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現実生活が嫌すぎて、親子で二次元に行ってみた。 作者:美月里亜
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産まれてくる次元を間違えた

えーーーーーーーーーー。
ここは一体どこーーーーー?
一面アニメ色に染まった世界。
現実の世界ではこんな風な色存在しないし、景色もおかしいけど、何よりもおかしいのは、ここにいる人たちだ。
美形すぎる。こんなの現実な訳ない。

「優菜、あんたも早くこっちに来なさいよ。」
あれはうちの母親なのか?
私の目がおかしくなったのか?
うちの母親は中年太りの最中で、顔だってシワだらけのババアのはずなのに。
今私の目の前にいるのは、スタイル抜群の八頭身なんて余裕である上に、顔だって、小さすぎる。
まるで、アニメのヒロインだ。
しかも、母の周りはイケメンだらけ。
一体どうなってるの?


       *****
うちの母親はとにかく変わっている。
もう40近いくせに、本気でスーパーヒーローに変身できるとか、空飛べるとか信じきっている。
まぁ、本気と言っても本当に屋上のような高いところから飛び降りたりはしないが、お酒を飲んだあとなんて本当にヤバイ。
それこそ、アパートの5階のベランダから飛び降りてしまうのではないかと思ってしまうので、ベッドにロープで縛り付けておきたくなる。
何かの冗談だと思うでしょう?

いやいや、これが本気で心配になる原因と言うのがあって、たまに、夜中に目が覚めると、○○戦士のセーラー服のコスプレをして、変身ステッキを握りしめている母親が床に眠っているもんだから、これは本当にヤバイなと思ってしまう。
アルコールが入ってない状態の時だって、学校から帰ってきた私が目撃する情景は、○○戦隊の変身グッズを持って変身シーンを再現している母親の姿だったりするから、本当に危なすぎる。

母一人子一人の生活の中、こんなにも母がバカすぎるのにグレることもなく真っ直ぐ生きてきた私は本当に偉いと思う。
しかも、こんなバカな親とは似ても似つかないほどの秀才で(自分で言うと鼻につくが事実なものは事実なので仕方ない。)中学時代の勉強なんて、学校の授業中聞いてるだけで、成績は常にトップ。
高校は県内でも有名な進学高に入学した。

まぁ、ここまでは私の人生そんなに悪いものじゃなかった。
(母親はバカだけど。)
だけど、高校に入ってからの私の人生。
何で進学高なんて入ったんだろう?
確かに勉強はできるが、勉強が好きな訳ではない。
高校卒業後は、適当なとこに就職して適当に生きていたい。
と言うか、今だってバイト三昧の生活を送って欲しい物を欲しいだけ買って毎日遊んでいたかったのに。
進学高はバイトしちゃいけないなんて意味分かんない。
毎日毎日勉強で、息がつまるつーの。

まぁ、バカな母親は勉強しろって一言も言ったことないし、今だに勉強のことに口を出したりしないけど。

こんなバカな母親だけど、一つだけ理解しあえるとこがある。

それは、アニメの話だ。

好きなアニメがほぼ一緒。
アニメの感想もほぼ一緒。
ただ一つ違うのは、その好きなアニメのキャラクターだけ。

私の初恋は、アニメのキャラクター。
母の初恋もアニメのキャラクター。

母親は、当時あるアニメの主人公に本当に恋をしていて、そのアニメの主人公の『早乙女』と言う名前と結婚すると本気で思っていたようだ。

私もピチピチのJKなのに、彼氏いない歴年齢、おまけに現実の人間を好きになったことは一度もない。

母親は、まぁ、結婚できたけど、私を産んですぐに離婚したし、やっぱり性格に問題のある結婚不適合者なのだろう。

私たち二人がよく話し合う課題。

それは…。


「産まれてくる次元を間違えたーーーーーーーーーーーーーー。」


毎日そんな話してたけど、何がどうなってこうなった?
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