狼雑魔討伐作戦3:狙われた女聖導士

マスター:なちゅい

シナリオ形態
シリーズ(続編)
難易度
普通
オプション
参加費
1,300
参加制限
-
参加人数
4~8人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/09/19 09:00
完成日
2016/09/24 03:40

オープニング

●敵の本拠地を調べるうちに……
 王都イルダーナ。
 聖堂教会の総本山があるこの地は多数の巡礼者が訪れているのだが、その巡礼者が旅路において、雑魔と成り果ててどす黒く、大きく体躯を膨らませたオオカミから襲われる事件が起こっている。
 ここしばらく、ハンターによって狼の討伐が行われているが、なかなか状況が改善しない。
 そこで、聖堂教会がようやく重い腰を上げた。巡礼者を再び呼び戻すべく、狼討伐に当たり始めたのだ。

 ファリーナ・リッジウェイ(kz0182)は以前、狼討伐に同行してもらったハンターに提供してもらった地図を手に、周囲を見回していた。
 敵……歪虚となった狼達は、こちらが少数ならば、少数でしか襲ってこないという習性がある。
 何人で来ても、相手はそれを易々と潰せるだけの数で襲ってくる。それを利用し、彼女はほぼ同期の聖導士セリアと、狼の本拠地を探すべく視察に当たっていたのだ。
 幾つかそれらしき場所に辺りをつけ、1つ1つを確認していた彼女。これが3ヶ所目である。
 同行していたセリアとは敢えて分かれて行動し、魔導短伝話で互いに連絡を取り合う。これも敵の特殊な習性を利用すればこそだ。
「ここにも狼はいるようですが……」
 1つの群れが常駐するような場所ではあるが、本拠地というには狼の数は少ない。
「……ここもハズレですかね」
 この場所は小隊レベルの数で当たり、狼の群れを潰しておきたいといったところか。
 ファリーナは地図にメモを書き加え、その場から離れようとすると。ゾクリと背筋に悪寒を感じる。
 そこで、彼女は自分にゆっくりと近づいてくる狼に気づく。大型が1体。小型が2体付き添っていた。
 まだ自身の力量では、1対1ではまともに戦えない。そう実感していたファリーナは、すぐさま魔導短伝話でセリアへと連絡を取る。
「すみません、見つかってしまいました……」
「えっ、大丈夫なの!?」
「……大丈夫ではありませんね」
 ドジを踏んだつもりはない。ほとんど姿を見せない狼のリーダーは自分達が傷つかぬように、それでいて、網に掛かった獲物は最小限の力で仕留める。そんな狡猾な考えを持っている相手に裏をかかれてしまったのだ。
「待ってて、今……近場の村から救援を呼ぶわ!」
 聖堂戦士団の小隊は現在、巡礼者護衛の任についている為、この近くにはいない。呼ぶならハンターだろうか。そう告げたセリアは急ぐ為に通話を切った。
 一方のファリーナ。走ればすぐさま、狼に追いつかれてしまうだろう。
 それなら、ゆっくり歩いて時間を稼ぐか。できる限り、彼女はゆっくりと後方の岩場へ移動し、身を潜めようかと考える。
 その岩場は、比較的開けた場所の中央に、幾つかの岩が突起しているような場所。基本は人間より一回り大きいくらいの岩ばかりだが、中央の岩のみ大きく、高さ5メートルくらいある。
 その頂上は、自身と小型狼1体くらいしか登れそうにないスペースしかない。ここなら、しばらくは持ちこたえられそうだ。もっとも、大型が岩に体当たりをして、破壊してしまう可能性も否めないが……。
「……皆さん、よろしく頼みます」
 ファリーナは祈りを小さく捧げた後、その岩場に登り始めたのだった。

プレイング

エヴァンス・カルヴィ(ka0639
人間(紅)|29才|男性|闘狩人
心情:
狼共との相手は巡礼美人を助けた時以来か
あの時は楽しい時間をありがとよの気持ちで一杯だったが、生憎と歪虚への感謝なんざ返す気はねぇんだ
今回もピンチな嬢ちゃんの為、手前ぇら全員真っ二つにしてやらぁ!

