橋爪大三郎氏 日本国憲法はフリーメイソンの理性主義の産物
NEWS ポストセブン 2016.09.24 07:00
社会学者・橋爪大三郎氏は、かねてより「秘密結社」と言われるフリーメイソンに関心を抱いてきた。氏いわく「日本の占領政策にも深く絡んでいるから」。フリーメイソンは、どこかのプロテスタント教会のメンバーが参加するのが原則で、プロテスタントなら、宗派は問わない。橋爪氏が日本での普及について語る。
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フリーメイソンは日本では、なかなか広まりません。なぜか。キリスト教(プロテスタント)の人口が少なく、敵であるカトリックの脅威もない。これでは組織を拡大しようがない。
そもそも秘密結社の考え方は、日本人と合いません。日本には薩長閥、学閥、軍閥、閨閥などがある。企業や政府機関などに伏在する内部グループで、メンバーは公開。任意加入もできない。秘密結社とは別種の非公式集団です。
天皇制とも折り合いがよくない。神の子孫ゆえに統治者であるという天皇制・国家神道は、フリーメイソンにすれば、英国国教会やカトリックに見える。
ではフリーメイソンは日本に影響を及ぼさなかったかと言えば、まったくその逆。天皇の権威が崩壊したのを機会に一気に流入した。そう、敗戦です。
日本の占領は、フリーメイソンに活躍の場を与えた。トルーマンがグランドロッジ・マスター(フリーメイソンのロッジ=拠点を束ねる総本部の代表者)のまま大統領に就任し、マッカーサーもフリーメイソンでした。
そのネットワークで部下を集めGHQの要所に配した。彼らが中心になって日本の占領政策を立案した。
日本国憲法はフリーメイソンの理性主義の産物と言ってもよいほどです。
大日本帝国憲法は、臣民の「権利」は法律の制限を受けるとしていた。人民の権利よりも、天皇の権威が上位にある。これは受け入れがたい。
そこで日本国憲法では、天皇はただの象徴で、政治的権限を一切持たない。主権は国民に存する。そして人びとは、生まれながらの人間としての権利(人権)を無条件に持つとされた。よって、法律によって人権が制限されたりしない。そういう法律は作れないし、作れば憲法違反。大日本帝国憲法とはまるで違う。
戦後改革にも、フリーメイソンの思想が濃厚です。農地改革、財閥解体。土地と資本の不平等な配分を是正した。なぜこうした不平等が生じたかといえば、私有財産や各種の特権が、一部の人びとに集中するような仕組みを、戦前の「旧体制」が作っていたから。ゆえに不正で、この際、強制的に平等にしてしまおうという政策になった。極端な理性主義で、こうなればもう社会主義に近い。アメリカの本流から外れた、社会的実験だったとも言える。
アメリカ本国は、占領下の日本でフリーメイソンが好きにやっているなと知っていたはずです。でも、反軍部、反天皇制、反国家神道、反共産主義に役立つならまあよいと、片目をつぶっていたのではないでしょうか。
※SAPIO2016年10月号
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橋爪大三郎氏 フリーメイソンの敵はカトリック教会
NEWS ポストセブン 2016.09.18 16:00
かねてよりフリーメイソンに関心を抱いてきた社会学者・橋爪大三郎氏。同氏がフリーメイソンに関心を抱いた理由は「アメリカ独立の経緯は彼ら抜きに語れず、日本の占領政策にも深く絡んでいるから」。橋爪氏がフリーメイソンの謎を読み解く。
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フリーメイソンは、どこかのプロテスタント教会のメンバーが参加するのが原則。プロテスタントなら、宗派は問いません。でもその組織それ自体は教会ではない(フリーメイソンをプロテスタントの一派・ユニタリアン教会と混同する議論があるが、正しくない)。教会を越えた、メンバーを護るための親睦組織です。
フリーメイソンは、組織のなかで教義(各宗派の信条)を語るのは禁止。宗派の対立が持ち込まれて、分解してしまうからです。ゆえに、宗教的寛容を原則とする。
彼らのシンボルマークは、石工の道具であるコンパスと直角定規を組み合わせたものですが、その中心に描いてあるGは、GodのGだとも、Geometry(幾何学、すなわち理性)のGだともいう。それをはっきりさせないのが、フリーメイソン流です。
彼らの共通の敵は、カトリック教会です。カトリック教会は巨大な情報網と異端審問権(*注)を持つ。彼らから身を守るために、フリーメイソンは何より団結が必要だった。
【*注/13世紀後半、キリスト教内の異端宗派の摘発と処罰のために設けられた。異端と認定されると宗教裁判にかけられる】
そこで彼らが立脚するのが、理性主義です。理性はもともと、神学用語。理性が何かと言えば、いわば神がつくったフリーウェアみたいなもので、各人が精神にダウンロードしている。それを用いるサイエンスやテクノロジーは、誰がやっても同じ結果になる。そして理性は正しく罪から無縁なので、人間は理性に導かれるべきという考えです。
※SAPIO2016年10月号
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なぜ日本人はフリーメイソン陰謀論にハマるのか?
