地球周辺の放射線を調査 新たな探査衛星が完成

地球周辺の放射線を調査 新たな探査衛星が完成
「ジオスペース」と呼ばれる地球周辺の宇宙空間で、人工衛星の故障の原因にもなっている放射線の実態を詳しく調べようという新しい探査衛星が完成し、機体が公開されました。
この「ジオスペース探査衛星」はJAXA=宇宙航空研究開発機構がおよそ80億円をかけて開発したもので、完成した機体が神奈川県のJAXA相模原キャンパスで公開されました。衛星は、縦横およそ1.5メートル、高さおよそ3メートルで、宇宙空間を飛び交う放射線などを観測する9つの装置を搭載しています。

地球周辺の高度6万キロまでの宇宙空間は「ジオスペース」と呼ばれていますが、このうち高度3000キロから3万キロの範囲では放射線が激しく飛び交い、人工衛星の故障の原因にもなっています。このためJAXAは、この衛星で飛び交う放射線の方向や強さなどを詳しく調べてメカニズムを解明し、人工衛星の故障を防ぐ対策に役立てたいとしています。

この衛星は、ことしの末か来年の初めごろに鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から小型ロケット「イプシロン」2号機で打ち上げられる予定です。

JAXAの篠原育プロジェクトマネージャは「将来の宇宙開発に向けて、人工衛星や宇宙船に大きな影響を与える地球周辺の放射線の状況を詳しく調べることが欠かせず、この衛星で基礎的なデータが得られるよう努めたい」と話しています。