行動:
「バリトンの爺さんにティスの姉とは、随分豪華な面子じゃねぇか
「嬢ちゃんを襲う前に俺と一緒に遊んでくれよ、狼諸君!退屈はさせねぇぜ!

迅速な救助及び、殿と囮
・仲間との連携を意識しつつゴースロンで突撃
薙ぎ払いは複数を積極的に狙って、残火衝天は不意討ちと離れた狼のヘイト稼ぎ
嬢ちゃんが離れた場所で敵に襲われそうな瞬間に残火を放って守る
ポーションはダメージを受けたらケチらず一気飲みな
俺を無視できないくらい暴れまくってやるぜ
・ソウルトーチは脱出する時の囮用に使う
ローエン達が距離を稼げるよう、発動後は殿をやりながら狼を俺に引き付け
自分でも薙ぎ払いで処理しながら、纏まった所に範囲魔術をぶち込んでもらう
・仲間を呼ばれないよう早めの段階で大型の喉を大剣で引き裂く
もし潰せなくても、呼ばれそうな瞬間に顎下から大剣アッパー、もしくは残火衝天の横殴りで中断はきっちり狙うぜ
ドラゴンブレスも止めた俺のアッパー、てめぇもたっぷり味わいなぁ!
・万が一、ローエンがトライフで嬢ちゃんを護送できない時は俺が引き受ける(もしもの予備手段
大砲も引っ張るゴースロンの力なら二人乗りでもそこまで支障はないはずだ

※アドリブ台詞大歓迎!
天央 観智(ka0896
人間(蒼)|20才|男性|魔術師
【心情】
「取り敢えず、簡潔に状況説明をお願いします。セリアさんは、そのまま此処に残って、出来る事をお願いします」
「さて、合流はしましたけれど…機動力に勝る相手から、無事に逃げ果す…一難去って、また一難って所ですね。まぁ…依頼のターニングポイント迄は来ました、あと…半分、です」

【目的】
・ファリーナさんを救出。無事に集落まで届ける(安全地帯に着く迄が救出です。合流・脱出開始まで…ではありません)
・皆で無事に集落に着く(救助依頼は成功したけれど…代わりに救難者が、では意味が無い)

【準備】
魔導短伝話の設定

【行動】
慌てずに可能な限り急いで…状況等を聞いた後、セリアさんを集落に置いて…ファリーナさんを救出に向かいます。
岩場に着いた後は、大岩に取り付く(ファリーナさんの状況によって臨機応変)のは、全員で総攻撃しながら。
個人的には、主に『ライトニングボルト』にて、岩場の上の狼を排除して降りられる環境を作るとか、周囲の狼を
纏めて何体か攻撃して気を引く(上に行かせない)様にとか。
救助完了後の脱出では、ローエンさんのレクイエムにタイミングを合わせて、進行方向(逃走進路上)の狼に
『ブリザード』…可能な範囲で、少しでも安全性を確保しようと。
脱出後は基本的にローエンさんに並走。機動力で廻り込まれる様なら、進路上の狼に『ブリザード』後走り抜ける。
救助班全員(特に殿)の無事に気を配りつつも、安全域迄の脱出に専念。
アシェ-ル(ka2983
人間(紅)|16才|女性|魔術師
※アドリブ、台詞改変、絡み等、ご自由に
>心情
「リーナさん、無事だと言いのですが……」
「狼に囲まれてピンチな美少女ってある意味、絵になりそうです」(妄想

>目的
ファリーナさんの救出

>準備
セリアさんから救出に必要な情報を得ていれば、セリアさんは拠点で待機していて貰います
「私達が必ずリーナさんを救出してきます。セリアさんは万が一に備えて準備を」
怪我人が居た場合や雑魔が追撃してきた場合に対する備えをお願いしておく

>行動
エレメンタルコールでリーナさんへ呼び掛ける
「届いて……リーナさん!」
こちらの作戦や救出方法等を伝える
仲間の作戦を優先(突貫⇒救出⇒離脱)
突貫:仲間に射線が当たらないように突貫
射程に入り次第、氷凍榴弾
「早くどかないと、毛皮を毟り取りますよー」
「リーナさんに触れさせませんからね!」
救出:ファリーナさんが普通に岩場から降りられればいいのですが……岩が急峻であれば、トライクの横に付けるようにアースウォールを階段代わりに発生させる(狼雑魔が登ってこないように位置取りに気をつける)
時間稼ぎの為、傘を構え前線に出て盾になる
氷凍榴弾を2~3発は残しておく
離脱:ローエンさんの斜め後方らへんを維持
攻撃よりも運転や狼雑魔の攻撃を回避し離脱する事を第一とする
追い縋ってくるようであれば氷凍榴弾