NEWS ポストセブン 9月22日(木)7時0分配信
首都・東京にメイソンのマークが隠されているとの主張も
名前はよく聞くものの、その実態は謎に包まれているのがフリーメイソンだ。東日本大震災発生時も、「フリーメイソンが“地震兵器”で災害を引き起こした」との陰謀論が飛び交ったが、なぜ日本人はフリーメイソン陰謀説にハマるのか。宗教学者・辻隆太郎氏が分析する。
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表向きの事実の裏側には、必ず「何者か」による隠された「計画」や「真実」がある。私たちは、その何者かによって騙され、操られているこれが陰謀論だ。
陰謀論を唱える者は基本的に政府、権威、現状などに対する強い不満を持ち、「今の世界は間違っている」と考える。同時に自らの価値観や考えを無条件に「正しい」と信じ、その正しい考えが世に受け入れられないのは、世界を操る邪悪で強大な「何者か」が妨害するからだと主張する。
このブラックボックス化した「何者か」に入る格好の団体がフリーメイソンである。フリーメイソン陰謀論によれば、世界中で発生する重大な事件や大災害などはすべてメイソンの仕業とされる。なぜ、そんな突拍子もない言説を多くの日本人が信じるのか。
そもそも秘密結社のフリーメイソンが誕生した18世紀は自由主義的潮流が勢いに乗る時代だった。旧来の秩序を維持したい保守層からすれば、秘密結社は自らの権威に対抗する危険な存在であり、限定的とはいえ、フランス革命に実際のメイソンが関わったことから、「彼らが革命を主導した」との神話が生まれた。
結果、18~19世紀の欧州では、あらゆる社会変革がメイソンを始めとする秘密結社の陰謀と結びつけられた。そうした時代背景のなか、大正期に日本に広まったフリーメイソン陰謀論はユダヤ陰謀論とセットになり、「ユダヤ=メイソン陰謀論」として流通した。この時期、ユダヤ・メイソンは、日本の旧来秩序を脅かす「西洋」そのものの象徴であり、西洋コンプレックスの裏返しとして定着した。
戦後、日本が再び「一等国」として欧米と肩を並べんとした1980年代に陰謀論が再流行したことを考えると、その構図は今も同じと言える。国内にメイソンが少ないため一般になじみがなく、“謎の組織”感が強いことも、日本でフリーメイソン陰謀論が根強いことの一因だろう。
陰謀論者にとって、この世界で起こるすべての出来事は陰謀勢力の策略のうちにある。東日本大震災は地中深くに埋められた「地震兵器」の仕業であるし、プッシュホンの「*」は「ダビデの星」を指す。夫婦別姓やジェンダーフリーの推進は「日本転覆を目論むリベラル派の陰謀」とされる。
これらは一見すると荒唐無稽な主張だが、厄介なことに陰謀を証明する証拠が見つからないことは、陰謀が存在する証拠にされる。すなわち、「絶対にあるはずの証拠が見つからない」→「証拠が残らないくらい巨大な勢力の陰謀」→「そんな大それたことができるのはフリーメイソンくらいだ」と論理が飛躍するのだ。
このレベルになると、仮に実在するメイソンが「全然、危険じゃないよ」と組織の内情を明かしても、陰謀論者は「あの程度のレベルの人間は真実を知らされていない」と無視する。まさに陰謀論は「虚構」なのだが、この虚構を守ろうとすればするほど主張が壮大になる。嘘を隠すために嘘をつき、傷口がどんどん拡大するようなものだ。
※SAPIO2016年10月号
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フリーメイソンは組織的には共産党や体育会系に近い
NEWS ポストセブン 9月21日(水)16時0分配信
とかく陰謀論とともに語られることの多いフリーメイソン。「秘密結社」と言われるフリーメイソンの造詣の深い社会学者・橋爪大三郎氏がその謎に迫る。
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現代でフリーメイソンに似ている組織は、共産党です。共産党も世界組織で、反権力で、理性主義で、ヒエラルキーがあって、秘密結社。個人の意志で自発的に加入する。
違う点は、儀式の有無。共産党には儀式があまりなくて、代わりに理論がある。ブルジョア文化を脱ぎ捨て、階級意識で武装しなければならない。教会を敵視し、二重帰属を認めないので、共産党はすべての組織の上に立つ。フリーメイソンより徹底した献身を求めることになります。
