた敵チーム、何やら混沌とした展開になってきたところで、さらにもうひとつ予想外の出来事が!
なんと、かつてキララと一緒に弾丸を受けてしまった幼馴染の奈美が、この試合に姿を現したのです。確か奈美はあのときの傷がもとで車椅子生活を余儀なくされ、夢であったテニスプレーヤーへの道を断念していたはず。
となればキララを相当に恨んでいるはずですが、その奈美がいったいどうしたのでしょう。
そしてそれよりも気になるのは奈美の背後にいる男。
アンタ、あのときの刑事じゃん!
そういえばキララが野球部に入ろうとしたときも、銃を乱射して手助けをしたりと、法的には完全にアウトな行動をとりつつ彼らをサポートしていた森田刑事。
今回もちゃっかり奈美と一緒の登場ですが、個人的にはさすがにそろそろ奈美も森田さんをウザがっているんじゃないかと思うのですが……。
ともあれ、ここへきて奈美と森田刑事が登場した理由とは?
そして彼らの登場で試合はどう動くのか。
来週、いよいよ試合はクライマックスへ!
ごうご期待!
【おまけ】
今週の座門さん
キララの投球パワーは、人間をひとり運べるぐらいと判明しました。
少し間が空きましたが、カオスすぎる試合展開が続くキララを引き続きレビューしていきます。
ここまでのあらすじをざっと説明すると、
キララ、試合中に銃弾を受ける。
↓
転校先の野球部を実力で制圧し、甲子園を目指す。
↓
その前に毎年恒例の親善試合を行うことに。
↓
対戦相手の竜国高校メンバーは全員曲者ぞろい。
↓
キララ、試合中に毒針を胸に受け、本来の力が出せなくなる。
↓
しかし、命をボールに込めて投げることで敵バッターを翻弄。
↓
かつてキララと一緒に銃弾を受けた幼馴染の奈美が森田刑事と一緒に登場。
……という感じです。あらすじだけ見てもわけがわからないというのはけっこうすごいことだと思います。
ということで、
バッターが変わってもキララの命を込めたボールの威力は衰えず、ますます強力になっていきます。僕のイメージとしては、ここらへんでだいたいボウリングの16ポンドぐらいの重さではないでしょうか。ってかこれ、キャッチャーと審判もけっこう命がけですよね。
そして、これを見た幼馴染の奈美が、
回想スタート。
高校に入学して間もない頃、キララと奈美が街を歩いていると、
なんと、ビルから飛び降りようとしている少女が!
これを見たキララは「また例の自殺症候群ってやつかよ!」と言い放ち、カバンからボールを取り出します。
次の瞬間、風に煽られ足を滑らせた少女がビルから落下。その場にいた全員が悲鳴を上げますが、キララだけは冷静に大きく振りかぶって、
投じた一球は少女の体を持ち上げビルの中へと運びました。
……ということで、前言撤回。
キララが本気で投げたボールの重さはボウリングの16ポンドどころの騒ぎではなく、人ひとりを軽く持ち上げて運べる力を持っていました。
そんなもんをバットで打ち返そうとしているのですから、これはもう無謀以外の何ものでもありません。
当然、
こうなりますよね!
……それにしても、フェンスを砕く力を持っているキララのボールを封じるために、口から毒針を吹くというトリッキーなテクニックまで見せたにも関わらず、今度は命を込めるというオカルトな現象によりもっと悲惨な状況に陥ってしまった竜国高校の皆さん……。
こればっかりは相手が悪かったとしか言いようがありません。ご愁傷様です。
ということで、だんだん竜国高校がかわいそうになってきた親善試合編、クライマックスへと続きます。
さて、お待たせしておりました一部の方々に大好評のキララレビュー、そろそろ最終回が見えてきましたが、続きを見ていきましょう。未読の方はまずは下記リンクからまとめをどうぞ。
試合中に吹き矢で毒を受け、力を失ったキララでしたが、ボールに命を込めるという特殊能力を使って何とか復活。その後は魂のスローボールで竜国高校の皆さんを追い詰めていきます。
ちなみにこのボールを打とうとすると、
こういうことになります。
ここまでが前回までの展開でしたね。
そして今回の冒頭で……。
気づくの遅せぇー!
彼らはもっと前から、そう、このときぐらいには、キララに危険さに気付くべきでしたね……。
さて、キララのボールのパワーを思い知った老け顔の敵主将。
なりふり構わずキララの超重いスローボールを打とうと必死です。
「ボールを打とうとするとバットが破壊される……ならばボールを突けばいい!」
という即席のアイデアでキララの球に対抗します。
が、
そんな浅はかな考えが通用するはずもなく、キララの超スローボールが顔をかすめて大けが。
しかしさすがは主将、これまでの雑魚とは違い、まだ諦めません。
今度はバットをロープで手に固定して挑みます。
正直、これはもう野球とは呼べないような気がするのですが、まあそれを言い出すと最初から野球ではなかったことになるので、こうなったら何でもアリです。
そしてこのロープ作戦ですが、当然のごとく、
粉砕。
だんだんこの人がかわいそうになってきました……。
こうして、見事に敵主将を討ち取ったキララ。っと、誤字でしたが、討ち取ったの方がしっくりきたのでこのまま直さずにいきます。
今度は攻守が交代して、キララチームの攻撃。
しかし、
そういえばキララチームは一人女の子でした。
これを見て、ここぞとばかりに女の子を殺しにかかる竜国のピッチャー。殺せるやつから殺せ、それが彼らの野球のセオリーです。
ところが……。
女の子にボールが迫った次の瞬間、キララの手から放たれた小石が、
ボールの軌道を変えて、女の子を救いました。
……いや、もうつっこまないよ! この程度ではつっこまないから!