回復薬は緊急時使用

>事後
「リーナさん、無茶し過ぎですよ。無事で良かったです」
「で、なにか情報は得られましたか?」
デュシオン・ヴァニーユ(ka4696
人間(紅)|18才|女性|魔術師
・目的
ファリーナの救出

・心情
さて…今回はファリーナ様が危ないとお聞きました
ファリーナ様を救出…彼女はお任せ致しました、信じております、アイザック様
…クリスティア様はああ仰るけれど
それでも頑張ろうとなさる…その姿勢は何よりもお強い姿だと存じます
なれば、それに対してわたくしができる事は…
わたくしは手伝いましょう?例え、微力であったとしても
そして、皆様と共に、どうか無事に遂行できます事と

・事前準備
自身の持つ魔導短電話と、バリトン様の持つ短電話を予め登録しておきます

・行動
作戦前
自身の持つ、予め互いの連絡先が登録済みの魔導短電話を、セリア様へお渡しします
後の事は、バリトン様にお任せ致します、あとは任せましたよ?

作戦
主な役割は救出の道を開く事、加え撤退時の敵の足止めですね
ファリーナ様の元まで行く間に敵の奇襲があれば【ファイアアロー】にて対応を
彼女を保護致しましたら、アイザック様の【レクイエム】に合わせ【ブリザード】にて足止めを行い撤退します
撤退時は【ファイアアロー】【アイスボルト】を主に前衛のサポートを
また範囲攻撃は味方の動きに合わせ、被弾を防ぐ為一声かけてからの使用を心がけます
クリスティア様のサポートを主に置いて行動しましょう

作戦後
クリスティア様が大きな怪我をしていないか、確認しておきたいところです
それから、ファリーナ様に余裕があればあの危険な状況に陥った状況を詳しくお聞きできればと思います
バリトン(ka5112
人間(紅)|77才|男性|舞刀士
●心情
今回は殲滅の仕事ではなく救出か
しかしなんじゃな、前回のテンパっての無茶も思い出すと
聖堂戦士団はもっと実戦を積ませないとまずい気がするのう
可能なら稽古をつけてやりたいものじゃが……

●行動
出来れば少しでも早く着いたいんで騎乗して行きたいところじゃが
それが可能かどうか村の時点で聞いておきたいの
騎乗不可なら下馬し移動力2確保

セリアは村に残り通信の中継や
救出後の村まで敵が来た場合を考え
村人の避難をさせておいてほしいところじゃがな


●戦闘
・共通
狩猟知識を用い
狼の動きを少しでも見極めれるといいのう
集ってくる狼相手に剣心一如と縦横無尽で包囲をさせないように斬る
防御時は受け流し使用

・救出前/救出中
嬢ちゃんを囲んでる狼を蹴散らし岩から降ろし
ローエンの坊主に投げるようにパスじゃ
降りるのに手間どるなら、面倒じゃ飛び降りろ、受け止めてやるわい

・救出後
狼達からの離脱に当たり殿を務める
基本は、救出前と同じじゃがサブアクションで退きながら
ファリーナ嬢ちゃんとローエンの坊主が離脱する時間稼ぎをメインにするぞ

