フィリピン大統領 来月訪日し安倍首相と会談で調整

フィリピン大統領 来月訪日し安倍首相と会談で調整
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フィリピンのドゥテルテ大統領が来月、日本を訪問し、安倍総理大臣と会談する方向で調整を進めていることがわかり、南シナ海をめぐって海洋進出の動きを強める中国を念頭に、安全保障分野での連携の強化を確認したい考えです。
フィリピン政府関係者によりますと、ドゥテルテ大統領が就任後初めて、来月下旬に日本を訪問し、安倍総理大臣と会談する方向で調整を進めているということです。
両首脳は今月、ラオスでASEAN=東南アジア諸国連合の一連の首脳会議が開かれた際に会談し、安倍総理大臣がフィリピンの海上警備能力の向上を目的に大型巡視船の供与などを決定したことを伝えています。
日本での首脳会談が行われれば、南シナ海をめぐって海洋進出の動きを強める中国を念頭に、安全保障分野での連携の強化を確認したい考えです。
また、フィリピン政府は外国資本の誘致に力を入れていて、首脳会談で製造業を中心に日本からの投資を呼びかけることにしています。
一方、フィリピン政府は、ドゥテルテ大統領が日本より前に中国を訪問することも検討していて、これをきっかけに南シナ海の問題で中国と2国間協議を始めたい考えです。ただ、フィリピン側は、中国の主張を否定した国際的な仲裁裁判の判断を踏まえることが2国間協議の原則だとしているのに対し、中国側は判断を前提にした協議には応じないとしていて、今後のドゥテルテ大統領の対応が注目されます。
ドゥテルテ大統領は、南シナ海の問題をめぐって、前の政権が同盟国アメリカと軍事面での関係を強化することで中国に対抗してきたのとは一線を画し、インフラ整備などで経済支援を得るために中国との関係を改善する姿勢を示しています。
一方、アメリカとの間では、自身の発言がもとでぎくしゃくした状況が続いていて、両国関係への影響が懸念されています。フィリピンで麻薬の捜査をめぐって1000人以上が警察に殺害されていることについて、人権の尊重を求めるアメリカのオバマ大統領を今月、名指しで批判し、ラオスで予定されていた首脳会談が中止となる異例の事態を招きました。さらに、先週には、前の政権がアメリカとの間で合意した南シナ海での共同哨戒活動に参加しない意向を表明するなど、アメリカと距離を置く姿勢を示しています。
こうしたなか、日本はフィリピン南部のミンダナオ島の支援を表明するなど関係の強化に力を入れ、ドゥテルテ大統領はミンダナオ島にあるダバオの市長を務めていたことから日本を重視していて、南シナ海の問題をめぐって、今後、日本の外交力が問われることになります。