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【社会】

豊洲地下水から基準超すベンゼン、ヒ素を検出 都が発表

 東京都は二十九日、築地市場(中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)の地下水調査で、青果棟がある敷地の三地点から、環境基準の最大一・四倍のベンゼン、一・九倍のヒ素が検出されたと発表した。二〇一四年に土壌汚染対策工事が完了後、有害物質が基準を上回ったのは今回が初めて。水産仲卸売場棟の一部で床に使われているコンクリートの厚さが、構造計算と実態に違いがあることも新たに判明。問題が次々と明らかになることで、移転がさらに遠のく可能性がある。

 都によると、地下水モニタリングは一四年十一月から二年間の予定で、全敷地の二百一地点で調査を実施。八回目となる今回は八〜九月に採水した水質分析の速報値で、ベンゼン、ヒ素の環境基準(ともに一リットル当たり〇・〇一ミリグラム)に対し、ベンゼンは二カ所で〇・〇一四ミリグラムと〇・〇一一ミリグラム、ヒ素は一カ所で〇・〇一九ミリグラムが検出された。

 過去七回の調査では、いずれも環境基準を下回っていた。今回の結果を受け、都は「専門家などの検証を踏まえ、適切に対応する」と説明。豊洲市場敷地内の地下水位を維持し、汚染を浄化する機能も備えた地下水管理システムは十月中旬に稼働予定という。

 小池百合子知事は、来年一月に最終調査結果が出るまで安全性を確認できないとして、十一月七日の予定だった移転の延期を決めていた。

 構造計算書と実態の食い違いについては、二十九日に初会合があった有識者の「市場問題プロジェクトチーム(PT)」で明らかにされた。十月後半を予定している次回会合で設計を担当した日建設計(千代田区)にヒアリングし、耐震性に問題がないか検証する。

 都によると、食い違いがあったのは、水産仲卸棟四階にある荷さばき場の床。床本体の防水対策で敷設する「押さえコンクリート」が実際には厚さ十五センチあるのに、構造計算書では一センチと記載されていた。床の重さが実際より軽く見積もられている可能性があり、耐震性に影響する懸念があるという。

 都の担当者は「実際の構造に基づき、耐震性を再計算したところ問題はないとみているがPTでの検証を待ちたい」と説明している。

<ベンゼンとヒ素> ベンゼンは無色透明な液体で発がん性物質。都市ガスの製造過程でも発生し、ガソリンにも含まれる。揮発性が高く、吸い込むと、中枢神経や造血機能に悪影響を及ぼす。ヒ素は都市ガス製造過程で使われた。通常は金属光沢のある結晶で、無味無臭。含有する水を飲むなどして体内に入ると、皮膚や感覚神経に異常の出る慢性中毒、胃痛、嘔吐(おうと)などの急性中毒も生じる。

(東京新聞)

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