まあ、いいくらわしとて、老いぼれたいま
一人で全滅させれると思うほど自信過剰じゃないのでな
倒せちまったら倒しちまってもいいかもしれんがのう


●戦闘後
辿って村まで来られると流石に拙いかもしれんのう
救出が終わったら村の周辺警戒はとりあえずすべきじゃろうな
念のために聖堂騎士団を一定期間は常駐させておくように忠告はするぞ
ローエン・アイザック(ka5946
人間(蒼)|30才|男性|聖導士
目的
ファリーナの救出
心情
久方に彼女との行動かと思えばとんでもない事態だね、しかもまるで前回の意趣返しのようで、今回は最終的にこちらの方が囲まれる事になるだろう、まだ姿を見せない黒幕が仕掛けたものなのかわからないが、慎重に事を運ぶとしよう……しかし何か見られてる気がする
事前準備
帝国軍用魔導トライクにサイドカーを準備(ファリーナがどんな状態でも安定して乗せる為)
行動
移動は終始魔導トライクを使用(騎乗物不可の場合は徒歩)
基本は全力移動で移動しファリーナの元へ
現場近くなれば狼歪虚に警戒
ファリーナを捕捉した場合、他ハンターと連繋しつつAの音(レクイエム)を発動
歪虚の行動阻害を狙い、構築されるであろう囲みの突破を目指す
ファリーナを確保出来たら魔導トライクのサイドカーに乗せて周りと足並みそろえて離脱開始
狼歪虚の妨害が想定されるので再度他ハンターと連繋しつつAの音を使用
囲みを再度突破したら全力移動でファリーナを安全な所まで連れて行く
狼歪虚が追跡してくる可能性は高いのでそれの阻害に残りのAの音を使います
戦域にいる間はキュアとヒールで味方を支援することもありますが
それは移動を妨げられたらに限ります
なお騎乗物使用不可だった場合は、ファリーナに付き添うようにしつつ、上記の行動をします

無事救出出来一息ついたらファリーナに先を考えて、地固めにハンターによる聖堂戦士団への戦闘教練及び、狼歪虚の拠点探しを提案する
アルスレーテ・フュラー(ka6148
エルフ|27才|女性|格闘士
【心情】
「……ああ、世話が焼ける……家族でもないのに助ける義理はないんだけど、常連に居なくなられちゃ寝覚めが悪いってのよ」

【目的】
ファリーナの救出、ね。
狼の殲滅もやった方がいいんだろうけど、今回は救出優先よ。

【準備】
とりあえず、軍用双眼鏡でも持っていっとこうかしら。
セリアからの情報だけじゃ、大まかな場所はわかっても、正確な場所はわからないだろうから、ファリーナを探しやすくするために。

【行動】
ゴースロンに騎乗して現地へ。
鋭敏視覚と軍用双眼鏡を活かしてファリーナを探し、見つけ次第、仲間たちから孤立しすぎない程度の速度でそちらへ。

狼との戦闘時は、まず大型狼狙いで螺旋突を軸に攻撃。次いで小型。
ファリーナと無事合流したら、一度母なるミゼリアによる治療を施した後ローエンの魔導トライクに乗ってもらい、離脱を開始。

離脱時の最優先護衛対象はローエン及び同乗するファリーナ。
基本的には殿として、金剛を使い守りを固め、後退しつつ追跡してくる手近な狼を相手取るけれど、ローエン達が狙われているようならそちらへ急行し、ローエン達を襲う狼へ攻撃、ローエン達の進路を拓く。

攻撃は鉄扇「北斗」で受け、私の生命力5割以下かバステを受けた際には母なるミゼリアで治療。


ファリーナの離脱完了後は、今回はあんまり反転攻勢とかには出たくないけど……もし改めて狼の殲滅に向かうって声が多ければ、仕方ないから付き合うわ。



アドリブ歓迎。
ミュアリス・クリスティア(ka6335
人間(蒼)|16才|女性|舞刀士
「この前は…途中で倒れちゃって…迷惑をかけちゃったから…今度はしっかりしないと…」
前回最後まで立っている事が出来ずに他者の負担を増やしてしまった事に罪悪感を感じ
今回は倒れる事なくやり遂げねばと少し気を張り詰めている状態
自分に出来る事は多くないと分かっていても動かずには居られなかった
無理をせずに出来る限りの事をやろう

目的
ファリーナの救出

行動
馬に騎乗し(地形的に乗れない等あるなら置いていく)ファリーナの元へ急ぐ
狼との戦闘に入る際には剣心一如、気息充溢を使用し都度力を高めて戦う
ファリーナの保護が済んだら突破口を開いて脱出・離脱する為の逃走に移り
可能な限りローエンのトライクに追随・並走し彼やファリーナを狙う敵を優先して迎撃する
優先順位はファリーナ輸送の護衛>自身の安全>敵の撃破で
生命力が半分を切る度にマテリアルヒーリングを使用
戦闘中に倒れて味方の負担を増やす事をしない為に最後まで倒れないよう戦闘ペースに配慮し
単独での無理は出来る限り控える様に努める