フリーメイソンの儀式は秘密で、個人の自尊心を傷つけるイニシエーション(加入儀礼)が大事。カトリックの教義やプロテスタントの信条を優先するなら耐えられない儀式です。それを潜り抜け、秘密を共有することで、組織への忠誠と一体感を形成する。まあ、体育会系に近い。
※SAPIO2016年10月号
最終更新:9月21日(水)16時0分
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フリーメイソン 「昇級」に必要なこととは何か
NEWS ポストセブン 2016.09.12 07:00
今日まで、その“謎めいた組織”は様々に語られてきた。曰く、「世界を牛耳る陰謀組織」「日本や世界の歴史を動かした」「秘密の儀式を行っている」等々……。怪しげな言説に彩られた「フリーメイソン」の実態に迫るべく、日本にある15のロッジ(拠点)を束ねる総本部「日本グランドロッジ」(東京都港区芝公園)に足を踏み入れた。そして日本グランドロッジを主宰する第60代グランドマスターの猪俣典弘氏とグランドセクレタリー(事務局長)のフィリップ・A・アンブローズ氏に疑問をぶつけた。
フリーメイソンで常に囁かれるのが「謎のベールに包まれた秘密の儀式」だ。
──「秘密の儀式」があるとか。
猪俣氏:メンバーになると「参入の儀式」、階級が上がると「昇級の儀式」が行われます。儀式は石工にまつわるシンボルなどを使って寓意的・象徴的に行いますが、詳細は非公開です。
〈日本グランドロッジの資料によると、「直角定規やコンパスなどの道具を以て正直さ、思慮、節度」を表すとされており、これらの道具を使うか、それに見立てた何らかの行動を儀式としているとみられる。〉
猪俣氏:昇級には「教義の暗誦」が課されます。教義は石工技術などに関するもので文字化されておらず、近代になり暗号のような形で伝承された。これを自分のメンター(師匠)から引き継ぎ、後輩に伝えることがメイソンの伝統。私は平日にロッジに呼び出され、師匠から「これを覚えなさい」と英語でバッと言われて驚きました。
アンブローズ氏:徒弟から職人に昇級するにはA4用紙換算で30頁ほどの教義を学び、うち4頁ほど暗誦する必要があります。
※SAPIO2016年10月号
「秘密のある結社」フリーメイソンは震災支援も行う
NEWS ポストセブン 2016.09.08 16:00
世界に約600万人、日本のメンバーは約1600人フリーメイソンの組織の実態は、会員以外には杳として知れない。だからこそ、「陰謀論」が囁かれることも多いと言える。
怪しげな言説に彩られた「フリーメイソン」の実態に迫るべく、日本にある15のロッジ(拠点)を束ねる東京タワーからほど近い総本部「日本グランドロッジ」に足を踏み入れた。そして日本グランドロッジを主宰する第60代グランドマスターの猪俣典弘氏とグランドセクレタリー(事務局長)のフィリップ・A・アンブローズ氏に疑問を訊いてみた。
──教義があり、信仰心が入会の条件とされている。フリーメイソンは宗教なのか。
猪俣氏:フリーメイソンは特定の宗教を超越した“至高の存在”(Supreme Being)を信じ、その神の下での「兄弟愛」を尊重します。自らの信仰と同じく他者の信仰も尊重する文化があり、無神論者は入会できません。
儀式会場の真ん中にある祭壇には聖書、コーラン、仏典など各々が信仰する宗教の聖典が乗せられます。宗教ではないけど宗教的ではあります。ただし、ロッジ内では宗教の話はしません。
アンブローズ氏:宗教と政治の話題はメンバー間の不調和を招くのでタブーです。ジェントルマンの集まりなので下品な言動を慎み、ロッジの決議事項を遵守することが求められます。ルールを破って不調和を招くと「口頭によるけん責」「資格停止」「除名」という処分が下されます。
──会員だけがわかる「秘密のサイン」があると聞きましたが。
猪俣氏:会員にしかわからない独特の握手法や言い回しがあります。国によって違いますが、お互いがメイソンかどうかを尋ねる方法もある。今はネットに「認識方法」が流出し、メイソンを騙る人間もいますが、少し話をしてその人物の内面を探れば、たやすく偽メイソンを見抜けます。
──日常的な活動は何を?