それにしても毒を受けていたはずのキララになぜこんな技が……。
と思っていたら、キララから衝撃の一言が。
「おかしなもんだぜ……“毒をもって毒を制す”ってやつかな…おれの体の中の毒が針の毒をだんだん消してきやがった…」
……ええー!? それ、いいの?
まさか弾丸の毒がそこにつながるとは……予想外すぎです。
ともあれこれでキララは完全体。
こうなっては竜国に万が一の勝ち目もありません。
というか今度はリアルに命の危機が迫っています。
早く逃げて竜国の皆さん!
壮絶な展開を迎えた試合もいよいよラストへ。
次回、衝撃の最終回へ続きます。
キララレビュー最終回! 本物の「野球」をその目に焼き付けろ!
ということで、キララレビュー最終回です。まさか単行本一冊レビューするのにこんなにかかってしまうとは思いませんでした。ちなみに当サイトのレビューはだいぶ端折っていますので、本当の面白さはぜひ単行本でご覧ください。20年前の漫画ですけど。
ええと、どこまでレビューしたっけ……。
そうそう、キララがついに毒針で受けた毒から復活し、敵チームの死亡フラグが立ったところでしたね。
「ああ! だんだんしびれがとれてきたようだ……」とボールをにぎにぎするキララ。一見なんでもない言葉のように見えますが、これは敵チーム竜国高校にとっては死刑宣告に等しいセリフとなります。ある意味ここでコールドゲームですよ、これ。
復活したキララにもう怖いものはありません。
投げる方はもちろん、
打つ方でもその力を存分に発揮してあっさりとホームラン。
そういえばキララは万能選手でした。……キララなら、たとえプロになったとしてもピッチャーでしかも4番打てそうですね。
というかこの試合、単純にキララがいる方が勝つわけですから、最初から注目するべきは毒を受けたキララがいつ回復するのか、というその一点のみだったわけです。竜国高校の皆さんはちゃんと念には念を入れて毒針をあと2、3本は打ち込んでおくべきでしたね。
で、回復してしまったキララにはもうタネのバレている小細工など通用するはずもなく、
再度打ち込もうとした毒針も、前回の神業を使って簡単にたたき落とされる始末。しかも後ろ向きに毒針が飛んでくる気配を感じ取って撃ち落としています。何気ない1コマですが、実はこれがこの漫画で一番すごい技なんじゃないでしょうか。
ということで、最後の頼みの綱だった毒針作戦も失敗。こうなるとキララはもう手がつけられません。
「足が、足が上がるぞ!」と、戻ってきた健康体に大はしゃぎするキララ。
しかしこれは上げすぎだろう。
野球というか、何か別の競技のようにも見えます。しかしこのフォームを馬鹿にしていると……。
これがキララの本気……!
なんだかよくわかりませんが、バットが粉々になっているのはわかります。もしかしたらそのバットを持っている腕も骨が逝ってしまっているんじゃないでしょうかね、これ……。ってかむしろ前回あれだけボコボコにされてなお、キララに食らいつく敵主将のガッツを褒めるべきですよね。
そして球を受けている山田が地味にすごいですよね。
もうここまでくるとわかりますが、試合になっていません。
あとは一方的な虐殺が続くのでカットするとして……。
そういえば、この試合を見ていた幼馴染の奈美と、もう関係ないはずなのになぜかウロウロしている森田刑事を忘れていました。
その森田刑事、キララの投球を見ながらポツリと一言つぶやきます。
えっ?
「刑事をやめる」……って、そんな伏線まったくなかったじゃないですか……!
ここへきて突然、読者が誰も知らなかった裏設定が登場。打ち切りで伏線が回収しきれないというのはよく聞く話ですが、逆になかったはずの伏線をわざわざ拾うというのは新しい。
そして数ヶ月後、森田刑事がどうなったのかというと……。
ちゃっかりキララのチームの監督におさまっていました。
いやいや! どんな唐突な転職だよ! そんな話、一言もなかったよ!
……という具合に、最後は森田刑事がオチを全部もっていってしまいましたが、とにかくキララレビュー、これにて終了です。
たぶん打ち切られたんだと思いますが、さすが平松先生。最後まで熱くまとめてきました。これからも平松先生にはキララ以上の熱い作品を生みだしてほしいですね。
あと今気づいたんだけど、森田刑事って、その名前といいサングラスといい、モデルはタモリ……?
……まあいいか!
ではキララのラストページをご覧いただいて終わりましょう。
やっぱり足上げすぎ!
関連レビュー:平松先生の男気指南!「嗚呼 どす恋ジゴロ」レビュー
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