リプレイ本文

●依頼に対する想い
 現場近くの集落までやってきたハンター達。そのほとんどは馬や乗り物を連れてきている。
 そして、彼らは現地のハンターズソサエティにいた聖堂戦士団のセリアと会う。
「取り敢えず、簡潔に状況説明をお願いします」
「はい、まずは岩場ですが……」
 天央 観智(ka0896) が促すと、セリアは岩場に取り残されたファリーナ、その周辺の地形と屯す狼雑魔について説明する。どうやら、馬や魔導バイクでの接近は可能らしい。
 その間に、デュシオン・ヴァニーユ(ka4696) は自身の持つ魔導短伝話で登録などを考えていたようだが、どうやら、忘れてきてしまったらしい。その為、セリアが所持する魔導短伝話にバリトン(ka5112) と観智の短伝話を登録してもらっていたようだ。
「私達が必ずリーナさんを救出してきます。セリアさんは万が一に備えて準備を頼めますか?」
「そうですね。セリアさんは此処で出来る事をお願いします」
 ハンター達の作戦の結果、怪我人が出る可能性がある。場合によっては、敵の追撃に遭うことも考えられる為、それに備えてほしいとアシェ-ル(ka2983) や、魔導短伝話の設定をしていた観智は願う。
 自身もファリーナの救出作戦に参加したかったようだが、ハンターの足手纏いになると察した彼女は、こう告げる。
「はい……、よろしくお願いいたします」
「うむ、後方支援も立派な役回りじゃて」
 バリトンも彼女に、村人の避難を託す。
「しかしなんじゃな。聖堂戦士団はもっと実戦を積ませないとまずい気がするのう」
 前回行動した団員が無茶な行動をしていたのを思い出したバリトンは、可能ならば、稽古をつけたいとセリアに告げていたようだ。

 程なく、メンバー達は集落を出発する。
「リーナさん、無事だといいのですが……」
「……ああ、世話が焼ける……。家族でもないのに助ける義理はないんだけど、常連に居なくなられちゃ寝覚めが悪いってのよ」
 アシェールの言葉に反応してアルスレーテ・フュラー(ka6148) がやや面倒そうに語るが、彼女なりにファリーナを気遣っているのだろう。
「……ファリーナ様、ご無事でしょうか」
「久方に彼女との行動かと思えば、とんでもない事態だね」
 デュシオンは同行するローエン・アイザック(ka5946) に尋ねると、彼はそれについては敢えて触れず、事態について考えていた。まるで前回の意趣返しのようあり、最終的には、こちらの方が囲まれることになると思われる。
「まだ姿を見せない黒幕が仕掛けたものなのかわからないが、慎重に事を運ぶとしよう」
「はい、信じております。アイザック様」
 必ず、かの女聖導士を救い出す為に。デュシオンはローエンに彼女を託す。
「この前は……、途中で倒れちゃって……迷惑をかけちゃったから……。今度はしっかりしないと……」
 近場には、前回、最後まで立っていることができず、仲間の負担に罪悪感を抱いていたミュアリス・クリスティア(ka6335) がいた。今回は倒れることなく作戦をやり遂げねばと、やや気を張り詰めている。
「それでも頑張ろうとなさる……。その姿勢は何よりもお強い姿だと存じます」
 デュシオンは彼女を元気付ける。それに対し、彼女も微力であっても、仲間と無事に任務を遂行するよう手伝うと。
 それを聞き、ミュアリスは考える。前回、自分にできることは多くないと知りながらも、動かずにはいられなかった。
(無理をせずに、出来る限りの事をやろう)
 ミュアリスは近づく現場を目にし、小さく決意したのだった。