猪俣氏:主な活動は月に一度の定例会や儀式です。メイソンは秘密結社ではなく、“秘密のある結社”です。石工の流れを汲む儀式など限られた案件のほかに秘密はなく、今はいろんなことがウィキペディアに載っています(笑)。
慈善活動も盛んに行い、東日本大震災では南三陸町のお寺や漁業の再建を支援しました。熊本地震の被災者の支援活動も行っています。
※SAPIO2016年10月号
◎上記事は[Yahoo!JAPAN ニュース]からの転載・引用です
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フリーメイソン 安倍内閣にもメンバーがいた
NEWSポストセブン 2016.09.07 16:00
世界に約600万人、日本のメンバーは約1600人フリーメイソンの組織の実態は、会員以外には杳として知れない。だからこそ、「陰謀論」が囁かれることも多いと言える。 その真実に迫るべく、日本にある15のロッジ(拠点)を束ねる総本部「日本グランドロッジ」に足を踏み入れた。そして日本グランドロッジを主宰する第60代グランドマスターの猪俣典弘氏に疑問をぶつけた。
──なぜ、陰謀組織とみなされるのでしょう。
猪俣氏:日本は先進国では例外的に「フリーメイソン陰謀論」が根強い。これはアンチ・メイソンの歴史の影響と考えられます。
〈日本で初めてフリーメイソンの会合が開かれたのは1865年1月とされる。その後、明治政府は外国人会員が集会を開くことを黙認する一方、日本人を会員に誘うことを禁じる「紳士協定」を結んだという。〉
猪俣氏:昭和に入ると、ユダヤ系団体や国際金融資本とフリーメイソンを結びつけて糾弾する運動が激しくなりました。日本軍が中国にあるロッジを襲って押収した備品を都内のデパートで展示し、「フリーメイソンは恐い団体」とのイメージを一般国民に植え付けたこともあったそうです。
──戦後も、たとえばオウムの麻原彰晃は「ユダヤ=フリーメイソンが世界征服を企んでいる」と吹聴した。
猪俣氏:仮想の敵がほしい集団にとってフリーメイソンは格好のターゲットです。今でも「東京タワーから悪い電波を飛ばさないで下さい」といった手紙が届きます(苦笑)。──自身がメイソンであることを公表するのはNG?
猪俣氏:自ら公表するのは問題ありませんが、他人がメンバーと明かすのはマナー違反。国によっては極右に攻撃されたり、富裕層とみなされ誘拐されたりするので、公表を望まないメンバーもいます。
──過去に鳩山一郎や皇族の東久邇宮稔彦など、日本の首相を務めた人物もメンバーだった。ずばり、安倍内閣にメンバーはいますか?
猪俣氏:ええ。
──最近、内閣改造されたばかりですが、現在の内閣にいますか?
