UberEATSの配達員をやってみたら、長文になった
「UberEATS」という、都内のレストランメニューを宅配するサービスが 9/29 から開始しました。特徴は、配達するのは従業員ではなく、シェアリングエコノミー的に、登録した配達員が好きな時間に配達することと、今まで宅配をしてこなかったレストランの登録が多いということです。配達に使用できる車両は125cc以下の原付と、自転車だけです。対応エリアは9/29時点で渋谷区と港区の一部のみです。
僕はこのUberEATSに配達員として登録しまして、ローンチ日の今日に数件配達したので、いろいろ考えを巡らせたことを書き残しておきます。長文です。
配達員への支払い構造は歩合制
配達員への支払いは基本的に歩合制です。
- 配達1件ごとに報酬が発生する
- 注文額と報酬は比例する
- 最低保証時給が発生する場合があり、注文が無くても時給がつくことがある
- 業務委託関係であり、雇用ではない
振込は週単位で行われます。
待ってる間は暇だけど暇じゃない
配達を待つには、「Uber Partner」という配達員用アプリでオンラインにしておくだけです。 アプリから呼び出されたら数分以内に応答して、配達元のお店に向かうことになります。このアプリはUberタクシーの運転手も共通っぽいですね。
実際に待ち受けてみると、待っている間は暇といえば暇なのですが、呼び出されたらすぐに出発しなくてはならないので、多少の集中を求められるような暇つぶしはする気になれませんでした。小難しい本を読むのも微妙な感じで、ポケストップが集まる所に移動してポケモンGoをやってひたすら時間を潰しました。客待ちしているタクシーの運転手さんもこんな感じなのかなあ、と思いました。
バッグがめちゃくちゃでかいが、わりと慣れる
ローンチ前に配られたバッグはサイズとして2種類あったようで、僕は大きいほうでした。これがかなり大きく、慣れてないとかんたんに壁にぶつかります。背負ったままでは大きくないエレベーターの中で旋回するのすら難しいほどです。
このバッグは折りたたみもできないので、家に置いておくともの凄い存在感になります。バッグを持ってカフェで一休みしようにも、かなりの大きさなので、カフェに持ち込むのは躊躇してしまいます。配達員マニュアルにも「配達用のバッグを店内に持っていくのを避けること」と書いてあるほどです。
この大きさについて沢山のフィードバックがあったことが、ローンチ当日に開催された配達員集合イベントで知らされ、希望者には小さいサイズで折りたたみ可能なバッグに順次交換していくとのことでした。
ただ、イベント会場で近くにいた「ローンチ前のテストで1日で10回配達した」という男性いわく、「大きい方がいいよ!小さすぎて入りきらないほうが怖い。折りたたみ可能だと、保温保冷性能も低そうで、不安だ」と言っていました。
僕はローンチ前テストでもオンラインにはなったのですが、配達通知が来ることはなく、実際に配達したことが無いなかでの「大きすぎる」という感想だったので、この男性の意見にははっとさせられました。
ちなみに今日だけで2回配達したのですが、2回目の時点で慣れた感じがあり、取り回しの苦労がかなり軽減されました。重さのあるものに振り回される感じや、後ろに出っ張っていることが当たり前になると、「そういう体の一部」になったようで「まあこれでも大丈夫かな」と思いました。
最初はとにかく焦る
ぶっつけ本番で迎えた今日、ついに最初の配達通知が来ました。「4分以内に応答」と表示され、焦りつつも素早く応答します。これに応答しないと他の誰かに回されたり、先を越されたり、注文がキャンセルされたりするのでしょう。応答率の良さもインセンティブに影響するそうなので、考える間もなく応答するしかありません。
応答の流れは説明会で1度動画で見たかな…? という程度で、焦りもあって完全にパニくりながらの操作でした。そしてしかも、出発する前に2件目の通知が来ました。事前に「複数注文が重なることがある」と知らされていたので、これも急いで応答します。
画面には配達元の店舗の住所、地図にピン、店名が表示されています。
注文は2件とも同じ店舗からでした。200mほど先まで、ペダルを漕いで急いでかけつけました。
出来上がりを待っている間は手持ち無沙汰