●孤立した女聖導士の救出を!
 現場に近づくハンター達。岩場には狼の姿を見ることができる。
「狼共との相手は、巡礼美人を助けた時以来か」
 エヴァンス・カルヴィ(ka0639) が呟く。
「狼に囲まれてピンチな美少女ってある意味、絵になりそうです」
 アシェールの言葉に、メンバーはやや緊張感を削がれてしまうが、ファリーナは今なお窮地に立たされているはずだ。
 メンバー達は馬を駆って進む。ローエンは帝国軍用魔導トライクにサイドカーを準備しており、全力移動で岩場を目指す。
「届いて……リーナさん!」
 そこにいるはずのファリーナへ、アシェールがエレメンタルコールを使って呼びかける。そして、できる限りこちらの作戦と彼女の救出方法を伝えた。
 作戦をシンプルに言うなら、突貫し、救出、そして離脱。これだけだ。
「安全地帯に着く迄が救出です。合流・脱出開始まで……ではありません」
 仲間の命が掛かっているとなれば、慎重にもなろうというもの。観智は誰一人、取り残される状況にならぬようにと考え、作戦に当たる。
「狼の殲滅もやった方がいいんだろうけど、今回は救出優先よ」
 アルスレーテは所持している軍用双眼鏡を覗き込み、鋭敏視覚と併用してファリーナを探す。
「いたわ。あの岩場の上」
 アルスレーテが指し示す場所。まだ遠いが、確かに狼と交戦する女性の姿がある。
「バリトン様、後の事はお任せ致します」
「うむ、ゆくぞ」
 デュシオンの声に応えるバリトンは、なおも馬を走らせた。

 すでに、岩場には1体の小型の狼が登っていて、ファリーナが狙われている。彼女はなんとか刀で小型に応戦してはいたが、下から別の小型と大型が目を光らせている。劣勢なのは一目瞭然だ。
 彼女を救出しようとハンター達が近づくと、待ち伏せていたかのように、狼の群れ……大型5体と小型5体が現れる。
「あの時は楽しい時間をありがとよの気持ちで一杯だったが、生憎と歪虚への感謝なんざ返す気はねぇんだ」
 エヴァンスはゴースロンで駆けながら、グレートソードで狼の群れを薙ぎ払う。
「嬢ちゃんを襲う前に俺と一緒に遊んでくれよ、狼諸君! 退屈はさせねぇぜ!」
「熱いわね……。まあ、いいけど」
 さらに、エヴァンスが刃を振るって発生させた衝撃波に続き、アルスレーテも抉りこむ様に大型へと拳を突き入れる。
 アシェールも狼を射程に捉え、マテリアル銃弾を発射する。着弾したその空間に冷気の嵐が巻き起こり、それに包まれた狼は身体を凍らせてしばし動けなくなってしまう。
「リーナさんには、触れさせませんからね!」
 彼女は救出の時間を稼ぐ為、傘を構えて前線に躍り出て、盾となる。
 ミュアリスは呼吸を整え、大きく息を吸い込む。そして、マテリアルを丹田から全身に漲らせ、大太刀で鋭く敵を貫いた。
(無理だけはしないように……)
 仲間と共に攻め入り、ミュアリスは群れの突破を図る。
「その動き、丸見えだぞ!」
 バリトンも精神統一し、素早く襲い来る小型へと幾度も斬龍刀で刻み込む。雑魚の相手をする暇などないのだ。
 中央の岩場に近づいた観智。彼は一直線に伸びる雷撃で邪魔する敵を焼き払おうとする。ファリーナはそこで、ハンターへと笑顔を見せた。
 しかし、狼に囲まれている状況が変わったわけではない。壁となる敵を突破すべく、デュシオンは炎の矢を敵へと叩き込み、ローエンは鎮魂歌を歌い上げ、狼達の行動を阻害する。
 そうして仲間達が囮となっている間に、岩場の真下までやってきたバリトンがファリーナへと呼びかける。
「降りられますか……?」
 アシェールが彼女へと尋ねる。登るのに手頃な経路はあるのだが、そちらは狼が陣取っており、通れない。
 また、逆側はかなり傾斜が急になっており、簡単に降りるというわけには行かない。アシェールはアースウォールで階段代わりにと試みるが、そう簡単に飛び移れそうにもない。
「降りるのに手間どるなら、面倒じゃ。飛び降りろ。受け止めてやるわい」
「えっ、えっ!?」
 戸惑うファリーナ。ハンター達が下から、岩場に取り付く狼を排除、もしくは動きを止めようとしてくれている。
「…………えいっ!」
 狼が来る前にと、彼女は意を決して飛び降りた。それを、がっしりとバリトンが受け止める。
「…………よし、坊主」
 彼はやや顔を真っ赤にしたファリーナを、ローエンへ引き渡す。
「あ、ありがとうございます」
「はいはい、じっとしててね」
 礼を返すファリーナへ、アルスレーテが体内で練り上げたマテリアルを分け与えることでその傷を癒し、ローエンの魔導トライクへと誘導する。
「さて、合流はしましたけれど、……機動力に勝る相手から、無事に逃げ果す。……一難去って、また一難って所ですね」
 観智が周りを見回すと、獲物は逃がさんと主張するように狼の群れがハンター達を囲う。
「まぁ……、依頼のターニングポイント迄は来ました。あと……半分、です」
 後はここから離脱するのみ。メンバー達は気を抜かず、再度狼の群れの突破を図るのである。

