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 安倍晋三首相のメールマガジンで東京電力福島第一原発事故時の対応を批判され、名誉を傷つけられたとして、菅直人元首相が安倍首相に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、東京高裁であった。後藤博裁判長は、記述された経緯は「主要な部分で真実だ」と認め、一審・東京地裁判決を支持して菅氏の控訴を棄却した。

 判決は、菅氏が2011年3月12日の会議で海水注入による再臨界の可能性を強い口調で質問したことが、海水注入を中断するという東京電力幹部らの決断につながったと指摘。実際には注入は続けられたものの、「東電による誤った決断につながったという意味において、菅氏の間違った判断があったと評価されるのはやむを得ない」と述べた。

 問題となった同年5月20日付の安倍首相のメルマガは、菅氏の海水注入をめぐる判断や報道発表を批判し「国民に謝罪し直ちに辞任すべきです」などと記述した。

 判決後、記者会見した菅氏は「とても承服できない。現職総理を相手にする裁判の難しさを痛感しているが、判決には大きな間違いがあるので、直ちに上告の手続きを取る」と述べた。安倍首相の事務所は「重要な部分について真実だという当方の主張が認められました。まさに真実の勝利だと思います」とするコメントを出した。