店舗に到着して「UberEATSです」と伝えると、店員の方もタブレットを出し、注文番号を読み上げて、こちらのスマホに表示されている番号と同じかを確認します。出来上がりまでまだ時間がかかる様子で、なるべく邪魔にならない所で10分ほどじっと待ちました。
このときの服装はジーンズにポロシャツだったのですが、まあ、ただの普段着です。これがロゴでも入った帽子やシャツでもあれば「お客じゃない、何かの人かな」という雰囲気にもなるのですが、普段着だと「スマホを持って立ち尽くしてるただの人」なので、なんとなく目立たないようにふるまうのが精一杯でした。
お昼どきで少し混雑していて、小さなお店だったので、お店の外に出ちゃったほうが邪魔にならないかもなあ、と考えつつも、出来上がりまで待つことになりました。
受け取り操作して「配達開始!」
商品を受け取ったらまたアプリの操作です。「お店に到着しました」を選択すると、注文一覧が表示されます。
受け取った商品をチェックし、次の画面で配達開始(START DELIVERY)ブロックをスライドさせると、配達開始となります。この時点から、お客様側のUberEATSアプリに、配達員の現在位置が表示されます。
Uberタクシーを利用したことがある人ならわかると思いますが、お客さん側に場所が表示されているとなると「急いで届けなきゃ!」という気持ちになります。
アプリに正確な住所が表示されないトラブル
2件いっぺんに配達するミッションだったのですが、なんと1件目が郵便番号と名前しか表示されていません。地図は表示されていて目的地のピンは立っているので、気になりつつもまずはピンに向かうことにしました。
ピンの近くまで来て、もう一度落ち着いてアプリを操作します。ですが、やはり住所欄は空同然の表示です。注文者にメッセージ(SMS)か電話で連絡するボタンがあるので、電話ボタンを押してみますが、電話アプリも立ち上がらず、何も反応しません。メッセージの方を押すと、宛先が空の状態でメッセージアプリが立ち上がってしまいます。
これはサポート案件だと思い、サポート電話番号にかけてみますが、話し中になってしまいました。
たまたま2件とも配達先が同じだったので運良くトラブル回避
そうこうしているうちに、「X階まで来てください」というSMSが届きました。察するに、注文者側のアプリには僕の現在地が表示されていて、近くまで来ているのはわかっているのになかなか来ないので、ラストワンマイルで迷っているのだと思ったのでしょう。
送り主は1件目か2件目のどちらの方かはわからなかったのですが、とりあえず2件目に表示されている住所がその階数と一致したので、最悪2件目の配達を先にしてしまおう、と思い、ビルに入ります。
ビルに入ろうとしたときに、サポートから折り返しの電話がかかります。住所が表示されていない、電話もメッセージもできない、ということを伝えていると、注文者らしき方が声をかけて下さり、名前は表示されていたので確認したところ、住所表示のない1件目の注文の方で、ほっとしました。
ということは2件目の配達先と同じだったということで、メッセージで到着を伝えると、ほどなくして引き取りに来て下さり、ヒヤヒヤしながら初配達を終えることができました。
配達員同士のコミュニケーションが楽しい
ビルを出ると、僕以外にもUberEATSのバッグを抱えた配達員の方がいました。さすがローンチ日のお昼どきです。挨拶すると、ビルの場所がわからないらしく、そこのビルですよ、と伝えました。配達員同士のちょっとした情報交換ですが、なんかいいなあ、と、素朴に思いました。
この現場コミュニケーションの前にも、イベント会場で配達員同士でいろいろ話していて、単純に楽しいなあ、と思いました。配達員のFacebookグループコミュニティとか、誰かつくらないかなあ。
評価機能はこわいけどよくできてる
UberEATSでは注文者とレストランが配達員を評価することができます。この評価は今後の配達優先度やインセンティブに影響するので、かなり重要な指標となります。万が一低い評価がつけられたら、、、と思うと、自然にしっかりとした対応をしなくては、という思いになります。
配達員は、清潔感のある服装で、挨拶をしっかりし、声もはっきりと出さなければなりません。当たり前のことですが、明確な評価機能がついていると、いわゆる時給アルバイトしてた頃の心構えとはかけ離れた感覚でした。まあ報酬自体が時給ではないですしね。