●岩場からの脱出を
 狼達は狙った獲物を確実に仕留めようと、ハンター達へと毒爪に麻痺牙を繰り出す。大型は大ダメージを与えてこようと、その身を投げ出しすらしてくる。
 ローエンは魔導トライクのサイドカーにファリーナを乗せ、仲間達と足並みを揃えてこの場からの離脱を図るが。
「……何か見られている気がする」
 その時、ローエンは別のどこからか視線を感じる。それをどこと知覚するには遠すぎて、位置の特定はできないが……。
 バリトンは一旦動かず、仲間の殿を請け負う。
「まあ、いくらわしとて、老いぼれた今、一人で全滅できると思うほど自信過剰じゃないのでな」
 とはいえ、「倒せちまったら倒しちまってもいいかもしれんがのう」と、微笑んだ彼は斬龍刀「天墜」を振るって狼に斬りかかり、仲間が離れる時間稼ぎを行う。
「俺を無視できないくらい暴れまくってやるぜ」
 エヴァンスもまたグレートソード「テンペスト」を握り締め、その場の狼を薙ぎ払い始めた。
 狼の囲いを突破する為にローエンのトライクに並走するミュアリス。襲い掛かる敵に大太刀「蒼水月」で切りかかる。
(まだ、大丈夫……)
 彼女は自らのペースを配慮して戦っていた。それもあり、比較的余裕を持った闘い、そして、マテリアルの活性化による回復術を使うことができていたようだ。
 同じく、先頭を走るローエン。彼は移動を妨げられた際は回復に回っていたが、基本的には突入時と同様に鎮魂歌を歌い上げ、狼の動きを止める。
「クリスティア様、サポート致します」
 ローエンが動きを止めた敵の周囲に、デュシオンは冷気の嵐を発生させて吹き荒れさせる。
 観智も少しでも安全性の確保ができればと考え、進路上の敵の中心に冷気の嵐を巻き起こし、狼の身体を凍りつかせる。
「早くどかないと、毛皮を毟り取りますよー」
 ローエンのやや斜め後方を行くアシェールは、邪魔してくる敵へと氷凍榴弾を炸裂させていく。発生する氷の爆発は狼の毛並みでは防ぐことができず、その皮膚をも凍らせ、裂いてしまう。
 ハンターが囲いを往復して突破する中、倒れる狼雑魔の姿もある。
 とはいえ、なかなか倒れない大型。怯む敵の群れの中を馬で駆け抜けるアシェール、観智がちらりと後方を見やる。
「今です、行きましょう!」
「今なら退路が開けています。早く!」
 2人は殿を請け負うメンバーへと呼びかけた。
 殿で敵を抑えていたのは、アルスレーテ、エヴァンス、バリトンだ。
 アルスレーテはマテリアルを纏って自らの身体を硬化させ、後退しつつ追跡してくる敵の牙を鉄扇「北斗」で受け止める。ただ、隣の狼から振るわれた爪から毒が流し込まれてしまい、彼女はすぐにマテリアルによって発生させた淡い光を自らに向け、解毒を行う。
「まだ遊び足りねぇだろ。来いよ!」
 エヴァンスは炎のようなオーラで敵の気を引いた。そうして飛びかかってきた狼に、エヴァンスは特に大型の首を狙って斬りかかる。
「手前ぇら全員、真っ二つにしてやらぁ!」
 大剣で切り裂かれ、喉から血を流す狼。エヴァンスは別の狼の攻撃を受け止めながら、さらにその敵へと飛び込む。
「ドラゴンブレスも止めた俺のアッパー、てめぇもたっぷり味わいなぁ!」
 グレートソードを下段に構えたエヴァンスは、その刃を真上へと振り上げる。大型の狼は顔が真っ二つになり、消し飛んでしまう。
 狼達の足が鈍り出したタイミングで、殿のメンバー達もまた囲いの外に向けて馬を走らせた。
 しつこく食らいついてくる大型狼。それを、バリトンが縦横無尽に刃を振るい、肉片と化してしまう。そいつはすぐに姿を掻き消していく。
 狼達はその後も追っては来ていたが、それも徐々に減っていき、ついには完全にその姿がなくなったのだった。

