大鹿村議会(熊谷英俊議長)は3日、リニア中央新幹線事業に対する意見書をJR東海に提出した。「村民のリニア事業に対する不安要素を一刻も早く解消するため」とし、意見書には同社が本体工事の工事着手の判断を示した後、村長と村議会が協議の上で「工事開始への同意」を表明した後に工事開始を―など8項目を盛った。
リニア工事関連で同村議会がJRに対し意見書を提出するのは初めて。
工事着手について、JR側は「地元の理解が得られなければ着工できないと考えている」と説明。住民理解が得られたかどうかの判断については「誰が判断するかと言えば事業者であるわれわれだ。説明会でのやりとりなどを踏まえ、どの程度理解を得たか見極めたい」としている。
村議会9月定例会にリニア工事に反対する決議を求めた陳情が村民から提出され、特別委員会で審議。委員長を除く委員6人の採決で賛否同数となり、委員長裁決で不採択となった。そこでのやりとりを踏まえ、熊谷議長は「村民の不安はまだまだ拭い切れていない」といい、村議会として意見書を出すことにした。
意見書の内容は全議員8人で検討した。この日は全議員が出席し、熊谷議長からJRの長野工事事務所大鹿分室の社員に意見書が手渡された。
JRは南アルプストンネル長野工区(約8・4キロ)に関する全村民対象の工事説明会を今月中に再度開く意向。熊谷議長は「説明会を前に回答をいただきたい」と述べた。
意見書は「住民理解」の判断後の対応を求めているほか▽残土の運搬路となる県道松川インター大鹿線の早期改良を目指し、運搬開始後に通行に支障が生じた場合は残土運搬に優先して支障箇所の拡幅などの解消策を講じてほしい▽国道152号の迂回ルートは用地確保などの課題を早急に解決して整備計画を示して▽村外に搬出する残土置き場は確定していない状況にあり、村民の大きな不安要素の一つ。早急に候補地を確定させ、南アトンネル掘削開始前に見通しの提示を―などと要望している。