ただ評価を気にするあまり、「急いで配達してやろう」という気持ちがはやり、安全に徹した走行ができない気がしました。早く届けることは正義ですが、無事故で確実に届けるほうが優先すべきです。でも明確な評価や配達時間の正確な記録というゲーム的感覚が、多少なりともそれを妨げるだろうなあ、と思いました。
道に詳しくなる
配達系の仕事につくと、道に詳しくなります。UberEATSの配達員も同じです。UberEATSは特定の店舗ではなく、待ち受け中の位置情報に近い店舗からの配達が優先されます。
配達後に元の場所に戻る必要はありません。なので、最初は渋谷で待ち受けていて、渋谷の店舗から配達先が恵比寿で、配達終了後に来た注文が恵比寿の店舗で、配達先が目黒で、、、と、配達エリアがどんどん移動していく事もありえます。
たとえば土日にUberEATSをまる一日やれば、それだけで渋谷区港区にかなり詳しくなるのでは、と思いました。
客側でも注文してみたら、配達中にならずに到着してしまった
UberEATSは利用者側としても興味があったので、1500円クーポンコードを利用して注文しました。注文先は僕自身が配達したお店にしました。ちなみに僕からのクーポンコードは eats-eq8ue です。これをアプリに入力すると1回の注文が1500円引きになります。注文すると、僕にも1500円クーポンが付与されます。よろしくおねがいします。
さて、注文側では、注文後に到着予定時間が表示されるのですが、到着予定時間近くになっても「ただいまご用意しております」から進まず、なかなか配達員の位置情報を確認できません。
そうこうしているうちになんと配達員さんが到着してしまいました。なぜ配達中にならなかったのか気になったので、同じ配達員としてことわった上で配達員さん側のアプリ画面を確認してみると、配達の開始操作をしていませんでした。練習なしだと、まあ、仕方ないですね。僕も初めてのときはおっかなびっくりで操作しましたしね。
意外にもクラウドソーシングビジネスと競合する
たまたま知ったのですが、あるクラウドソーシングビジネスを手がける企業の方々の多くが、UberEATSを一斉に利用したそうです。それではたと、クラウドソーシングビジネスとUberEATSは競合であると気づきました。
というのも、仕事を受ける側になってみると、「自由な時間にできる仕事比較」としては、クラウドソーシングのお仕事を選ぶか、UberEATSの配達員を選ぶかは、結構、天秤にかけちゃう気がします。
UberEATSの報酬はスムーズに配達すると時給換算で2000円くらいは行ける感じで、荷物を担いで自転車に乗れるスキルがあればできちゃうので、クラウドソーシングにある誰でもできる系仕事よりよっぽど良い報酬が得られます。
終電後にどうするかという点において、深夜タクシーの競合は漫画喫茶だ、という有名な話がありますが、UberEATSというシェアリングエコノミーと、クラウドソーシングも、ちょっと意外な競合だな、と思いました。
道路は危険
しかし数件配達してみて「道路って危険だなあ…」とつくづく思いました。
また、UberEATSは雇用ではなく業務委託なので、労災は降りません。配達中の事故やトラブルは自己責任です。従来型の宅配ピザなどは雇用なので、万が一のことがあっても対応してくれます。
こういったリスクプレミアムが時給として反映されている面もあると思いました。ただ、好きな時間に好きなだけやれるという自由度の相殺分もあると思います。
さいごに
微妙にまとまった時間があるが、何もすることがなくて、体を動かして、お金に変えられたらいいなあ、という人にはUberEATSの配達員はおすすめできると思います。ただキャリア形成という面では何かが積み上がる類のものではないので、人生を捧げるのではなく、あくまでも空き時間を有効活用するというのが、UberEATS配達員としての未来を見据えた付き合い方だと思いました。
配達員登録は https://www.uber.com/signup/drive/deliver/ から行えます。紹介コード eq8ue を入力して登録後、30回配達すると僕に20,000円が支払われます。入力側に何のインセンティブがあるのかは確認できませんでした。
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