●課題はまだ多く……
 狼をやり過ごし、集落まで戻ってきたハンター達。
「お怪我はありませんか?」
 デュシオンはローエンの傷を気遣う。今回は目的のみの達成で離脱と、手早く事を運んだのは大きく、皆、怪我はさほど深くはない。
「リーナさん、無茶し過ぎですよ。……でも、無事で良かったです」
「はい、すみませんでした……」
 アシェールはフェリーナの無事を改めて確認し、ほっと安堵の息を漏らす。
 狼を倒せればもっと良かったのだが、ファリーナにほぼ傷がない状態で救出できたことは上々と言えるだろう。
「どうして、あのような状況に……?」
 デュシオンがそこで、彼女に説明を促す。
 ファリーナはいくつか、敵の本拠地の候補となっていた場所の調査を行っていた。1人はまずいと判断し、同僚のセリアと事に当たっていたのだが……。
「敵に裏をかかれるとは、思っても見ませんでした……」
「……で、何か情報は得られましたか?」
 続いて、アシェールが身を張った成果が得られたのかとファリーナに尋ねた。
「いえ、残念ながら……」
 今回の調査では、あの場所は本拠地ではなさそうだと彼女は判断する。狼は確かにいたが、本拠地ならば、もっと狼が常駐しているはずだと。
「……もし、改めて狼の殲滅に向かうなら、仕方ないから付き合うわ」
 アルスレーテは仲間達の様子を確認するが、どうやら仲間達は改めて狼の殲滅にという考えは現状ないようだ。
「辿って村まで来られると、流石に拙いかもしれんのう。今は村の周辺警戒を行うべきじゃろうな」
 念の為、聖堂戦士団を一定期間常駐させるよう、バリトンが忠告すると、駆けつけてきたセリアも頷いていた。
「もっと地固めする必要もあるだろうね」
 ローエンもまた、同時に聖堂戦士団へと戦闘教練や狼歪虚の拠点探しを提案する。
 まだまだ課題の多い状況だが、1つずつ今はやっていくしかない。精一杯頑張りたいと聖堂戦士団の2人は語ったのだった。

依頼結果

依頼成功度成功
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MVP一覧

  • 《強固》なる城塞の体躯
    バリトンka5112
  • アイリスの想い
    ローエン・アイザックka5946

重体一覧

参加者一覧

  • 《好機》もぎ取る爆炎の剣
    エヴァンス・カルヴィ(ka0639
    人間(紅)|29才|男性|闘狩人
  • 探求者
    天央 観智(ka0896
    人間(蒼)|20才|男性|魔術師
  • 幸運の星
    アシェ-ル(ka2983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • ライラックは美しく咲く
    デュシオン・ヴァニーユ(ka4696
    人間(紅)|18才|女性|魔術師
  • 《強固》なる城塞の体躯
    バリトン(ka5112
    人間(紅)|77才|男性|舞刀士
  • アイリスの想い
    ローエン・アイザック(ka5946
    人間(蒼)|30才|男性|聖導士
  • 将来を夢見る乙女
    アルスレーテ・フュラー(ka6148
    エルフ|27才|女性|格闘士

  • ミュアリス・クリスティア(ka6335
    人間(蒼)|16才|女性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 【相談卓】救出大作戦
アシェ-ル(ka2983
人間(クリムゾンウェスト)|16才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2016/09/19 08:43:01
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/09/14 12:09:42
アイコン 質問卓
ローエン・アイザック(ka5946
人間(リアルブルー)|30才|男性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2016/09/16 12:20:37