猪俣氏:あ、現内閣にはいませんが、過去の内閣には……いますね。ともかく、現職の国会議員はいます。
少なくとも、複数回改造された安倍内閣にメンバーがいたことは間違いないようだ。
※SAPIO2016年10月号
鳩山太郎氏「何を隠そう、私はフリーメイソンです」
NEWSポストセブン 2016.09.09 07:00
陰謀論とともに語られることの多い結社・フリーメイソン。鳩山一族はフリーメイソンとの密接な関係を囁かれている。6月に急逝した鳩山邦夫・元総務相は2012年のテレビ番組で「(祖父の)鳩山一郎(元首相)はフリーメイソン」「鳩山内閣の半分はフリーメイソンだった」と発言している。鳩山一族はどれほどまでフリーメイソンと関係があるのか。邦夫氏の長男で、元東京都議の太郎氏が本誌に答えた。
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何を隠そう、私はフリーメイソンです。8年前、正式な手続きを経てメンバーになりました。
メイソンのルールは本人がメンバーであると公表することを禁じていません。私はメイソンのバッジを身に付けて外出し、フェイスブックに東京ロッジの写真をアップしています。メイソンに誇りを感じているので、誌面でオープンにしてもらって構いません。
よく言われるように鳩山家はメイソンとつながりがあります。曾祖父・一郎は戦後の公職追放が解除された後、オーストリアの外交官リヒャルト・クーデンホーフ=カレルギーの著書『自由と人生』に感銘を受けてフリーメイソンに入会したとされます。カレルギー氏が記した「fraternity」を「友愛」と訳したのは一郎と言われます。
曾祖父は入会後、10年経たずに亡くなったので活発な活動はしていないはずですが、メイソンにとっては日本の総理大臣まで務めた誇らしい人物であり、東京ロッジ(拠点)のロビーには「ICHIRO HATOYAMA」の名を刻んだレリーフが掲げられています。
英国発のメイソンは米国で爆発的に普及し、日本にやってきた占領軍にもマッカーサー元帥を始め、多数のメンバーがいました。戦後の日本を動かすには米軍との付き合いが重要でしたが、ロッジでは人種や国籍を問わず全員が平等に交流するため、コネクション目当てでメンバーになった日本人も多かったそうです。
元々、日本社会に影響力のある人間がメンバーになったため、あたかもメイソンが日本社会を動かしているように見えたのかもしれません。
曾祖父の他に、私の母・エミリーの父親もメンバーでしたが、今年6月に急逝した父・邦夫はメイソンではありませんでした。
かつて東京ロッジの敷地内に大きなプールがあり、母方の祖父がメンバーだったため父もよくそこで泳いだそうです。本人はメイソンの所有物とは知らなかったようですが。
※SAPIO2016年10月号
メイソンが陰謀集団でない証拠は鳩山太郎氏の参院選落選
NEWS ポストセブン 2016.09.10 07:00
6月に急逝した鳩山邦夫・元総務相の長男、太郎氏(元東京都議)は自らフリーメイソンと明かした。総理大臣を務めた曾祖父の一郎氏もフリーメイソンだった。フリーメイソンについて回る陰謀論について太郎氏が語る。
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メイソンの基本的な理念は、「善良な人間をより善良にしていく」であり、入会後は、「常に人間として恥ずかしくない行動を取りなさい」と教えられました。私は「徳」に関心があるので、メイソンの理念や実践に非常に共感し、より一層「よき人間をめざす」という気持ちが強くなりました。
実際の活動は月一度の定例会に慈善活動など。歴史的にフリーメイソンは石工集団の流れを汲み、「内々のことは秘密にする」という伝統があるため、私にも話せないことがたくさんあります。
メイソンの集会で政治・宗教の話をすることはタブーとされます。ところが私は6年前の参議院選挙に新党改革から立候補した際、メイソンの集会で選挙用のリーフレットを配ってしまった。その時は「そんなことをしてはダメです」と注意されました(苦笑)。
メイソンには3つの階級がありますが、ぐでぐでしていた私は最上級の「マスター」になるまで入会から8年を費やしました。通常なら1年で昇級できるそうで、周囲からは「8年もかかる人は見たことがない」と言われました。
私自身の今後はメイソンで学んだことも活かして、「徳」を世に広めたい。そのためにタイミングが合えば、もう一度国政にチャレンジしたいと思っています。父からは、「信念のない政治家は政治家ではない。自分の信念を貫ける政治家になれ」と教えられたので、その遺言を守って立派な政治家になりたい。
そのためには選挙に当選しないといけません。選挙と言えば、よく「フリーメイソンは世界を背後で操っている」と囁かれますが、私は8年前にメイソンになり、6年前には参院選にも出馬しています。
もし、本当にフリーメイソンが強大な力を持ち、世界と日本を陰で操る陰謀集団であるならば、私は易々と当選したはずです。私が参院選に落選したことこそ、フリーメイソンが陰謀集団ではない何よりの証明なんです(苦笑)。
※SAPIO2016年10月号
◎上記事は[NEWSポストセブン]からの転載・引用です
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◇ 橋爪大三郎×佐藤優『あぶない一神教』小学館新書 2015年10月6日初版第1刷発行
◇ 『ふしぎなキリスト教』橋爪大三郎×大澤真幸 講談社現代新書
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